おかげさま思考でいる

無かったことにしたい

自分に正直でいたいと思うようになって、思うようにいかなくなった部分もあります。怒りの感情は、とても行き当たりばったりで、配慮のかけらもありません。後のことをどうしてここまで考えられないものかと、後悔してしまいます。

後悔先に立たずとは、上手く言うものだなと感心させられます。

後悔と言えば、強く過去に引き戻されてしまうものです。過去の自分の行動の選択をしたことによって、得られた結果に不満がある為に、生まれる心理です。それは、今の自分の状態が良くないと自分が定めてしまっているものです。ですので、満足いかない現状は、未来への不安に、非常に結び付きやすいものになります。

僕自身も、後悔を強く抱きながら生きてきました。いつも、後悔が付きまとい、僕を意気地なしにするのです。後ろ向きな考えしか、浮かばなかった時期もありました。

だから、後悔のある過去を無かったことにことにしたいと考えるようになりました。

過去の事実は変えられないもの。しかし、過去の出来事の対する、その時の解釈は変えられるとあるのです。もし、過去の出来事の解釈を変えることが出来れば、過去は無かったことにできるかもしれない。僕は、そのように望みを持ったのでした。

無かったことにはやはりできない

後悔していることは、沢山ありました。

それが、僕にとってネガティブに働いていることも理解できてました。今の僕は、過去の僕から成り立っているのは事実であるからです。

その部分を無理やり違うものであるということは、出来ませんでした。

嫌なことがあれば、どうしても次から、また同じようなことが起きてしまうものではないかと、不安になります。不安のほとんどは起きはしないと、言い聞かされても、不安になるものは、不安になってしまいます。どんなにその時の解釈を変えても、不安になってしまうことは、止められませんでした。

後悔も同じで、過去は過去であるのです。あの時に、どうしてあんなことを言ってしまったのだろうと後悔しているのに、一晩寝たって、気持ちを切り替えたくても、切り替わりません。そこに、自分が言ってしまったという事実がある限り、後悔は、どうしても生まれてしまうのです。

それに、僕は過去にいじめられた経験があるけれど、それのどこを解釈を変えてポジティブに捉えていいものかも検討もつきません。いじめられたことが、僕の中で、深い深い、心の傷になってしまっているのですから。

それによって、今の僕が、どんなに前向きにとらえて、行動しようとしても、僕の無意識の部分で、いじめられた時の心の傷を守ろうとして、他人に対して、攻撃的なことを言ってしまったり、自分を守ろうとする余りに、人の悪口や高圧的な態度に変わってしまうのです。

そう、やすやすと過去の解釈を変えることはできないし、どんなに後悔していたとすしても、やはりなかった事にはできないと、感じるのです。

おかげさま探し

ある時、ミステリードラマをみていると、よく言うセリフではありますが、何故か耳に残るものでした。それは「君は、過去をほじくり返したいのか。」というものでした。それは、とても否定的な言葉に聞こえました。

これまでの僕は、さりげなく使ったり、聞いたりしていたのですが、過去を振り返ることを意味する言葉は多く存在しています。

過去をほじくり返す。過去を反省する。過去を見つめる。思い出に浸る。思い至る。過去を辿る。思い起こす。過去の情景が思い浮かぶ。奇跡を辿る。思い巡らせる。歴史を紐解く。回想する。過去を旅する。懐かしむ。足跡を辿る。干渉に浸る。感慨にふける。

他にも沢山あると思います。今、適当にネットで調べて挙げてみただけです。どれも、過去を振り返っている意味なのですが、使われる場面がそれぞれ違うように感じます。それは、何なのか。僕が導き出したのは、自分の心境や思いがどれも違うものだと、思うのです。

思い巡らすは、素敵な思い出を振り返る時で使いそうです。過去を旅するは、今の現状に迷いがあるとき。懐かしむも、良い部分の過去を振り返るとき。過去をほじくり返すは、自分の知られたくないような過去を振り返るときだと。みんなそれぞれ、ズレはあると思いますが、僕はそう解釈して使い分けていたのです。

そうして、気づいたのです。これまでの僕が過去を振り返っていたつもりだったのですが、僕は自分の過去をまさにほじくり返していたのです。また、過去を反省ばかりしていたのでした。そもそも、今の僕自身が、自分の過去に対して、良くない過去だと決めつけて見ているものだから、後悔の部分ばかり思い出すのです。後悔の部分ばかりが鮮明に呼び起こされるのです。

だったら、過去は、無かったものには、出来ないし、変えられないもの。過去の自分の気持ちだって変えられない。だけど、その過去を見ようとしている今の自分を変えることは出来るんじゃないかと思えました。

今の僕が、どんな気持ちで過去と向き合おうとしているのか。今の僕が、どういう気持ちだから、過去を振り返ろうとしているのか。過去の自分ではなく、今の自分に意識を置き換えたのでした。

例えば、今の僕に、とってもいい事がおきたとして、今の僕が感謝の気持ちでいっぱいだとしたら。僕は、どんな風に過去を振り返るだろうって、想像してみたのです。

そうすると、過去のどの部分を振り返ってみても、あの時のおかげだと思えることが、どんどん記憶の中からよみがえってきたのです。あの時の苦労があったから、今の僕は、たくましくなれたとか。あの時に辛い体験をしたから、自分と向き合えるようになったとか。

そう考えていると、いつの間にか、あの時の後悔があったから、僕は同じような過ちをしなくなったのだと思えました。後悔があったからこそ、学んでいたのです。

いやいや、待って。今の僕の優しさは、きっとあの時のいじめられた経験があったからじゃないかって。

そうすると、後悔しかなかった過去に、沢山の光が差し込んだような気持ちになれたのでした。それから僕は、時々、おかげさま探しをするようになりました。

こうした、おかげさまであると考える思考は、今の自分を感謝の気持ちで満たすことも出来るし、過去の出来事に対する解釈も、自然にことがことが出来るのです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
メルシー