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【読書感想文】『わけるとつなぐ これ以上シンプルにできない「論理思考」の講義』

「正解のない問題」に悩んだとき、「自分だけの答え」を出すために

表紙カバーのそでに書かれたキャッチーなコピー。読み出す前に、胸をわし掴みにされた。ひとつの問に対する答えを提示してくれる本ではなく、あらゆる問いに対する、答えへの迫り方を教えてくれる本が好きだ。

目の前には、正解のない問題がゴロゴロ転がっている。我がメイン業務は子育てだが、特に子どものことについては、周囲に助言を求めても、「聞いたとおりの真似事をしていれば万事OK」なんてことには絶対ならない。

子どもの個性によって、選択肢も解決策も変わってくる。兄弟間でも対応は異なる。だからQ&Aではなく、問題解決の思考技法を知りたいのである。

常日頃そんなことを考えているので、このコピーにガッチリ掴まれた。「私も自分だけの答えを導きたい!」ということで、読みました。

きっかけは、この本の編集者である今野さんのnote。

「たとえばなし」の本が作りたい、という今野さんの思いから始まったこの本の企画。紆余曲折あり、著者の深沢さんに連絡をとってから本が発売されるまで、3年8か月もかかったとのこと。

詳しい流れは今野さんのnoteで垣間見れるが、時間の変化とともに、企画書にもかなりの変化が見られ、今野さんのnoteを読んだときには、「企画から随分と変わって出来上がった本なんだなぁ」と思っていた。

しかし、読後感はまさに「たとえばなしの妙」という感じ。テーマの『わけるとつなぐ』をストーリー仕立てにレクチャーすること自体、すでに「たとえばなし」だし、ストーリーの中にもたくさんの「たとえばなし」が散りばめられている。

「たとえばなし」が登場人物たちの理解を深めながら、読者の理解も後押しし、一貫して「たとえばなし」によって形作られている印象を受けた。

シンプルに書いてあるので、読んでいるときは「なるほどね」の連続。消化不良も一切なしで、安易にさえ思えていた。でも、実践しようとすると、少々頭をひねらねばならなかった。問題要素の分解は易々できるもんじゃない。それを「できそう」「やろう」と思わせるところが、この本の凄さだ。

よくあるビジネス書のように、事実の羅列で語られていたら、頭に入ってこなかったかもしれない。ましてや、子育てに活かそうなんて、思いもしなかったかも。難しい話をシンプルに、しかも年齢や職業問わず、わかりやすく伝えているところに感嘆する。

今野さんが企画当初に考えていたという、

年齢も立場も経験も違う人同士のコミュニケーションに「たとえばなし」が機能していることに興味があって、ただのオヤジギャグでもダジャレでもなく、目の前の相手に即した適切な「たとえばなし」ができる人の思考を可視化したいと、ビジネス書の編集者っぽいことを考えていた。

という点が見事に表現されて、一端の主婦である私もこの本を手に取り、感動をこうして伝えているというわけである。

主人公を高校生にしているところは、読者を大人に限定しない目的があるのかな。中学生にでもなれば、親近感を持って読めるだろう。我が家も息子たちが大きくなるまで、本棚に大切に入れておこうと思う。

世代を超えて、大事にしたいと思える本に出会えました。


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