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共産主義と若者と量子力学ニューウェーブ〜オッペンハイマーの生きた時代<前編>【書籍レビュー】「American Prometheus」 by カイ・バード他
“原爆の父”と呼ばれる物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画『オッペンハイマー』が3月に日本で公開され(米国では2023年7月公開)、賛否両論が巻き起こっているようです。「原爆の悲惨さが描かれてない」という批判はさておき、「長い」「難解」「登場人物多すぎ」と感じた方はぜひ原作を手にとってみてください。映画がいかにコンパクトで、わかりやすく、登場人物を絞っているか、お分かりいただけると思います。 映画の原作となったのが、2005年初版のオッペンハイマーの評伝『Am
依存症当事者の家族の普遍的な手記として【書籍レビュー】「IF WE BREAK」 by キャサリン・ビュール(ハンター・バイデンの元嫁)
今回の書籍レビューは、何かとバイデン大統領の足を引っ張り続ける次男ハンター・バイデンの離婚した元妻、キャサリン・ビュール氏の手記「If We Break」です。発売は2022年6月。日本語版は未発売です。 前年には夫のハンターによる手記「Beautiful Things」(レビューはこちら)が出ていますが、こちらと合わせて読むと2人が全く違った視点で生活していたことが浮き彫りになって興味深いです。 「If We Break」では、シカゴ近郊のごく一般的なワーキングクラス(