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「生きる-LIVING-」命の期限を知り、人生を見つめ直す物語。

役所勤めで、単調な毎日。いつも死んだ様に生きてきた男、ミスター・ウィリアムズ(ビル・ナイ)が、ある日突然、自身の余命を知り、人生を見つめ直す。息子夫婦や同僚、部下ともろくにコミュニケーションを取って来なかった自分を顧みる。

余命を知るまでは、ゾンビというあだ名をつけられるほどの人だった。そんな男が、目の前に死が迫り取り戻せない過去に後悔し、恐ろしくなる。遅いのに、いや、遅くはない。彼にはまだやり残していた仕事があった。

大ヒット映画の「RRR」は、最小限のセリフのみで、豪華な映像と音楽、表情で物語を説明してくれるけれども、この作品はそれと比較して、ほぼ台詞で説明してくれる作品で逆に新鮮。今自分はどういう状況で、何を想いこれから何をしたいかを全部話してくれる。静かで丁寧な演出もあり、流れるまま観て後半は泣きつかれた。

とてもリアルだなと思ったのが、彼はその命をかけてあるプロジェクトを達成します。その完成後、死を迎えた彼に皆感銘を受けて、彼の様に生きようと誓うのですが、そこでめでたし・めでたしで終わるのではなく、日々の業務に忙殺されてその誓いを忘れて、またお役所仕事のたらい回しに戻ってしまうところ。ここが人間らしいですよね。でも、彼の魂を受け継いだかのような、あの若者は希望でした。

パンフレットも買いました。脚本やキャストの話はもちろん、黒澤明版の解説も写真付きで色々載っていて買って良かった。物語は日本とイギリスで、もちろん違いはあるけど普遍的。そして仕事観。自分の仕事も、お役所ではないけれども、後世にはまったく残らない。けれど、日々小さな達成感はある。それを大切に生きます(すぐ影響受ける)

死ぬって分かった途端に命を燃やそうとするの、消えかけた蝋燭みたいで、心が苦しくなるが、人間らしいというか。生き死にじゃなくても、例えば納品日未定の仕事よりも、デッドラインが差し迫ってる仕事になると急に覚醒するし。それが寿命なら尚更悔いを残したくないでしょう。

これは黒澤明版を観てからまた更新しようと思います。

リメイク元の作品
黒澤明監督の「生きる」

命のリミットを知ってから始まる作品は他にも

余命じゃなくて、全人類が死ぬと分かった後の物語

ある日突然、神様から余命のメールを受け取ったら?という物語

自分の寿命を自分で決める。公共安楽死施設の物語