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三.吾輩のドイツでの会社員生活 これまでの日常とアフターコロナ

連載『吾輩はおっさんである アフターコロナの準備はまだできていない』


残業なし、有給休暇は年間30日!ドイツの職場でワークライフバランス重視の会社員生活を満喫していた45歳・靴職人の夫が、コロナ危機をきっかけに目覚めた!?リモートワーク不可、IT化とはほぼ無縁のハンドメイドな職人業、SNSは未経験……。人生100年時代を希望を持って生き抜くため、一人のおっさんが今、ゆっくりと立ち上がろうとしている! 3話目もどうぞお楽しみください。

超フレックス制、ついには始発出勤&ランチは家で

吾輩は45歳、日本生まれ、日本育ちのおっさん。ドイツには14年前から住んでいる。

高〜い志を抱いてドイツに来たわけではない。

典型的な「日本からの逃避行組」だと言えるだろう。

機嫌よく暮らしたいなぁと思った時に、場所を変えるのが一番手っ取り早い気がしたし、

日本以外の国で暮らすのはどうだろうか? と考えた時に、サッカーとビールが大好きなものだから、

本場ドイツで、週末はビール片手にサッカー観戦三昧の暮らし……最高か!!
と思ってしまったのだ。

と言うわけで、「ドイツで暮らす」と「手に職をつける」が一度に叶う、
職人養成プログラムに参加し、30過ぎでドイツ上陸。

ドイツ語に泣かされながらもなんとか整形外科靴職人の資格をゲットし、
縁あって結婚して、望み通り、週末はビール片手にサッカーを楽しんでいた。

ーーそう、子どもが生まれるまでは。

「我が家」というチームに息子という大型新人が加入すると、生活は一変。
サッカーを追いかけている時間は激減し、息子を追いかけ回し、連れ回す日々に変わった。

それに、年を重ねるとビールという健康リスクの高い飲み物との付き合い方も変わってくる。

それが、ちょっと寂しいような気もするし、
そういう生活や人生観の変化を楽しんでいる部分もある。

なんせ我が家のニューカマーは想像していた以上の力で家族の結びつきを深め、
刺激と笑顔をもたらしてくれる。

【ビフォー・コロナの吾輩の一日】
3時40分:起床
5時:始業
14時半:終業 ※金曜日はお昼で終業。
15時半:幼稚園へ息子のお迎え
〜夕食の準備、夕食〜
18時〜20時、妻帰宅
20時半、誰よりも早く就寝

2020年春、息子と妻がステイホーム状態に入って程なくして

「6歳児と一緒にいて、ホームオフィスで働くのは無理っ!!」
「オンライン・ミーティング中も顔を出したがる!!!」


と切羽詰まった妻からの訴えを受けた。
ならば、と、出勤時間を午前中のみにして、足りない時間数は土曜日も働くという勤務時間の変更を願い出て、会社から同意を得た。

勤務時間の変更については日頃からかなりフレキシブルに認める会社であり、
コロナの影響下においては、小さな子どもを持つ社員がそれぞれに勤務時間に工夫を凝らしながら乗り切っていた。

【アフター・コロナの吾輩の一日】
3時40分:起床
5時:始業
12時、終業
〜家に帰って、妻とランチ〜
15時、小学校へ息子のお迎え
〜妻と息子は習い事、宿題などしている間に夕食準備〜
17時半、みんなで夕食
20時半、誰よりも早く就寝

そんなわけで週6勤務が始まったわけだが、これが思いの外いい!

常々「1日8時間労働は長いな〜」と思っていたので、
1日の労働時間も会社での拘束時間も減って万万歳だ!!

幼稚園や学校の閉園・休校期間が終わり、社会が「新しい日常」に入ってからも、
自分はしばらくはこのペースで働いてみることにした。

振り返ってみると、妻が正社員として会社勤めしていた時は、彼女の帰宅がもっと遅かったので、息子の寝かしつけまで担当する「夕方は父親のワンオペ育児」が続いた時期もあった。

移民一世とでも言おうか、自分たちのようなドイツで暮らす日本人夫婦には
飛行機で片道12時間以内の距離に頼れる親戚は一人もいない。

初めての子育てに気を張りつつ、共働き正社員を続ける中で、それぞれに少しずつ無理をして、二人ともが順番に体調を崩して病院のお世話になった。

それから「無理しない」「健康第一」を信条に家事の分担を再検討したり、
仕事時間の調整をしたり、妻は会社勤めからフリーランスに転身するなど、
大小の決断を繰り返しながら今の生活がある。

とはいえ、仕事と家事と子育ての日々の中、毎日の生活をこなすだけで精一杯というのが正直なところだった。

それが、1日の労働時間を減らしたことで気持ちに余裕が出てきた。
余裕が出てくると、今まで見ないフリをしていたことにも向き合えるようになる。

妻と一緒にランチタイム……息子のいない時間に二人でじっくり話すのも久しぶりに感じた。
(夜は息子よりも早く寝るから……)

膨らんだ危機感を妻に共有すると、
「何でもやってみたらいいよ」「商品は?」「サービスは?」と、グイグイ背中を押される。

ち、ちょっと待って。。。

「じゃあ」、自分の考えていることを書き出してみたらどうか、
紙に書いてもいいけど、せっかくなら同じ分野の人や興味関心の近い人と繋がりやすいから、Noteに文章を書くことから始めたらどうかと提案された。

「設定も操作も簡単だよ」ってほんまに?
TwitterとかInstagramとか、なんとなく背を向けてきたおっさんが?
人に読ませる文章なんて書いてこなかったのに??

いや、もう言い訳はやめにしよう。挑戦あるのみ!


そして、Noteにアカウントを作り、


……ゆうに1カ月は放置した……。


さすがは10年以上の付き合い、妻はそれをも見越していた。

「ブログを始めたようだ。しかし、放置すること1カ月」
「決意を新たにしたは良いがまだ動かず、動かざること山の如し」
「急にビジネス系YouTuberの動画を見漁る」
「吾輩はおっさんである、アフターコロナの準備はできていないーー、とか言って試行錯誤の多すぎる中年男性の挑戦をネタにできそうだね」

ニコニコ冗談めかしてつぶやかれる妻による実況。これがジャブのようにじわりと効いてくる。

そうなのだ。もし計画力も行動力も伴う男だったらば、「45歳で起業」という目標を今頃は叶えているはず。

「いっそのこと、ネタにしてもらった方が自分にプレッシャーがかかっていい気がする。うん、失敗も、試行錯誤も、笑ってネタにしていこう」

妻の目の奥が、キラリと光ったような気がする……。

こうして、夫公認のもと、妻が夫を観察し、夫の気持ちになって書くという奇妙な連載が幕を開けることになった。
この雄弁すぎる圧力は、今後の展開にどう影響するのだろうか?!

ーー次回「吾輩は意識高い系を目指すーービジネス系YouTuberにどハマりする」

独立を目指して、ビジネスプランを描こうとするおっさん。
手始めに、ビジネス系YouTuberの動画を貪るように見続けている!?
自分の仕事に密接に関わる半径5メートルの情報は更新していても、
主戦場はオンラインになるだろう!と考えた時
圧倒的にリテラシーが足りていなかった。
新しい分野の言語と知識に触れ、思った。
「これが、今の時代の常識なのか?」
ついつい日々の生活に流されそうになってしまう自分の甘さを戒め、
ビジネス感覚を養うツールとしてYouTubeの世界に没入していくが……。

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