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シードスタートアップの採用へのこだわり

こんにちは。株式会社Resilire(レジリア)人事の伊弉末(いさまつ)です。
2022年7月に2人目の正社員として入社してから1年半が経過し、組織もCEO含め14名まで拡大してきました。
本記事では、実績も知名度も資金もあまりないシードスタートアップのResilireが採用に対してどう向き合ってきたのか、今後どう組織拡大していくのかについてまとめています。
シードスタートアップの採用の参考になれば嬉しいです。また、Resilireを検討していただいている候補者の方々にResilireが何を大切にして採用活動を行なっているか確認いただける内容になっていると思います。


Resilireの採用実績


前述した通り、組織は14名まで拡大し、急成長とは言えないまでも着実に組織が拡大してきました。

現在の組織

最近では、ベンチャーキャピタルや他社スタートアップ、人材紹介の方々から「Resilireは良い採用ができているね」と言っていただけることが増えてきました。特に評価をいただけているのは、一人ひとりのメンバーの優秀さにあると思います。
Resilireメンバーは、プロフェッショナル意識が高く、大人な人が多いです。事業の急成長期を牽引してきた人が集まっていることもあり、”コトに向かう”重要性を理解し、責任感が強い人が多いです。また、様々な失敗経験も多いからこそ、1人の力を過信せず、チーム意識が強く、お互いに高め合いながら推進できる魅力があります。
結果として、前職で執行役員、マネージャー、テックリード等の経験者が6割を超えるほど、頼り甲斐のある仲間が集まってきています。

一方で、これまでの採用は決して簡単とは言えず、多くの苦労がありました。私が感じたシードスタートアップの採用の難しさについても触れてみようと思います。

シードスタートアップの採用の難しさ


これまでの採用を振り返って思うのは、シードスタートアップの採用がスーパーハードモード過ぎることです。笑
転職マーケットは、圧倒的売り手市場な状況に加え、各ポジションの1、2人目を探すので必然的に採用ハードルが高くなり、シードスタートアップが1人を採用することは想像以上に難しかったです。

実際に採用に向き合ってきた中で、大きく4つの難しさが存在しました。

①認知獲得
認知を増やすには、対外向けの発信を増やす必要がありますが、発信できる実績が少ないことに加え、発信にかけられるリソースも限られています。

ダイレクトスカウトで候補者に直接アプローチをしても圧倒的な売り手市場なため、優秀な人は1ヶ月に50件以上スカウトを受け取っていたりします。そもそもスカウトを読んでもらうことも難しいです。

エージェントに関しても数多ある企業がこぞってエージェントを頼っている状況のため、数百、数千社の求人から候補者に紹介してもらえる求人はせいぜい20-30社ほどです。まずはエージェントにもファンになってもらわなければ、紹介をしてもらうことも難しいです。

リファラルは、関係性もあるので認知は取りやすいですが、そもそも社員が少ないと紹介できる人も限られることに加え、飛び込む覚悟が求められるシードスタートアップには各家庭の状況もあるので気軽に誘いにくかったりもします。

②選考に進む意向獲得
カジュアル面談等でなんとかお会いできても各社から大量のスカウトやエージェントからの紹介を受けているため、候補者がカジュアル面談を受ける社数も多いです。感覚でも平均して7-12社ほどあります。その中から選考に進めるのが3-5社ほどで、ここでもふるいにかけられます。たった一回の面談でどれだけ自社のことを魅力に感じてもらえるかが非常に重要になります。

③お互いの厳しい見極め
受け入れる企業にとって、少ない組織への1人の影響はとても大きいです。そのため事業共感やカルチャーマッチ、スキル等様々な視点で細かく確認する必要があり、より慎重な見極めを行います。

候補者も同様に会社の将来性はどうなのか、今いるメンバーとやっていけるのか、どんな働き方なのか、とにかく不安要素が多いです。レイターフェーズの会社と比較すると会社の成熟度が明らかに異なるため、懸念も目立ちます。

④オファー額の高騰
各社人材不足でオファー金額が高騰し、資金が潤沢にないシードスタートアップは厳しい戦いが強いられます。最近はスタートアップでも1,000万円を超えるオファーもよく見かけます。

Resilireの場合、⑤採用要件を満たす人材の希少性の高さもハードルとなりました。

製造業向けバーティカルSaaSかつサービスの特性上、顧客セグメントは売上1,000億円以上の大企業が中心のため、必然的に採用すべきターゲットもエンタープライズ経験のあるビジネスメンバーを探さなければなりません。
プロダクトサイドもバーティカルSaaSかつ大手企業向けだからこそ、より深く顧客のビジネス・業務フローの理解が必要となります。そのため顧客価値を起点にプロダクト開発に向かえるプロダクトメンバーを探さなければなりません。

細かいことを挙げれば、他にも要素はありますが、これだけでもシードスタートアップの採用は十分に難しいと言えそうです。

シードスタートアップの採用への取り組み


これらの難しさを乗り越えるには、銀の弾丸のような取り組みを探したくなりますが、私は1年半でそのようなものを見つけられませんでした。笑
とにかく様々な取り組みを試し、改善を積み重ねてきましたが、その中でも取り組んで良かったことを7つまとめてみました。

①採用しない人を決める
まず最初に取り組んだのが、採用しない人を決めることです。シードスタートアップにとって、任せたい仕事は山ほどあります。そのため「〇〇のような人が欲しいよね」「△△な人がいたらな」という採用したい人は勝手に話題にあがります。

一方で、採用しない人は意識しないと言語化が進まない印象があります。シードスタートアップは良くも悪くも1人の影響が大きいです。1人の採用が大きく好転することもあれば、むしろ状況が悪化することもあります。それらを防ぐためにも採用しない人の目線を合わせることは非常に重要だったと感じます。

また、初めに採用したい人・しない人を決めたことで、対外的な魅せ方でも採用したい人が魅力に感じる内容を発信しやすくなりました。

②全社を巻き込んだ採用
ここの重要性に関しては、各社発信されているので、詳細は割愛しますが、Resilireも全社で採用に取り組んでいます。リファラル活動、ダイレクトスカウト送付、面談・面接実施、採用関連の記事発信にも積極的に取り組んでもらっています。コトに向かえるメンバーが多いため、採用の重要性を理解し、前向きに取り組んでくれる人しかいないです。人が増えるたびに採用が加速しているのを実感しています。

③挑戦したい人が安心して挑戦できる環境づくり
私自身は、カオス耐性が強い方だと自負していますが、入社当時は「この環境は、入社したくても不安に感じる要素が多い」と感じていました。
そのため社員2人のタイミングで就業規則を策定し、有給付与のタイミングや働く時間、働き方などを定めることで、柔軟に業務に取り組める環境を整えました。
本人にいくら挑戦の意思があっても自分自身ではどうにもコントロールできない家族の事情や体調面の問題が起こることがあると思います。そのような不測の事態に備え、最低限のサポート環境を用意することで、「挑戦したい人が安心して挑戦できる」と考え、早期に着手しています。

結果として、私の次に入社した1人目のエンジニアは、第一子が生まれた1週間後に入社し、入社日初日から里帰り出産のサポートをしながら業務に取り組めたことからも整備した甲斐がありました。

④事業がもたらす価値の言語化
会社を選ぶ上で「事業を通して、誰の何を変えられるのか」は重要な判断軸になると思います。Resilireの当時のミッションは、抽象度が高く、Resilireが達成したいことが伝わりづらいという課題がありました。また、サプライチェーンをテーマにしていますが、私たちの生活に密接に関わるものでありながら、イメージを持ちにくい事業のため、事業への共感が得られにくいというのが1番の課題でした。

ミッション改定やなぜこの領域に取り組むかを言語化したことで、Resilireの事業がもたらす社会意義の大きさを理解してくれる候補者が増えたと感じます。まだ課題はありますが、これからも伝える努力を怠らず、改善を続けていきたいです。

ミッション改定については、下記に詳細をまとめています。

Resilireがなぜこの領域に向き合っているのか、を弊社代表の津田がまとめています。

⑤自分たちのバリュー理解を深める仕掛け
Resilireのバリューは、これまで2回の改訂を経て、現在のバリューに落ち着きました。当初は各バリューに多義性があり、人によって解釈が大きく異なるものになっていたり、日常で使われにくいワーディングになってしまっていたりといくつかの課題があり、それらを解消するために改訂してきました。

バリュー改訂については、下記にまとめています。

現在、バリュー自体は定まってきましたが、今後浸透し続けることが最も重要です。自分達のバリュー理解の深さが中長期のカルチャー浸透を決めると考え、下記を取り組んできました。

  • 全社員のバリュー理解を深めるための合宿

  • 各バリューの想いとGood&Badアクションの言語化

  • バリュー重視の評価制度の策定、運用

  • 採用面談の評価項目にバリュー評価を追加

  • Slackのバリュースタンプ活用

これらを通して、最初にバリューを策定した時よりも明らかにバリュー理解が深まりました。バリューの理解が深まったことで、候補者の何が懸念なのか、逆に何に魅力を感じているのか、が明確になり、見極め・アトラクト双方にとってプラスに寄与していると感じています。

⑥企業の魅力を6Pに分類した採用広報
私は、企業の魅力を6Pに分類できると整理しています。

6P
・Philosophy(企業理念)
・Product(製品)
・People(人・文化)
・Profession(事業・業務内容)
・Privilege(特権・待遇)
・Phase(事業ステージ)

採用広報にかけられるリソースも限られる中、目的が曖昧なまま闇雲に発信すると効果実感が得られにくく、継続性がなくなってしまいます。そのため私たちは、この6Pを軸に会社の魅力を整理し、発信してきました。粒度は様々ですが、結果として50本近くのコンテンツ発信を行ってきました。(月3~4本ほど)

また、この6Pを軸に整理したことで、魅力として存在するのに発信できていないものは積極的に発信し、魅力が存在していないものは魅力の言語化・整備が進み、会社としての魅力を引き上げることにもつながっています。

6Pを軸に発信が増えたことで、選考希望を迷う候補者に合わせたコンテンツを送ることが可能となり、選考希望への後押しにつなげられています。

⑦安心感を醸成する選考プロセス設計
シードスタートアップは、候補者からすればワクワクよりも不安なことが多いと感じます。いくら事業が魅力的でも常に何かしらの不安が伴います。入社してみないとわからないことも多く、最近では業務委託で入社してから入社可否を判断する、という事例も増えてきているかと思います。

一方で、現職が忙しい方や副業が難しい方にとっては、その選択肢がとれず、選考プロセス内でどうにか解消するしかないのです。

Resilireの選考プロセスは、候補者一人ひとりに誠実に向き合うため、候補者に合わせた選考プロセスを設計しています。候補者が不安を抱いていれば、解消できるような場を設計しています。

セールスとして入社した小寺も入社理由の一つに「採用プロセスの安心感」を上げてくれていました。

これらの積み重ねによって、シードスタートアップの採用の難しさを少しずつ乗り越えられるようになってきていると感じています。
これからも改善を続け、新しい取り組みも積極的に行なっていくことで、2024年はより一層採用を加速していきたいと考えています。

10から100名の組織へ


Resilireは、製造業全体のサプライチェーンデータを集めるため、業界・企業規模に合わせたプロダクトをマルチに展開していくことが必要だと考えています。それらのデータをResilireという一つのデータベースにいかに早く多く
集められるかが、長期的な顧客価値最大化に大きく影響します。

今後のプロダクト構想

これらを実現するためには、ここから3年で10倍の100名を超える組織へ成長することが求められます。これだけの人員が必要な理由としては下記が挙げられます。

  • マルチプロダクトかつグローバル展開を可能とするプロダクト組織づくり

  • コンパウンドスタートアップを実現するためのデータ、インフラ基盤組織づくり

  • 製販一体でアジリティ高く、プロダクト組織と連携可能なビジネス組織づくり

  • アカウントカットで深く顧客に伴走できるセールス・CS組織づくり

  • 急成長を支える各領域のスペシャリストが集まったコーポレート組織づくり

採用難易度が高い中、これだけの組織拡大を実現することは難しく、面白いチャレンジです。カルチャー濃度を薄めずに組織拡大することは、より難しいチャレンジとなりますが、ここから1年のコアメンバー採用にどれだけこだわれるかが大きな分岐点となりそうです。

採用数にとらわれず、質を追求した結果、優秀な人が優秀な人を連れてくる好循環を生み出し、カルチャー濃度を薄めずに採用計画も達成できる、そんな理想の採用を実現していきたいです。

最後に


Resilireでは、早くも二人目の人事を募集しています。

圧倒的な売り手市場で、どの企業も人材不足で困っている状況において、採用が事業成長の大きな鍵となっています。採用に苦戦し、事業をグロースしきれないスタートアップも多くみてきています。Resilireも同様に採用が苦戦することは、事業進捗の遅れにつながります。逆に採用状況がで、事業を大きく加速させることもできるやりがいのある領域です。

10名の初期のタイミングから採用を通じて事業を牽引していきたい方がいま
したら、ぜひカジュアルにお話しさせていただきたいです!

人事の求人はこちらです。

採用に関する詳細は採用ページをご覧ください。

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