何でもない日常こそが学びになる

成功と言いう言葉に踊らされて

成功と言う言葉に思いをはせては、真剣に追いかけていたことがあります。世界中で活躍している人を見ては憧れて、いつか自分もきっと、あの人達の仲間入りするぞと、息を巻いていました。

ですが、僕自身が、成功するには、何処か他人任せであり、運任せのように考えていたんです。ずっと、宝くじが当たりますようにと願うことと同じような感覚で願っていたんです。

確かに、努力は大切であることは分かっていました。それなりに必死になっていたし、誰にも負けてなるものかと思って躍起になっていたのも事実です。ただ、そんな風にしていれば、誰かの目に止まり、それがきっかけで、多くの人に認められて、一気に成功に駆け上がれるものであると信じていたんです。

確かに頑張っていたのは認めます。ですが、それ以上でなければそれ以下でもありません。そんな風に幻想を抱いていたから、どんなときだって僕の思考はないものねだりばかりだったんです。ああいう風になったらいいな。こんな風になったらいいな。こんな風に。そう思うことも確かに必要なことであるかもしれません。ですが、過度が過ぎてしまうと大事なものを見失って疎かにしてしまうものです。

いつしか、僕が気にしていたことは、社会全体がどうとか、時代がどうとか日本がどうとか、世界ではこうだとか、そんなことばかり意識していました。挙句の果てに、そうしたことを知らない人たちに、そんなことも知らないのかとマウントを取ったり、偉そうに語っていたりしていたんです。

何時まで経っても訪れないチャンス、一向に変わる気配のない自分の状況。次第に焦っては、何でもないことにミスをしてしまう。失敗しては自暴自棄になる。人間関係においても、上手くいかずに、いくつも悩みや問題を抱えてしまうようになっていきました。これまで築き上げてきたものさえ、守れない状況に、どんどん追い込まれてしまったのです。

本当に大切にしないといけないこと

それは、どうしてなのか。確かに、時代を読み取ることも、新しい知識をえることも大切ではあるのですが、僕にとって本当に必要でない知識を得るために、多くの時間とエネルギーを注ぎ込んでいたのです。その為、本当に大事なことを何ひとつ大切に出来ていなかったのです。

言えば、目の前に迫っている課題であり、自分を変えていく努力だったり、成長のために大切な小さな積み重ねであったりするもの。成長と言うものは、日々の積み重ねでしかありませんから。こうしたものをしないで、理想に近づくことも、何か大きなことを成し遂げられるはずもないのです。

そして、何よりも後悔したことがあります。それは、目の前にいる大切にしたいと思える人や、出会った人であり、僕に関わる人たちと「信頼」というものをなにひとつ築いてはいなかったのです。

今ではマザーテレサの言葉が凄く身に染みています。ある時に「世界平和のために、我々は何をするべきなのか？」と、問われたそうです。その時に、マザーテレサはこう答えたそうです。「家に帰って、家族を大切にしてあげて下さい。」その意図は、世界平和のために何かをするのではなく、先ずは目の前の人に信頼を寄せる、目の前の人たちと仲間になる。そうした日々の小さな一歩が、信頼の積み重ねとなって、いつかは、戦争をも無くしていくものだということだったのです。

チャンスも全く同じではないでしょうか。

目の前の人をひとりひとり、目の前の出会いをひとつひとつ大切にするからこそ、信頼関係が築かれていく。その信頼があるからこそ、チャンスを引き寄せることができるんじゃないでしょうか。

とはいえ、ネガティブな僕はこうも考えてしまうものです。

信頼関係を築いていくにあたって、良いことばかりではないじゃないかって。辛いことや悩ましいこと、苦しいことばかりじゃないかって。それが現実だって。ある意味、かつての僕は逃げていた部分があります。人を傷つけるのが怖くて、自分が傷つくのが怖くて。

でも、そうした苦しさを乗り越えたからこそ、僕は成長することが出来ているんだと、もうひとりの僕が熱弁しているのです。目の前にあるものを意識してみよう。ひとつの勇気で踏み出した行動が、未来を変えていく。自分を変えていく。何でもない日常が、素晴らしい学び場に変わっていくのだって。

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メルシー