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【速報】一平さん事件 裁判資料で分かったこと

**末尾に考察を加えました。

カリフォルニア州中央地区連邦検事局が、MLBドジャースの大谷選手の通訳だった水原一平さんを詐欺容疑で訴追しました。これまで450万ドルと散々言われていましたが、蓋を開けてみると「少なくとも1600万ドル(約24億5000万円)」とのこと。

450万ドルでも桁違いと言われていたのに、さらに桁が増えました。。。

あの一平ちゃんがすでに「水原容疑者」になり、明日にも「被告」になってしまうなんていまだにちょっと信じられません。が、捜査にあたったIRS・内国歳入庁の犯罪捜査チームがまとめた裁判資料を読んでみると、さらにエグい内容もいくつかあったので、あまりニュース記事等で取り上げられていないあたりを挙げてみようと思います。(以下、敬称略)

「最後のお願い」が重なりドツボに

一平が違法賭博の胴元、マシュー・ボウヤーやその関係者らとのテキストのやり取りを始めたのは2021年9月。そこから頻繁に「また負けた」「いつまでに送金する」「返済はするから、ちょっと融通してくれない?」というやり取りが繰り返されるようになる。

2023年6月には、「これが最後のお願い」と何度も頼み込み、ギャンブルの元金のツケを都合してくれとボウヤーに懇願。ボウヤーは返済が滞っている一平に金を貸し続けるが、11月にはボウヤーからこんなヤクザまがいの催促のメッセージが、これ。

ヘイ、一平。今、金曜の2時だ。なぜ俺の電話に出ない?今(一平の自宅がある)ニューポート・ビーチにいる。大谷が犬の散歩をしてるのが見えるよ。近寄って話しかけて、お前が電話に出ないんだけどどうしたらいいって聞いてみようか?すぐに電話をよこせ

2日後の一平のメッセージでは、相当首が回らなくなっている様子。

正直に言う。ここ数年、仮想通貨への投資で大金を失った。もちろんスポーツ賭博でも。聞きたいんだけど、金額について、何とかならないかな。このサイトですでに相当負けてるんだ。もちろん、自分のせいだと分かってる

1600万ドルでも負け金のほんの一部・・・

一平がボウヤー経由で行った違法賭博の統計がえぐい。

2021年12月〜2024年1月までの間の一平の賭博について・・・

回数: 1万9000回
1日あたり平均: 25回
1度あたりの賭け金: 10ドル〜16万ドル
1回の平均額: 1万2800ドル(ざっくり200万円弱)

賭博で勝った金額: 1億4225万6769ドル(約217億円)
負け金額: 1億8293万5206ドル(約280億円)
差し引き: 4067万8436ドル(約62億円)のマイナス

大谷から「盗んだ」と言う度肝を抜くような金額でも、ギャンブルスパイラルのほんの一部でしかないらしい。

ちなみに、野球賭博に関わった履歴はないとのことなので、この点は一平本人の供述が正しい模様。

事件は2018年から始まっていた?

一平が大谷の預かり知らぬところで送金に利用したのは、末尾4桁が「5848」という番号の、大谷名義の当座預金口座。これは2018年、大谷のMLBの給与支払い先専用に開設したものだった。一平がエージェントなどに「この口座はプライベートなものにしたいと大谷が言っている」と説明し、税理士やファイナンシャルアドバイザーを関与させなかった。他の大谷はそのことを知らず、そんな指示もしていないと証言している。

大谷のエージェントの証言要約:

個人用口座の存在を知った時、税理士に管理を頼んだほうがいいと勧めたが、大谷がプライベートで使いたがっていると一平から聞かされた。自分は日本語を話さないし、日本語ができるアシスタントもいない。クライアントによって一時的に日本語の通訳を雇うこともあるが、大谷の場合は一平が常にそばにいるので雇わなかった。

CM契約や投資など、MLBの給与とは別の収入については別に口座を設け、そちらは税理士を付けていた。ただ、複数の税理士がみな一様に「MLBの預金口座もプロに任せたほうがいい」というと、一平は「大谷が拒否している」の一点張りだった。

税理士の一人、K.F.の証言によると、あるとき大谷と一平と3人で会う約束があったが、当日になって「翔平は病気なので」と一平が一人で現れた。問題の口座について、「利息や贈与があると納税ミスを招きかねない」と忠告するも、同様の理由で拒否されたという。

【備考】一平がギャンブルにハマり出したのは2021年とのこと。それよりずっと前の2018年に、なぜ頑なに「大谷がプライベートな口座にしたがっている」と嘘をついたのか??当時から不正アクセスするつもりだったのでしょうか・・・。

口座は開設から3年間放置

「5848」の口座は開設以降、丸3年間、オンラインでの利用履歴は一度もなかった。ところが2021年11月15日に初のオンライン取引があった。海外送金サービス「Xoom」に、4万ドル10セント。同じ頃、一平が賭博業者に、Xoom経由で4万ドル送金する、とテキストしているので、これが大谷のお金に手をつけた始まりと見られる。

逆に言うと、口座開設から丸3年動かさない(そもそも動かしたのも本人じゃない)とは、大谷はガチでお金に無関心だった証拠でもある。

電話越しに大谷になりすまし失敗するもリベンジ

2022年2月に、一平は大谷の「5848」口座にアクセスするため銀行に電話し、従業員を騙して自分が大谷だとなりすまそうとするが失敗。口座のネット取引を凍結された。その同日、一平は再度アクセスを試みてまた電話。別の銀行員と繋がり、「本人確認で登録された大谷の個人情報と一致するので間違いない」と認定され(悲。。。)、凍結を解除してもらう。この時、「5848」口座から30万ドルを賭博業者に送金する。

大谷が完全な被害者だと言い切れるワケ

資料では、大谷は送金の事実も一平のギャンブル依存症も全く知らなかった被害者との位置付け。大谷の主張を裏付けた一つが、IPアドレス。「5848」の口座にアクセスしたのと同じIPアドレスが、一平個人の銀行口座へのアクセスにも使われていることが複数回あった。

一平が当初主張していた「大谷が自分の借金を肩代わりしてくれた」と言う供述は基本的に信憑性が非常に低い、というのが当局の見方。ただ今のところ完全否定はできないので、あるとすれば、大谷と銀行の支店に実際に出向いたか、事前に大谷が「オーソライズド・サイナー」に一平を指定していたか、と当局は分析している。

とは言えこれだと大谷が嘘をついていることになる。捜査当局は大谷の言い分をほぼ全面的に信じている様子なので、この分析は形だけやった程度でしょう。

全て終わった

今年3月、LAタイムズが一平の違法ギャンブルについて記事にするとの情報が一平の元にも入る。ボウヤーともその話に言及。発表前日になってゲラを確認した2人の間のテキストメッセージがこちら。

一平:記事読んだ?
ボウヤー:読んだけど、デタラメだな。お前が彼から金を盗むなんてことはないのは明らかだ。ただの釣りだろう
一平:厳密に言うと、盗んだ。俺は終わりだ

【勝手に考察】


検察によると、一平さんは最大で禁錮30年になる可能性があるそうです。ただ、司法取引する方針のようで、最終的な量刑はだいぶ軽減されるかもしれません。そもそも大元は違法スポーツ賭博の組織的犯罪の捜査から始まったことなので、この角度からは一平さんもある意味「被害者」であり、検察としてもかなり重要な情報を持っていると見ているはずです。

資料で一番気になったのは、2018年の口座開設時点で一平さんが頑なに金融のプロの介入を拒んでいたこと。これまでは「ギャンブルにハマるうちどんどんお金がなくなり、とうとう翔平の口座に手を出してしまった」という筋書きと思われていましたが、2018年に大谷の口座に自分がアクセスすることを目論んでいたのなら、かなり計画的で悪質です。この時すでに別口のギャンブルで大金をすっていたのか、別の理由で自分のものにしたかったのか、はたまた当時は「翔平がプライベートで使える口座が一つくらいあってもいいだろう」と兄貴分的に純粋な気持ちからだったのか…。このあたりは近く本人の供述で明かされるでしょう。

一平さんと賭博関係者のテキストのやり取りからは、一平さんがギャンブルで何度も大金をツケてはすってを繰り返している様子が克明に見て取れます。中でも興味深かったのは、一平さんがそれなりに、「今の俺はヤバい」と認識していた形跡があること。ある時、ボウヤー氏から「これだけ貸せるよ」と提示された金額よりもかなり低い額を自ら提示。「そんなんでいいの?」と念を押されると、「あればその分派手に使っちゃうから」と、自分にブレーキをかけています。辞められるものなら辞めたかったのでしょう。

事件発覚時、大谷の口座から一平を介さず直接ボウヤー氏に送金した理由について、最初に一平さんがした供述は「大谷はお金に関して自分を信用していない」というものでした。これになんとなく真実味があり、かなりの人が信じてしまった背景には、嘘の中にも自分の本心を投影した発言だったことがあるのかもしれませんね。

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