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最強姉妹の末っ子

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#バトル

『最強姉妹の末っ子』第33話

『最強姉妹の末っ子』第33話

「ふぎゃぁっ?!」
 予想外の事に驚いたのだろう、ムーニーは素っ頓狂な声を上げ、ドラゴンを一歩二歩後退させた。
 一度口の中に入れて多少は温度が冷めているかもしれないが、熱い事には変わらないようで、ドラゴンのボディが段々ぎこちなくなってきた。
「な、なに……なにこれ? 操縦が……きか……な……」
 モニターに映るムーニーの顔が歪み始め、姿が見えなくなってしまった。
「ケホッ! ケホッ!」
 さすが

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『最強姉妹の末っ子』第32話

『最強姉妹の末っ子』第32話

 岩のゴツゴツとした足の裏にダイレクトで感じながら歩いていくと、城壁が近づいてきた。
 私の膝ぐらいだったので、跨いで入る事ができた。
 だけど、何度も言った通り、家や人形達がミニチュア並に小さいので踏みつぶさないよう細心の注意をはらいながら向かった。
「はぁあああああ?! まだ死んでないの?!」
 しかし、チンタラ歩いていたので、当然ムーニーにも気づかれてしまった。
 うーん、どうしよう。
 ま

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『最強姉妹の末っ子』第31話

『最強姉妹の末っ子』第31話

 なるほど、ロリンがなぜ普通のドレスに着替えさせたのか、分かった。
 確かにあの格好だったら、大勢の人形達に私のイチゴパンツを晒される事になる。
 そんなの死ぬより嫌だ。
 モニターに映っているムーニーは口をあんぐりと開けていた。
「おま……え? なんで?……そ、そんな……きょだ……はぁ?」
 明らかに突然私が現れた事に動揺していた。
 私は人形達の家を踏まないように慎重に正面を向いた。
「ムーニ

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『最強姉妹の末っ子』第26話

『最強姉妹の末っ子』第26話

「な、何をボゥっとしているの?! 早く何とかして!」
 ムーニーの怒声が聞こえる。
 途中、熱くなったり寒くなったり痺れそうになったが、回転しているからか、受け流されて、全く影響を受けなかった。
「おりゃおりゃあああああ!!!」
 私は遠心力を利用して軽くジャンプした。
 フワッと浮かんだかと思えば、そのまま上昇していった。
「ボボ〜〜〜!!!」
 私がそう叫ぶと、手が急に熱くなった。
 流れるよ

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『最強姉妹の末っ子』第25話

『最強姉妹の末っ子』第25話

「私を騙したの? お姉様」
 ムーニーは唖然とした顔でロリンを見ていた。
「違うわ。ムーニー」
 ロリンは首を振った。
「あれは最終手段よ。魔機を停止させ、この国の人達を元に戻して、チャーム王子の居場所を教えてくれたら、何もしない。
 本当よ、私を信じて」
 ロリンはそう言ってムーニーの両手を握った。
 彼女は一気に顔を赤らめて、サッと違う方を向いた。
 しかし、ウーンと唸っているだけでなかなか口

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『最強姉妹の末っ子』第24話

『最強姉妹の末っ子』第24話

 ムーニーの手にボタンの付いた小さな箱を持っていたので、私はすぐに取った。
 縦一列に二つ並んでいて、『拘束・解放』と書かれたボタンと『放電・停止』と書かれたボタンがあった。
 私は両方押した。
 すると、椅子の装置が止まり、ティーロとティーマスを拘束していたものが外れた。
 二人ともほぼ同時に倒れたが、意識はあるようだった。
「グオオオオ!!!」
 主を倒されて怒っているのだろう、三ツ頭のドラゴ

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『最強姉妹の末っ子』第18話

『最強姉妹の末っ子』第18話

「ウガアアアアア!!!」
 巨大なオークの魔機が私に向かって棍棒を振り下ろしていた。
 スッと華麗に交わすと、がら空きになった脇腹に一発蹴りをお見舞いした。
「ウグッ?!」
 オークはうめき声を上げたが、まだ大丈夫といった様子で、棍棒を横にして振ってきた。
 私は両手でそれを受け取めたが、相手の力も強いのか、若干後退してしまった。
 が、相手に衝撃を与えるには十分だったらしくて、「ウゴォ?!」と驚

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『最強姉妹の末っ子』第9話

『最強姉妹の末っ子』第9話

 なんて事を思って歩いていると、突然目の前にまた三ツ頭のドラゴンが前に立ち憚った。
 え? なんで居場所がバレたの?
 目をパチクリさせながら振り返ると、私達が歩いてきた道の後ろから魔機達が走ってきていた。
 先頭に狼の魔物がいることを考えると、匂いで私とロリンの居場所を突止めたらしい。
 クソッ、匂いまでは透明化できなかったか。
 私が舌打ちをするご、ムーニーが「末っ子ぉおおおお!!!」と悲痛な

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『最強姉妹の末っ子』第5話

『最強姉妹の末っ子』第5話

「な、なんなのこれ?!」
 私が呆気に取られていると、ムーニーは軽やかな足取りでドラゴンの背中に乗った。
「アハハハッ! こいつは魔機! 魔物をベースにして作られたロボットだ!」
「魔物を……ベース? どういうこと?」
 私が首を傾げていると、ロリンは背負っていたリュックを投げ棄て、「魔物の容姿や身体能力などを参考にして作られたってことよ」と教えてくれた。
 つまり、今目の前にいるドラゴンは本物の

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『最強姉妹の末っ子』第3話

『最強姉妹の末っ子』第3話

 パフェの奥底にあるコーンフレークを食べ終える前に、ロリンは戻ってきた。
「め、メタちゃん……はぁはぁ、ちょっと……付いてきて!」
 ロリンは息せき切って私の腕を掴むと、走り出した。
 私は慌ててコーンフレークを食べ終え、空の容器を通りすがりのピニーに渡した。
 
 一緒に走って連れて来られた場所は、ロリンの研究室だった。
 ここにはビーカーやフラスコなどの実験器具はもちろん、変な臭いのする草や干

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『最強姉妹の末っ子』第1話

『最強姉妹の末っ子』第1話

・あらすじ
 世界屈指の技術力を持つ国メタメターナ。
 その王族の13人姉妹の末っ子であるメタはチャーム王子との結婚に胸を踊らせていた。
 ウェディングドレスに着替えて会場に向かうが、なぜか彼の姿はなかった。
 11人の姉達にさらわれた事を知ったメタは彼を助けるため、天才発明家であり姉でもあるロリンと一緒に旅に出る事にした。
 これはさらわれた王子を救うため、一人の姫が、姉の作った武器やポーション

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