七月の夕暮れ

向かいのマンションに灯りがともる 家路の時間
土曜の夜が始まる 俺はひとり 部屋で暮れゆく空を見てる
欲のままに モノを求め 偽り 人を傷つけ
辿り着いたこの部屋で 俺はひとり 失くしたものを数えている

ラジオから流れる 悲しげなピアノの調べ
心が泣いても 涙は流さない

太陽を追いかけて 俺も沈んでいこう 夜の静寂(しじま)に

鳥達は群れをなし西の空へと 空しく帰っていく
青色が支配する時間 俺はひとり ブルーな気持ちを吐き出す
ふと目が合う鏡の中の自分 もうあまり若くはない
それでも明日を信じて 俺はひとり 瞬きをこらえている

友達からの電話 無理して明るい声で話した
そうやって人は 誰もが偽りを重ねる

太陽を追いかけて 俺も飛んでいこう 終わらぬ夏へ

失くしたものを取り戻すよりも 新しい何かに価値を見つけたい
はじめからやり直せても この人生は選べないのだから
もう何もいらない ただ帰るべき場所が欲しい

美しい思い出 きらめく波の彼方に
愛した人の 影が消えていく

太陽を追いかけて 辿り着いてみせる 陽のあたる場所へ

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