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2022年1月の記事一覧
詩集「果肉」草舟あんとす号さんにて再び完売。
詩集「果肉」
草舟あんとす号さんにて
再び完売とのこと。
ありがとうございますね。
手のひらサイズに
ぎっしりつめこんだ言葉の情景を
好きなところからひらいて
無闇に旅してくださいませ。
すぐに追加納品
させていただきます。
悪い時に粛々と生きられたら、自分をほめてあげよう。
悪いときに
粛々と生きられたら
自分をほめてあげよう。
いいときに
誰かを傷つけずに
粛々と生きられたら
自分をほめてあげよう。
いずれにせよ
ぽんこつなのに
今日まで生きてこれたから
自分をあたためながら
ほめてあげよう。
雪が茂みから落ちる音を。
雪が茂みから
かさっと落ちる音を
ギターの響きで描けないか
新雪についたささやかな
鳥のあしあとを表現できないか
あたたかなてぶくろの裏生地を
ねむたくなる暖炉を
あらゆる冬の呪術を
ギターと指と声にまとえないか
すべてのことをあとまわしにして
考えながらギターを弾いている。
いちごは赤く熱く。
#冬の辺境と冬の旅人
最果ての吹雪の夜、旅人は
残った魔法で小屋を出し
暖炉に火をおこした。
悲しみだせばきりがないので
ちいさなキッチンで
いちごのスープをつくった。
片栗粉でとろみをつけて
赤いカップによそった。
いちごは赤く熱く
とろみは身体の芯を
あたためた。
お正月という神話を信じてあげないといけない。
お料理とかおせちとか
たんたんとできる人間に
とうていなれない。
ただお正月とかクリスマスとかは
神話だから
信じてあげて火をくべないといけない。
神話のためなら
かんぴょうで昆布を
巻かないといけない。
本もうたも、そしておそらく
日々も自分も神話。
だから信じてあげないといけない。