「自分は大丈夫」って、本当に大丈夫？

無理しても大丈夫だと思っていた

いつもネガティブなことばかり考えていたのですが、忍耐力だけは自信がありました。僕は、自分の強みが辛抱強いことくらいしかないと思っていたほどでした。

社会人になって、最初に就職した先で僕は酷いいじめにも遭いました。ですが、それも辛抱強く耐え抜き、乗り越えることが出来ました。厳しい環境に身を置いたこともありました。その時も、多くの人が脱落していく中で辛抱強く耐え抜くことが出来たんです。そうした経験があったから、ちょっとやそこいらじゃ、自分は壊れることもない。どれだけ辛いことがあっても大丈夫だという自信を持つことが出来たのでした。

夢は大きい方が良いという考えから、とても自分の身の丈に合わないような大きな目標を立てていました。自分でも分かっていたんです。まだまだ、未熟な自分にとって、無謀だと言えることを。ですが、こうしたものを乗り越えていくことこそ、成功者ではないかと考えたんです。多少なりとも無茶をしてでも、自分を無理させてでも、チャレンジしていくことこそ成功の道だということ。それに、辛抱強い自分は絶対に大丈夫だと自信もあったからです。

しかし、どれだけ背伸びをしても、どれだけ無理をしても、どれだけ自分を犠牲にしても、目標を達成する兆しすら見えなかったんです。どんどん、自分でも心も身体も消耗しているのが分かっていました。それでも、自分は大丈夫だと思うのでした。

気が付けば、失敗が目立つようになっていました。ちょっとしたことで、ひどく落ち込む自分がいました。ささいな言葉で傷つく自分がいました。臆病な自分が以前よりも、ずっと大きくなっていました。こんなにも悩むものなのか。こんなにも自分は弱い人間だったのかと思い知ったのです。

そうして、幾度となく眠れない夜を過ごすようになっていたのです。

不安でいっぱいで、ひとり暗闇の中、何故か寂しさを味わうばかりだったのでした。

人は弱い生き物だということ

子供の頃に感じていたことがありました。大人は誰もが、強くて何でも耐えられるくらい丈夫であると。

だから、こんなにも眠れない夜を過ごしていたり、こんなにも苦しんでいるのは、自分だけではないかと思う様になりました。

でも、真実はそうじゃなかったんです。

誰もが弱い生き物であるのです。人は誰でも非常にデリケートで傷つきやすく、弱くて壊れやすい生き物なんです。思い悩んで夜も眠れない日々を、経験しているものなんです。

大企業の経営者だろうが、毎日が楽しそうに見える自由人であろうが、一見強そうに見える人であっても思い悩んでいるのです。むしろ、僕らの想像を絶するほどの苦労や悩みを抱えているものです。

そう思えないのは、誰もがそうした苦しみを人に見せずに、ひとり抱えこんでいるからなのです。

そうしたことをきちんと理解していると、これまでの自分を返り見ることが出来たんです。自分が弱い人間だと思うことで、無茶をしなくなったり、無謀なことをしなくなるものです。そして、考えるようになるものです。

考えるからこそ、自分の中で暴走を止めることが出来ます。確かに、高い目標を持つことは、意識を高める上で大事なことなのかもしれません。ですが、高い場所へは、段階を踏まないと登れないものです。自分の弱さを知るからこそ、ひとつひとつを考えて、踏みしめていくことが出来るのです。かつての僕のように、安易に飛び込んだで、自分を危険にさらすことはないはずです。

それは、自分の弱さを受け入れることで、より自分に寄り添うことができるからなのです。それに、人にも優しくなれるのではないでしょうか。無意味に人に攻撃したりしなくなるし、相手のことを気遣うこともできます。自分に出来るからこそ、人にも寄り添うことが出来るのです。

そんな人間になりたいからこそ、自分の弱さを受け入れることがとても重要だと思えるのです。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。
今日も自分をご機嫌に。
メルシー