Teppei Takeshima, MD, Andrologist

男性不妊を専門とする泌尿器科生殖医療専門医。またデータサイエンス系の大学院を修了してお…

Teppei Takeshima, MD, Andrologist

男性不妊を専門とする泌尿器科生殖医療専門医。またデータサイエンス系の大学院を修了しており、統計・機械学習にも関心があります。おもに男性不妊のトピックやデータサイエンスに関する記事を発信していきます。

最近の記事

再発・残存精索静脈瘤に関する系統的レビュー

"Treatment of Persistent or Recurrent Varicoceles: A Systematic Review" European Urology Focus, 2022 仕事でバタバタしてて更新間隔が空いてしまいました。今回は精索静脈瘤残存・再発に対する治療についての系統的レビューです。ジャーナルはEuropean UrologyのファミリージャーナルのFocusとなります。 我々の施設でも、年間100件以上の精索静脈瘤手術(顕微鏡下低位結

    • 小児がん・血液疾患症例は、診断時に精原細胞が減少している

      "Childhood cancer and hematological disorders negatively affect spermatogonial quantity at diagnosis: a retrospective study of a male fertility preservation cohort" Human Reproduction, 2023 今月最後は、がんや血液疾患が男児の精原細胞に与える影響について調べた多施設共同研究になります。来

      • 凍結精子を用いたICSIは(新鮮精子と比較し)継続妊娠・生産分娩に影響を与えない

        "Sperm cryopreservation does not affect live birth rate in normozoospermic men: analysis of 7969 oocyte donation cycles" Human Reproduction, 2023 まさに令和4年4月からの保険適用で問題となっているのが配偶子凍結の保険非適用。がん患者の妊孕性温存目的の精子凍結は公的助成の対象となりますが、不妊治療を目的とした精子凍結は現時点で保険

        • E資格2022#2合格体験記

          今回は、日本ディープラーニング協会(JDLA)の深層学習エンジニア資格である、E資格の合格体験記について書こうと思います。これから受験される方の少しでも参考になればと思います。 まずは自分のバックグラウンドから・・・ 自分の職業は医師です。2005年に医学部を卒業し、長年臨床に従事してきました。 2020年に出身大学がヘルスデータサイエンス専攻の大学院を開設したのを機に、研究デザインや生物統計学を学び、自分で主導の臨床研究を行いたく入学しました。その中で、RやPython

        再発・残存精索静脈瘤に関する系統的レビュー

          DNA断片化精子に高発現する精巣上体タンパクは区別可能か?

          "Separating the chaff from the wheat: antibody-based removal of DNA-fragmented sperm" Human Reproduction, 2022 精子DNA断片化はIUIやIVF/ICSIにおける妊娠率を低下させることはもはや常識になってきましたが、DNA断片化精子を除去する選別技術が重要であることは言うまでもありません。従来の密度勾配遠心法はDNA断片化をむしろ増加させるという報告もあります。

          DNA断片化精子に高発現する精巣上体タンパクは区別可能か?

          精巣捻転に対する精巣摘出症例には可逆的な損傷が10%含まれている

          "Retrospective histological evaluation of orchiectomy specimens following testicular torsion reveals a 10% incidence of reversible injury. Is it time for a change of strategy?" https://doi.org/10.1111/andr.13368 Andrology, 2022 前々回に引き続き、

          精巣捻転に対する精巣摘出症例には可逆的な損傷が10%含まれている

          デンマーク、米国における精子ドナーの審査に関する研究

          "An analysis of the outcome of 11 712 men applying to be sperm donors in Denmark and the USA" Human Reproduction, 2023 この研究は、デンマークと米国での精子提供ドナーの審査に関する論文です。日本とは社会的・倫理的背景とも異なり、実際に行われている治療も大きく異なるため、本研究をそのまま日本には外挿できないかもしれませんが、この分野に関して自分的にまだまだ勉

          デンマーク、米国における精子ドナーの審査に関する研究

          精巣(精索)捻転症発生後の精巣機能

          "Testicular torsion and subsequent testicular function in young men from the general population" Human Reproduction, 2023 2023年、ホヤホヤの論文です!Testicular torsion(精巣捻転)と精巣機能に関する研究です。 精巣捻転とは 泌尿器科的緊急疾患である精巣捻転とは、精索が捻れることによって精巣の血流障害が起こり、早急に整復を行わな

          精巣(精索)捻転症発生後の精巣機能

          男性不妊手術イラスト

          5月に日本産科婦人科学会の生涯教育プログラムで男性不妊手術について講演します。そのために手術イラストをMacのパワーポイントの描画ツールを使ってマウスでちまちまと描きました。 顕微鏡下精索静脈低位結紮術 精巣内精子採取術(simple TESE) 顕微鏡下精巣内精子採取術(micro TESE) 顕微鏡下精巣上体管精管吻合術 適宜コンテンツを追加していこうと思っています!

          男性不妊手術イラスト

          成人クラインフェルター症候群患者における未分化精原細胞の有病率を明らかにする

          "Morphometric and immunohistochemical analysis as a method to identify undifferentiated spermatogonial cells in adult subjects with Klinefelter syndrome: a cohort study" Fertility and Sterility, 2022 新年3本目の論文はF&Sより。 クラインフェルター症候群(KS)は600人

          成人クラインフェルター症候群患者における未分化精原細胞の有病率を明らかにする

          若年者の低テストステロンのカットオフ値を再考する

          "What Is a Normal Testosterone Level for Young Men? Rethinking the 300 ng/dL Cutoff for Testosterone Deficiency in Men 20-44 Years Old" Journal of Urology, 2022 今年2本目の論文です。テストステロン欠乏症(いわゆる性腺機能低下症)はテストステロン低値と随伴症状の組み合わせで、米国では400〜1,380万人が罹患して

          若年者の低テストステロンのカットオフ値を再考する

          精子クロマチンはICSIアウトカムに影響を与えるか?

          "Condensation and protamination of sperm chromatin affect ICSI outcomes when gametes from healthy individuals are used" Human Reproduction, 2022 男性因子は、不妊原因の約半数を占めます。精子のDNA断片化がARTにおける妊娠率や生産分娩率に与える影響に関しては数多く報告されていますが、精子のクロマチンがICSIの成功に与える影響

          精子クロマチンはICSIアウトカムに影響を与えるか?

          男性不妊治療の保険適用化

          初投稿です。2022年4月より不妊治療の保険適用化が開始されました。 一般不妊治療から生殖補助医療に至るまで、(年齢による制限はありますが)保険適用化されました。 男性不妊治療も同様に多くの検査・治療が保険適用となりました。以下がその例です。 精巣内精子採取(単純なもの) おもに閉塞性無精子症に対する、simple(conventional) TESEです。射精障害も対象となります。 精巣内精子採取(顕微鏡を用いるもの) おもに非閉塞性無精子症に対する、micro(

          男性不妊治療の保険適用化