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おいしい思い出たち 母とパートナー父と三人のおばあちゃんの献立

世界中から春の香りが漂ってくる。特に、たけのこご飯の香りが強い。

筍ご飯、大好き。特に和菓子屋さんの筍ご飯。お花見に行く時は、実家の隣の駅にある和菓子屋さんで、お団子やお赤飯などのおにぎりを買って食べたりしていた。でも、数年前、そこの和菓子屋さんが店仕舞いをしてしまい、うちの家族や地元の友達は悲しみに暮れた。ああ、悲しさが込み上げて来てしまう…なにか楽しい話をしなくては!

お花見はお弁当作りも楽しいですよね~、私はいつも「枝豆係」でしたが。友達と数人でお花見する時はそれぞれが主食、野菜、メイン、果物、お菓子、と分担していた。野菜係になると、枝豆、ミニトマト、ポテトサラダ、チーズとかを用意していた私。お菓子係も得意。和洋折衷、甘いのとしょっぱいの、軽いのと重いので、抜群にずっと食べていられるお菓子ルーティーンを作れる才能。罪。

そう、昔から食べるのは好きだし、お料理作るのを見るのも好きなんだが、どうも私は料理人タイプではない。その理由は明らかで、

母が料理上手であるから。

それに限る。

母方の祖母はお料理があまり好きでなくて、祖母宅に遊びに行く時は母はおかずを作って持って行ったり、出前を取ることも多かった。そもそも彼女は糖尿病を患っていたこともあり、食にあまり興味を持てなかったのも原因かもしれない。私が好きだったので、手作りのお赤飯を炊いてくれた事はずっと記憶に残っている。私が「明日行くね」と電話を掛けると「じゃあ、お赤飯炊いとくね」合言葉だった。懐かしいな。

そんな彼女、手先がとても器用で、小さい頃に私が着ていた毛糸ものは全て祖母が編んだものだった。一足だけ、大人になってからのサイズで編んでくれた毛糸の靴下が残っていて、実家の茶箱に仕舞ってある。今でも毛糸ものを洗って、あの独特の香りを嗅ぐと、なんだかお祖母ちゃんを思い出す。

縫物も得意で、小学生の時はワンピースなどをよく作ってくれた。私が「黒と白のボーダーに、白のフワッとしたパフスリーブを付けて欲しい」と何となくのイメージを伝えると、その通りのものを作ってくれて、背中に当てて、仮縫いから本縫いに取り掛かってくれていた。懐かしいな。あの背中に当てられる感じ。感触って結構覚えているもの。

感触と言えば、祖母は私の手を取り「どうしてこんなにすべすべなのかね。いいわね~」とよく言っていた。私は人に身体を触れられる事があまり好きではないのだが、不思議とそれも好きだった。今でも時々、手の甲をそっと撫で「すべすべかな」と確かめたりする。

そうそう、昔よくお土産として、亀谷万年堂でお煎餅やナボナ(絶品!)を買って持って行ったりしたけど、帰り際「メグちゃんこれ」と言って全部持たせてくれたりした。母によく「なんであんた貰って帰って来てんの」とため息をつかれたりもした。

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そして、母。私は小さい頃から、よく手作りの何かをおやつに頂いていた気がする。スーパーママだと思う。思春期になると、ちょっと「手作り」とかむず痒い年頃になったりして、うっとおしがってしまったりもした。特に「マヨネーズ」が手作りだった事が少し恥ずかしかった。今となっては、なんでもないのだが、当時、うちだけキューピーのあの赤い蓋じゃないのを、友達が来た時なんかにちょっと隠したりしていた。

今でも、パンを焼き、マドレーヌを焼き、中華ドレッシングを手作り、毎晩の献立…noteおうちシェフの会に誘ってあげたい。ところでうちの父はリタイヤするまで仕事一筋であったが、最近は料理もそれなりにやるようだ。これは娘として、なんとも嬉しい流れである。思えば昔から、お好み焼きをホットプレートで焼くのは彼の役目だったりもした。懐かしい。

子どもの頃に好きだったメニューは中華おこわ。中華鍋で具や餅米を炒め、蒸し器に掛けて頂くやつ。「面倒なのよ~」って言いつつ、リクエストすると作ってくれた。アルミホイルで包む役はよくお手伝いしたけど、横で見ていた癖に、作り方は知らない。

あと、厚揚げの炒め煮とか、じゃがいものオイスターソース炒めなども最高である。そういう毎日の料理が一番食べたかったりするのよね。

チキンのトマトソース煮、という我が家の鉄板メニューも次の日が美味しい、私の中でカレーと同じくらいの人気メニュー。

オレンジとか林檎のチキンソテーとかも激うま。よくクリスマスの時期に作って貰っていた。

チキンが好きな事がバレる。魚も好き。さんまのつみれ汁なんかああああ食べたい。タコの酢の物とか。うちは、父が青森出身で、よく知り合いから干しカレイを送って貰っていた。干しカレイは、煮ても唐揚げにしてもどっちも美味しい。唐揚げにすると、パリパリと側面も食べれちゃったりする。

あと、実家は漬物天国である。昔からの定番は、きゅうりと茎昆布の漬物。ああ食べたい。マンション住みなのに、ベランダに漬け石がある。昔は白菜をどどんと漬けていた。あと、セロリの味噌漬けも、う~ん、食べたい。いや、それは作れるから今度作ろう。大根の桜漬け、と名付けられたピンク色の甘酢漬けも食べたいな。父の転職で、夫婦揃って埼玉に少しだけ住んでいたことがあったのだが、その時に常連客となった「奈良漬」のお店にわざわざ横浜に帰って来てからも、買いに通っていたりしていた。夫婦揃ってのグルメである。

これはいつか一時帰国の際に、食後に出して貰ったフルーツ。カナダのドーン!バーン!とダイナミックなプレゼンテーションに見慣れていた私はときめいてしまった。美しい…

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今、私は日本×カナダ×台湾の食生活という感じである。

例えば、週末のブランチは近くのお店のチリ。ピザも2週間に一回くらい。エッグベネディクトも大好き(一番好きなスモークサーモンのせが最近、お気に入りの朝食屋さんから無くなってしまい、悲しみ)

ところでこちらは二人分。でも食べきらないので、いつもお持ち帰りボックスに入れてもらい、次の日に頂いている。左側に山となったこのポテトが、お店によって味がちょっとづつ違って、私はこのお店のが一番好き。


ブリトーやSushiなんかもよく食べる。(ところで台湾では「お寿司はお弁当」というイメージらしい。確かに駅構内の売店で、一貫売りしていたのを見て衝撃を受けたことがある。今でこそ、日本の回転すしチェーンはいっぱいあるらしいが)

そして、最近、日本食カテゴリーから「煮干し」が我々の冷蔵庫に仲間入り。実は、パートナーのひいおばあさんは日本人。パートナー父の祖母。この家には着物をお召しになった彼女の大きな写真が額に入って二枚、飾られている。その写真の大きさなどから、愛されていた方なんだな、と思っている。

パートナーが小さい頃はまだご健在で、遊びに行くと日本のテレビを観せてくれたらしい。さらにそのお家で貰える日本のお菓子が楽しみで、今の日本好きに繋がっているとか。当時、全く日本語を話せなかったので「今、彼女に会えたら、俺の日本語の上達ぶりをめっちゃ喜んでくれると思う」と話している(英語で)

パートナー父は、普段中国語と英語しか話さないが彼女の話をする時だけ「My オバアチャン taught me...」と「オバアチャン」呼びをしていて胸キュンである。ああ、オバアチャンって呼んでいたんだな、と和む。

初めてそれを聞いたのは、残っていた白飯があってチンしてふりかけご飯にして食べようと思っていたら

「あ!これ、ちょっと借りて良い?食べた事ある?僕のオバアチャンが教えてくれた奴なんだけれど」とバター醤油ご飯を作ってくれた。

そして、最近は「これ買って来たよ!味噌汁にはこれ、必要でしょ?僕のオバアチャンもこれ使ってたから」と煮干しを満面の笑みで差し出された。

私「ああ、うちの実家も煮干し派です」

父「それは良かった!これがないとお味噌汁は作れなかったよね」

私「煮干し、懐かしいな。小さい頃、好き過ぎて兄とよくおやつにも食べてました」

と話を膨らましたら、その”おやつ”パートは完璧に無視されたけれど。後から、その一部始終を見ていたパートナー曰く「おやつに煮干しとは、きっと侘しい少女時代を過ごしたのだろうと、多分反応に困ったんだと思う」と笑われた。

ところで、私は実は味噌汁のビックファンではないのだが(お吸い物かスープ派)「日本人=味噌汁」と思われているのかどうなのか、ある日「味噌汁これで作れるよ!」と味噌を新調された事もあったし、「味噌汁よそうのに、大きすぎると思ったからこれ新しいの買ったよ!」と小さめのレードルを新調してくれた事もあった。

味噌汁は、パートナーも小学生も好きなので、私はよく作るが、もしかしたらパートナー父も好きなのではないか?と最近やっと頭に浮かんで来た。

台湾食もよく食べている。パートナーが作るので初めて知った、野菜炒めの方法が「野菜一品 油をひいて スライスしたニンニク 少量の水と野菜を入れる 塩で味付け」という一品。一行で書けるレシピなのに、めっちゃ美味しくて野菜炒めはパートナーに任せている。野菜炒めっていうと、野菜数種と肉を盛り盛り入れたがる私だが、この美味しさに目覚めてからは副菜はこれ一本。

パートナー父は台湾料理では揚げ魚が一番好きらしいが、ここトロントは内陸部。海鮮については、チーンである。

あとは、煮込み料理。台湾は煮込み料理が多いと思う。

パートナー父が作る料理で好きなのは、牛肉麺、肉燥(ルーロー)、海老ワンタン麺、冬瓜のスープ煮。全部スープがバリウマなのである。同じ素材を使っても同じ美味しさには絶対ならない不思議。(なんで知っているのかな、PATAさん風)でも彼はキッチンで手伝われるのが好きじゃないので、孤高のキッチン。作り方を我々は誰も何も知らない。

パートナーがよく話すのは、彼の母方の祖母のスープが絶品だそう。スープ大好き人間としては是非、ご馳走になりたい。台湾に帰ると、母と一緒に台北から電車に乗って会いに行くのだとか。お写真ではスープ、拝見している。

台湾のスープで私が好きなのは海苔が入った優しいお味のスープ。訪台すると行きつけのデリで必ず付けてもらう。そこのデリ、基本白飯か炒飯か麺+おかずなのだが、私はおかずだけ大量に注文したこともある。何せ、選べないから。全部美味しそう過ぎて。入ってすぐはお野菜のコーナーなんだが、そこで選び過ぎて「あなた、奥に肉や魚のコーナーもあるわよ」と心配されたりもした。溶き卵と潰したコーンが入ったポタージュスープも美味しくて溶けそうになる。久しぶりに作ろう。

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世の中には美味しいが溢れている。胃袋が沢山あったらいいのに。今日もnoteの美味しい投稿を見ながら目を輝かせている。




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