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大きな熊が来る前に、おやすみ/島本理生




積読本📚の中から、島本理生さんの
「大きな熊が来る前に、おやすみ」を拝読📖しました。
(2021,10,10 読了)






以前拝読したアンソロジー「もう一杯、飲む?」の中で、島本理生さんの短編小説が良かったので著書を拝読したいと思っていたところ、酒井駒子さんの画が表紙になっている本書を見つけ迷わず購入しました。




三篇のショートストーリーが収録されている短篇集です。
それぞれ女性が主人公の恋愛ショートストーリーではありますが、恋愛というよりももっと奥底にある闇の部分にフォーカスしている感じ。


三つの物語に共通するテーマは「暴力」と「心に残った深い傷」。
だからといっておどろおどろしい描写はあまりありません。
以前拝読したショートストーリーと同様、今回のショートストーリーも淡々と流れゆく雰囲気です。
島本理生さんの作風自体が淡々としたものが多いのかしら。


心の奥底に暴力的なものを持っている人って結構いるのではないでしょうか。
それが何かの拍子で爆発してしまうことも。
私も10代の頃に爆発してしまった時期がありました。
自分自身がわからず怖かった。平和な家族の中で平和でいれない自分が孤独でした。



自分の奥底にある何が傷付いていたのか。
今思うと自分勝手に作り上げた長女像に疲れてしまっていたのでしょう。
両親は決して「お姉ちゃんなんだから」みたいな言葉を言う人たちではなかったけれど。
忙しかった両親のために自分が出来ることは、お姉ちゃんとして頑張ることと思い込んで、どこか頑張りすぎていたんですね。


勝手な思い込みが足枷となり自分の思い描いていたような道を歩めず、どうでもいい高校へ行ってただ流れるままに日々を過ごして、中途半端な自分に苛立って。
そして、自分の好きに生きたくなった時に平和なものが邪魔になってしまった。



誰のせいでもありません。
その当時は自分と向き合うことを知らなかったので、自分で自分を癒せなかった。
自由に生きているつもりになって人を傷付けて、自分がどんどん嫌になっていました。


本書を拝読して、結局自分自身なのだと思いました。
そして、必ず誰にでも救いの手を向けてくれる人はいる。そこに気づけるかきづけないかなんだとも思います。
薄い本ではあるけど、色んなことに気づかせてくれる1冊でした。









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