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GOOD WAR TOUR 20. その日

「あの日」っていうのは、人間ならではの感覚なんだろうな。
動物は後悔するのだろうか。本能的に、反省はするだろうけれど。

朗くんが撮った動画を見たら、視点が高くて天井が近くて、そりゃそうだな、身長が違うもの。あたり前なのだが、見えているものがずいぶんちがうんだろうなと思った。
窓から見える椰子の木の向こう、煙突から白い煙がもくもく湧いている。

いま私たちがこういうご時世のなかで生きていて、こういう事態に苛まれているというのは紛れもない事実、避けようのない現実だ。
出演者ありで舞台作品+展示として作っていたものを、出演者なしの音声上演作品+展示として作り直す作業と、外向けに出す告知や声明の作成・公開とが同時進行で進んでゆく。

合間合間に美術や空間、展示の写真を撮ってゆく。ていねいにていねいに。
時間帯や天気によって、全然表情が違う。

質量のあるものは壊れる。
質量のないものは忘れる

朗くんの同級生、映像の西くんが来てくれて映像を撮った。
キャリーケースに養生テープでジンバルに乗せたiPhoneとGoProと360度カメラを貼り付けて、ガラガラ押してゆく。

こんなに手作り感あふれるマシーンで、名村造船所跡地のだだっ広さと空気感のよく伝わるすごくいい映像をあっという間に作り上げてしまった。

ものすごく小さい光源があると、レンズがなくても映像を投影できるという。
そのとき、光源に近いものは大きく、遠いものは小さくうつる。
近い遠いというのは結局視点の差でしかない。



制作29回目
日時:2022年1月26日(水)
出席:河井、蒼乃、河合、西、田中
場所:クリエイティブセンター大阪 名村造船所跡地

『GOOD WAR』は、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常で構成されています。
私たちは生きている限り、これからも誰かと戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいつか争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではいずれ来る「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく、だれかの「あの日」で集積された記憶のモニュメントとして演劇作品を立ち上げます。

『PIPE DREAM』は、演出と出演を行う河井朗の祖母が医療ミスで植物状態に陥ったことをきっかけに、河井自身がマッチングアプリなどで無作為に出会った人々に「理想の死に方」についてインタヴューを行い、その中で語られた言葉から構成されています。
自身で動かすことのできない自分の身体、生きることも死ぬことも決められなくなった遠い自身、その自身の決定権を握っている人、それぞれと意思の疎通を図ることを試みる作品です。

『GOOD WAR』『PIPE  DREAM』

原案 『よい戦争』(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)
構成・演出 河井朗
ドラマトゥルク 蒼乃まを、田中愛美
出演 伊奈昌宏、諸江翔大朗、渡辺綾子
美術 辻梨絵子
音響 おにぎり海人、河合宣彦
照明 松田桂一
制作 金井美希
制作協力 (同)尾崎商店、黒澤健
衣装協力 MILOU
記録 田中愛美

日時・会場
2022年2月10日(木)〜2月15日(火)|北千住BUoY
※すべての上演は終了しました。ご来場いただきました皆様、気にかけてくださった皆様、誠にありがとうございました。

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