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料理を通じて世界で起きていることを知ってほしい。4度の取材を経て私にも見えた風景。

このたび、新しく取り扱いが始まったブランドが「世界のごちそう博物館」。毛布、アクセサリーの次は、レトルト食品を品揃え。総合通販出身の私は総合的な品揃えをしたくなるようだ。

「世界のごちそう博物館」は、名前からもわかるように、世界各国の料理をレトルトで販売している。その目的は、単に世界の料理を楽しんでほしいからではなくて、「料理を通じてその国の歴史的背景や文化、社会問題に目を向けてほしい」というもの。2016年までは神戸市内でレストランを構えていたのだけど、「もっと多くの人に広めたい」ということで、今はレトルト専門で事業を展開している。

そのレストランで大学の後輩がアルバイトをしていたことがきっかけで、私は1人のお客さんとして何度かお店を訪れ、世界の料理を楽しませてもらっていた。

オーナーの本山さんとの距離が縮まったのは、2014年。私がgreenz.jpのライターとしてデビューした記事で、取材をさせてもらったのだ。

当時はまだ会社員だった私、この記事が公開された日のお昼、会社のトイレで記事を確認したら読了カウンターがすごい勢いで増え続けてびっくりしたのを覚えている。本当にたくさんの方に読んでいただいた記事。本山さんの取材でデビューを飾れたからこそ、私のライターキャリアがあると言っても過言ではない。

本山さんは、そんなふうに私のライターキャリアの原点的存在なので、その後も何度か取材をして、いろんな角度で考えを聞かせてもらった。

一つは、「世界の音楽」を奏でるキシモトタローさんとの対談取材。この頃は、平和が当たり前じゃないんだなという空気が世の中に漂ってきた頃。この対談で胸に刺さったのは、キシモトタローさんの「差別や憎しみの対象であっても、かっこいいと思った文化は真似したくなる」という言葉。アメリカにおけるブラックミュージックなんて典型かもしれない。この2人のように、文化の担い手が平和を訴えることってすごく有意義なんだと思った。

その次は、本山さんがレトルト専門に転身したとき。取材の前週に妊娠が発覚し、内臓じゅうがムカムカした状態での取材だったのが懐かしい。本山さんはあったかいホットジンジャーを出してくれて、本当にありがたかった。取材後すぐにつわりで倒れ、数ヶ月後の執筆となってしまったという思い出の記事。

レトルトに転向した目的が「レストランよりも多くの人に広めたい」ということ以外に、「働き方改革」もあったのが印象的だった。レトルトはフードロスのストレスも少なく、働く時間も自分で決められるから家族と過ごす時間が増えた、と。すごく今っぽくて、びっくりした。本山さんはがむしゃらに仕事に邁進しているイメージだったけど、「今」に適応する力というか「いい」と思ったことに対する行動力がある人なんだなって思った。

そして今回、4度目の取材。これまで聞いてきた本山さんの活動の社会的意義に対して、私のサイトで問うてる「いとしさ」って、いわば内面的な感情の部分。そのためか、本山さんの思考を解読していたこれまでと全然違って、本山さんの頭の中に流れる映像が見えた。

“世界の料理の向こうに、その料理を教えてくれた人の家の食卓が目に浮かぶんです。それを思うと、僕はすごくいとおしさを感じますね。”

この言葉を私が反芻するとき、なんだかほっこりした気持ちになり、行ったこともないどこかの国の食卓の映像が流れる。そしてその家の外にはいろんな問題が立ちはだかっている。本山さんの料理を食べるときにその風景が浮かんで、問題の部分までイメージができたら、「自分にできることってなんだろう」って考えずにはいられない。

ああ、「世界のごちそう」って、こういうことなんだ。これまで何度もお会いしてお話を聞いたのに、十分に理解していたつもりだったのに、4度目にしてはじめて、自分自身の感覚となってストン、と腹に落ちた。

私が自分のサイトで「いとしさ」に焦点を当てたインタビューをしていくことについて、はじめは不安もあったんだけれど、今回は「いとしさ」を聞いたからこそ、相手のイメージが映像として見えたんだと思う。

「いとしさ」を聞いていくことは間違っていない。「いとしさ」から伝わるイメージがある。そう信じて、これからもつくり手の「いとしさ」を発信し続けていきたいと思う。

本山さんの思い、ぜひご一読を。

*「世界のごちそう博物館」からは、メルとモノサシオリジナルのセットをご用意しました!*

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