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みにシアター。

年末、6日間の長期休暇。
地元、岩手に帰省した。

24年間の中で、1番あっけなく年を迎えた気がする

祖父の家で親戚で集まり食事はしたのだが、
今回は、従姉妹は高校受験、アメリカに移住など
予定が立て込んでおり、
集まったのは私の家族4人と、祖父、韓国の叔父さんの6人であった。

あけましておめでとうと言葉を交わすが、
なんとなく年々、その言葉の新鮮さが消えてきた

お年玉もあげる側になったのもちょっと歯がゆい

元旦には、家族で映画館に行った。
商店街の通りを少し外れたとこにあるビルの5階に映画館は、ある。
創立30年目のこの映画館は、50人ほどの席数で
スクリーンもかなり小さい。
ここまで小さい映画館は久しぶりだった。
こじんまりとしていて、なんというか
地域密着型な穴場、というかんじ。


『ホイットニーヒューストン』をみた。

米国で人気なるにはドラッグは不可欠なのか?
薬物の過剰摂取により生涯を捨てた彼女。
とても惜しく思う。

帰り際、ビルの1階のBARや居酒屋を横目で見送っていると、父がぽろっと言った。
"このビル、取り壊しになるらしい。"

どおりでどこも、人の気配がないわけだ。
BARの木製の入り口と思われる扉にはスプレーで
"Good Bye"と落書きがある。

私は少し、切なく怖くも思った。
かつては映画というだけで珍しく、50席は常に満席で、
夜な夜な、賑やかに人々が酒を言葉を交わし、
人が集まる場所であったこのビル。

今は50席のシアターにたった13人ほどの客。
わずかな呼吸だけしているこのビルが、静かに終わりを迎えるように

人も、
いつのまにか必要とされることが少なくなり、
人と関わることも減り、少しずつ忘れられて、
静かに息を引き取るのだろうか。

その時、なんとなくドラッグで逝った人たちの気持ちがほんの少しだけ理解できた気がした。

ばいばい。

私だけはこのビルを忘れない
なんて言わないけど

今日見た映画は良かったよ。

私はしんしんと降る雪の中を、早足で
車へと向かった。

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