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大型銀行で口座開設をした時の壁

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

僕が三菱UFJ銀行へ口座開設の手続きをしに行った流れを話す。

口座開設の理由や在留カードの件はまだ良い。日本語で話してお互いの会話も問題なく成立しているのに日本語がわかるかどうか、印鑑がわかるかどうか聞く必要あるのか。言いたかったのは「日本語も印鑑も分かるし、なんならあなたの胸についているバッチに書いてある名字も読めますよ。」
ここはグッと抑えた。
隣の窓口に来ていた日本人のお客様にはとても丁寧な言葉で話していたのに、外国人の僕を担当してくれているこの目の前の人はなぜ時折タメ口が入るのか。この人の性格なのか、僕の日本語の発音が変だからそれにつられたのか、もしそうだとしても、一応僕は丁寧語で話していたのだし隣の窓口に来ていた日本人のお客様と立場は変わらないはずなのに。
もちろんここもグッと抑えた。
銀行口座の開設理由を聞かれて説明すると、みずほ銀行や住友銀行の方が支店が多いからそっちの方がいいんじゃないですか?というニュアンスで他銀行を勧められた。僕は出張で東京や大阪が多いから都市にあればそれだけで十分です、と最初から言っているのに!今来ているここはどこですか?三菱UFJ銀行の窓口ですね、他の銀行がよければそっちに最初から行ってるよ、と言いたかった。
口ではグッと抑えて心で言った。

様々な「グッ」を乗り越えてようやく最終段階まできた。口座を作るための申込書を渡され、ここからここまで書いてくださいという説明を受けて書いた。ようやくこの長い戦いが終わる安堵感から、お腹がグゥとなった。ここは抑えられなかった。
書き終わって担当の人に見せるとすぐ返されて「名前のところは在留カードと同じ順番(名字→名前)で書いて欲しいんですけど、、」と。詳しい説明なく用紙も自由に書けるようになっているからいつものように名前→名字でも問題ないと思っていたからがっかりした。せっかく最後まで書き終わったのにまた最初から書き直しだ。「二度手間になって余計に時間がかかるから、そういう大事なことは最初から言ってください!」
度重なるグッやグゥが溜まっていた僕はとうとう言ってしまった。相手は「あ、すみません」と一言。結果的には無事口座を作り終えた僕は、モヤモヤが溜まったまま銀行を後にしたのだった。

お金を取り扱う大事な仕事だから慎重になるのはもちろん分かる。さらに外国人となると手続きがさらに念入りになることも。もしかしたら過去に外国人を相手にして失敗した経験があるのかもしれない。でも考えて欲しいのは僕は過去と同じ外国人ではないこと。マニュアル通りにしなくちゃいけないのは分かるから、せめてマニュアル外のことで手間を取らせないで!ということ。

最初に「外国人に対して」と書いたが、皆さんからの意見を聞く限り日本人同士や障害を抱えている方、さらに日本以外の国でも同じように「失礼」に感じる対応があったようだ。人の問題か銀行の問題か国の問題か。僕が思うに大きな問題ではなくて、言い方ひとつだと思うのだ。失礼のないように、というよりかは相手の立場になって気持ちに寄り添って考えて行動、言動することだ。基本的なコミュニケーションが足りない理由はそれこそ、複雑化されたマニュアルによるものだと感じた。マニュアルのページが増えれば増えるほど、その重さに人の心が耐えきれなくなるのではないのだろうか。
もちろん銀行員の人全員が書いたような対応をしているわけではない。親切な人はたくさんいるし、僕が三菱UFJ銀行に入った時の案内係の人は笑顔が素敵で癒された。
人を相手にしている仕事だからいろんな人がいて疲れると思うし、ストレスが溜まるだろう。銀行を利用する人も銀行で働く人も、さらに過ごしやすい環境になればお金はもっと回るのに、と感じた。

そこまで考えた僕はモヤモヤはなくなり、代わりにお腹の方がうるさくなってきたので作った牛丼を食べて黙らせたのである。僕の体のほうは簡単でありがたい。

Massi

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