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短編小説24-1「戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた」

《ゾンビと戦う方法って本あったよね》

僕が2020年10月1日~10月31日に開催してる企画
《【クリエイター交流ハロウィン企画】戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた》
の参加作品です。
皆さんも是非参加してくださいね。


金曜日の仕事帰り、夜遅い時間にもかかわらずサイレンの数が多い。だが気にも留めず僕はスマホでSNSを開いた。

『いきなりおっさんに噛まれたんだけど!ちょーキモイ!』
『まじぴえん、血まみれの人が歩いててびっくり』
『今日の夜ご飯はオッムッラーイスー!すっすっすー!』
『なんかテロあったんだって』
『今日サイレン多くね?』
『助けて助けて!めっちゃドア叩かれてる!やばいttあdk』

なんか今日のタイムラインやばいな。と思ったら電車が急停車した。すぐに車内アナウンスで踏切に立ち入った人がいると放送が入る。
もう少しで新宿だってのに、ここで待たなきゃか。またスマホを開くが、微かに遠くの車両で叫び声が聞こえた。

それから徐々に、徐々にだが人の波が前方の車両から押し寄せてくる。それとともに僕も鼓動が早くなる。

血相を変えた人々が怒声と悲鳴をあげこちらへ突っ込んできているからだ。
幾人かは血を流しているように見える。

『人が殺されてるぅうっぅっ!!!』

ようやくなんと言ってるか聞こえた。一瞬周りの人達の空気も冷える。そして尋常じゃない人々の形相を見て、本当だと悟ったのだ。

僕も急いで逃げることにした。後方車両に。
しかし、犯人が前方車両に居るのならば、外に逃げなきゃならないんじゃないか?

「外! 外に出ましょう!」

僕に賛同したガタイの良いおじさんが非常用ドアコックを操作してくれた。僕やおじさんを含めたその他大勢が後方車両と外へと逃げ出した。
しかしここはまだ地下だ。わずかな光のみで車両から離れることにした。

突然線路上で叫び声が上がった。それと共に唸り声のようなものも聞こえる。まるでオオカミが飯を喰らっている時のような声だ。

「ひとっ、が! くってる!」
「人が! 人が喰われてる!!」

僕を含めて理解が追い付かない人々は、一瞬頭の中を整理した。しかしその現場が見えて、僕は息を呑んだ。

「なんだあれ、怪物? やべぇ、なんだこれ」

僕は知らない人の服を掴んでいた。そしてその人は僕の腕を千切れるくらい強く掴んでいた。
そしてその人は呟いた。

「……逃げるぞ、やばいって」

ああ、確かにそうだ。なんかヤバすぎる。僕もその喰われてる現場とは反対方向に逃げることにした。
歩かない。走って逃げた。途中何かに躓いて転んだりもしたが、少しでも遠くに行きたくて。

少しするとホームが見えてきた。さすが東京だ、駅間が近い。
一緒に逃げてきた数人で、ホーム上によじ登って一息ついた。

これはまだ始まりだとも知らず、安堵の表情で。

survive?

短編小説24-2「戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた」へ続く

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