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2021年むささび選書 上半期編

みなさん、こんにちは。

むささびです。


気づけば2021年も残り半分となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、私が2021年の1月〜6月に読んだ本の中で、特に面白かった5作品をご紹介したいと思います。

私の趣味趣向に依るところが大きいですが、どれも自信を持っておすすめできる作品です。

ぜひチェックしてみてください!


本を選ぶ前に、今年の上半期に読んだ作品数を数えてみたところ、186冊でした。

私は比較的速読タイプだと思うのですが、その中でも過去一くらいのペースで読んでいてびっくりしました。

この中から5作品を選ぶのは少し大変でしたが、自分なりに納得感のある作品が出揃ったと思います。



第5位 梓崎優『叫びと祈り』


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第5位は、梓崎優さんのデビュー作『叫びと祈り』です。

砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇……ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連絡推理。《週刊文春》ミステリーベスト10国内部門第2位をはじめ各種ミステリ・ランキングの上位を席捲、本屋大賞にノミネートされるなど破格の評価を受けた、大型新人のデビュー作。

「異文化×ミステリー」という新ジャンルのミステリーです。

大学で海外の言語や文化を専攻していた私にとっては、大好物の作品でした。

各短編の切れ味に加え、ラストの美しさに心を奪われます。



第4位 伊坂幸太郎『首折り男のための協奏曲』


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第4位は、伊坂幸太郎さんらしさが光る連作短編集『首折り男のための協奏曲』です。

被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の”彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は”彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。

各短編間のリンクを筆頭に、伊坂さんらしい面白い仕掛けがたくさん施された作品です。

各短編の悔しいほどに巧妙なトリックや、短編集全体を締めくくる鮮やかなラストは、小説を読むことの面白さを改めて認識させてくれます。

どの作品も粒ぞろいですが、個人的には「僕の舟」と「月曜日から逃げろ」が最高でした。



第3位 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』


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第3位は、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロさんによる『わたしを離さないで』です。

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想は、ヘールシャムの残酷な真実を明かしていく――全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。

ノーベル賞作家の作品ということもあって恐る恐る手を出したら、まさかの私好みの作品で驚きました。

主人公・キャシーの回想が進むにつれて、不気味な作品世界の全貌が徐々に明らかになっていく感覚がとにかく面白いです。

まさに「全読書人の魂を揺さぶる」作品だと思います。カズオ・イシグロさんの作品をもっと読みたくなりました。



第2位 リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』


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第2位は、本屋大賞を受賞したリリー・フランキーさんの自伝的小説『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』です。

オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人――。四歳のときにオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。「東京でまた一緒に住もうか?」。僕が一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来る――。大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。

2021年上半期に読んだ中で、最も感動した作品です。

著者とその母の半生を一緒に辿り、大切な人と過ごす時間のかけがえのなさに気付かされます。

私はこの作品のラストで、久しぶりに本を読んで泣きました。



第1位 佐藤正午『鳩の撃退法』


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栄えある第1位は、「小説の名人」と称される佐藤正午さんの傑作『鳩の撃退法』です。

かつては直木賞も受賞した作家・津田伸一は、「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして小さな街でその日暮らしを続けていた。そんな元作家のもとに三千万円を超える現金が転がりこんだが、喜びも束の間、思わぬ事実が判明する。――昨日あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ。
偽札の出所を追っているのは警察だけではない。一年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きた物騒な事件に必ず関わっている裏社会の”あのひと”も、その動向に目を光らせているという。
小説名人・佐藤正午の名作中の名作。圧倒的評価を得た第六回山田風太郎賞受賞作。

私が佐藤正午さんと衝撃の出会いを果たした作品であり、「小説にはこんなこともできるんだ」と感動した作品です。

時系列が目まぐるしく入れ替わり、小説世界と現実世界を行き来する先の読めない展開と、緊迫感&ユーモアの溢れる駆け引きが、凄まじい筆力で描かれています。

ボリューム満点で、文句なしに面白いです。小説好きの人は、深みにハマると思います。

今年の8月に映画化されるようですが、主演の藤原竜也さんがまさに主人公・津田のイメージとぴったりで笑っちゃいました。



2021年の残り半分も、素敵な作品と出会えますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

むささびでした!


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