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なぜ勉強するのか?に答えるヒント~メタルギアソリッドⅤの深い学び~

こんにちは。ますこ将太郎です。
「なんで勉強しなくちゃいけないの?」という問いへの答えは無数にあります。子育てにおいてはこの問いに答えるチャンスは数えるほどかもしれませんが、塾で働いていれば、毎年何度も聞かれます。
そして年々、自分の答えもアップデートされていきますので、その答えを今回と次回記事で2つご紹介します。

今回、めっちゃくちゃ長いです。
子どもたちの「なんで勉強しなくちゃいけないのか?」という問いへの答えのヒントをたくさんちりばめました。ご活用していただければ、幸いです。


0. 問いの整理~2パターンの証明方法~

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まず、問いの整理です。
「なんで勉強しなくちゃいけないの?」という問いには、
「勉強する必要はない、ということはない。なぜなら~」という説明と
「勉強する必要がある。なぜなら~」という説明という
2通りの説明の方法があります。

こうして道筋を明らかにすることで、自分の意見がどちらを伝えようとしているのかはっきりとしてきます。
結論や伝えたいことを意識しながら、話の中で何度も出すことにより、相手の潜在意識に訴えていくこともできます。簡単に言うならば、サブリミナル効果のようなものです。
まずは考え方がどちらの方針なのかを整理することをおススメします。

1. 社会で役立つことを勉強しているのか?

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まずは勉強する必要がない、ということはないという話です。
いわゆる「そんなことやっても社会に出て役に立たないじゃないか」という疑問に答えていくものとします。

たしかに、英語の読解文法などは現在のグローバル化の社会で必須ですし、算数の計算や国語の読解などは、一生使える知です。
「ネギは冬の農作物だ」→旬のものを食べるというときにつながる知識
「オリオン座はこの方角にみえる」→デートに使える知識?
社会や理科の知識もつかいようはある知識だと思います。社会に出てから役立つのだから、学ぶ必要があるじゃないか、と考えられます。

では、因数分解や解の公式、はたまた積分や三角関数などは社会に出てから役立つ知と言えるのでしょうか。もちろん、建築の分野で活用することや、数学を生業とすることはあります。しかし、あえて言うならば、大多数の人は高校卒業以来、使ったことがないはずです。

そうです。まず、我々大人は言うべきなんです。「これから先、一生使わない知識も習う」という事実を
そこに嘘が混じれば、そのあとの話も全て嘘に聞こえます。まずはこの事実を認めるべきなんです。

さて、社会で役に立たない知識であるとわかったうえで、勉強する必要はないというわけではないということをお伝えしていきます。

2. 言葉を持つということの意義

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私たちは考えるときに必ず「言葉」を使います。
たとえば、いま抱えているビジネスの課題や子育ての課題を言葉を使わずに考えることができるでしょうか?
もっと言えば、考えるために、私たちはどれだけの言葉を使っているでしょうか?
「言葉」の量を増やすということは私たちの漠然とした感覚を、自らの考えとして、より細かく、正確に落とし込むことができる。また、人に伝わりやすく表現できるということにつながるのです。

織田信長のことを「戦国時代にいた、マジでヤバいおっさん」としか表現できない人が、就活のときに自分のことを自己分析できるでしょうか?正確にアピールすることができるでしょうか?

勉強の目的が自らの思考力を鍛え、豊かな発想力を養い、他者と協働していくことにあるとするならば、「言葉」を増やしていくことこそが、勉強の本質だということです。だからこそ、その知識自体は役に立たないかもしれないが、その知識を得ることで「言葉」の領域が広がることには意味があるといえるのではないでしょうか。

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画像引用元:https://www.jp.playstation.com/games/metal-gear-solid-v-the-phantom-pain-ps4/


コナミから発売されている『メタルギアソリッド』という冷戦期~近未来を舞台にしたゲームシリーズのなかに、「スカルフェイス」という登場人物がいます。作中のボスキャラの一人で、主人公の敵側の指揮官です。東欧出身で、故郷がハンガリー領そしてソ連領になるという戦争下の過酷な幼少期を過ごし、母国語を奪われ続けてきた過去から世界の支配的マジョリティに対して復讐をするという人物です。彼は作中で、「人は国に住むのではない。国語に住むのだ。「国語」こそが我々の「祖国」だ」という発言をします。
(すごいゲームですよね。作中の世界観は英作家ジョージ・オーウェルの『1949年』に影響を受けていて、主要テーマを「言語」にするゲームなんて。)
これはルーマニアの作家 エミール・シオランの『告白と呪詛』からの引用です。原文は 「On n’habite pas un pays, on habite une langue.Une patrie, c’est cela et rien d’autre. 」であり、直訳すれば、「人は(ひとつの)国に住むのではない、人は(ひとつの)言語に住むのである。祖国とはそれであり、他の何ものでもない」という意味になります。
思考・思想はその用いる言語に規定されるということを表しています。

また、大学生を対象にした実験において、語彙が乏しいと学業成績に影響を与える可能性があるという研究結果もあります。一方的に語彙が成績に影響を与えているわけではなく、相互に関係しあっているという示唆もありますが、語彙を増やすことが成績の改善につながる可能性があることが科学的に指摘をされています。

これらのことから、「社会に出て役に立たない知識を勉強する必要はないじゃないか?」という問いに対して、そんなことはないと答えることができます。数式や化学式などの「言葉」があり、使うことができるということが重要なのです。私たちは「言葉」を学ぶために、勉強をする必要があるのです。

まとめ

「勉強する必要はない、ということはない」という観点からのアプローチでした。
今回挙げた事例をすべて話す必要はありません。
しかし、
・「勉強する=社会に出て役立つ知識を手に入れる」という嘘をやめる
・「言葉」がいかに人生を豊かにするかを伝える・考える
これらが「勉強をする意味」のヒントになるのではないでしょうか?

長文にもかかわらず、最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
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