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FP3級受験について

先日、FP(ファイナンシャルプランナー)という資格試験の3級を受けてきた。数ヶ月勉強して挑んだので、わからない問題もあったが合格は大丈夫だろうと思う。むしろ、平均合格率が70〜80%くらいの試験なので受からないと恥ずかしいくらいだ。

FPとはお金に関する知識を身につける資格である。問題は保険や年金、不動産や所得税、投資などから幅広く出題される。どうやら2級くらいからは履歴書に書けて、1級を取ると一人前のファイナンシャルプランナーとして働くこともできるみたいだ。

ということは3級を取得した程度では、ファイナンシャルプランナーでもなんでもなく、ファイナンシャルプランナーの卵だ。いや、ファイナンシャルプランニングを少し知っている程度の素人だ。資格名には「プランナー」とあるが3級レベルでは真のプランナーには到底なれないという真実がそこにはある。

FPを受験しようとしたきっかけは正確には思い出せないが、やはり社会人になってお金との付き合いが増えてきたことがきっかけなのだろうか。世間でもステイホームが叫ばれるようになったくらいから、つみたて投資やiDeCoなど、お金に関する情報を目にする機会が増えた。知らない間に厚切りジェイソンは投資の本を出版してイケイケになっていた。そのような情報の中でFP資格のことも触れられていたので、そこで受験を決めたのだったかと思う。

また、社会人になってからこれといった資格検定を受けていなかったので、久しぶりに何か受けようと思っていたタイミングでもあったからというのもある。社会人になると「できない理由」ばかりを考えてしまうようになっていたので、それを打破したかった。(※実はテキストは1年前に購入していたが忙しさを理由に去年の受験は断念した。)


そんなFP試験を受験したわけであるが、私の受験会場は関西の某大学だった。友達も通っていた大学だったので、馴染みのあるところだった。ドライブも兼ねて車で向かい、近くのパーキングに停めた。余裕をもって集合時間の30分以上前に着いた。少しテキストを見て大学へ向かうと、正門に向かって群衆が押し寄せていた。そして、大学構内に入ると。数百人単位の人が溢れ返っていた。「こんなにも受験者がいるのか」と驚いた。せいぜい数十人程度だろうと思っていたからだ。

最近ではFP資格の人気が高まっていると聞いていた(という私もミーハーの1人)が、これほどまでなのかとごった返する人の群れを見ていた。どうやら試験会場となる校舎は複数あるらしく、自分の受験する校舎を探し回らねばならなかった。それを知る方法は会場となっている校舎の前にある掲示板を見るか、構内に数人いる試験スタッフに問い合わせるという形式だった。

私も、誰も、次々に校舎をまわり、ここも違う、あそこも違うということを繰り返した。試験スタッフに聞こうにもスタッフの周りには人が押し寄せていて軽いパニック状態になっていた。なぜこんな杜撰なシステムなんだ。前もって受験票のハガキを送っているのだから、そこに受験する校舎も書いておけば済む話だろう。何とも納得できないシステムだった。校舎を探す途中で掲示板を見て気づいたのだが、当日は2級を受ける人と合同のようだった。なるほど、どうりで人が多い、いや、それにしても2級を受ける人もこんなにもいるのかと思った。


やっとのことで受験する校舎を見つけて席に着いた。それでもまだ時間があったので、テキストを見返した。何度も不正解だった問題やニガテな分野のみ鉛筆でチェックを入れているので、そこを重点的に見るようにした。

周りの受験者たちもテキストやノートを見返している。それは至極、当たり前の風景であるが、誰もが自分よりも優秀に見えてしまう。これは受験あるあるだ。私も皆と同じように最後の復習を行った。直前に見られる項目や時間は限られてはいるが、心理学には「活性化拡散」という言葉があるので直前の復習でさえ大きな意味を持つ。独学大全という本の脚注を引用すると以下になる。

長期記憶に格納された情報は、その使用頻度が高いほど、また使われたのが最近であるほど、引き出しやすくなるが、これを活性化と呼ぶ。ある情報が活性化されると、その情報と関連した情報もまた活性化される。例えば「雨」という情報が処理されると、これと関連した「雨雲」や「水」の情報も活性化され、思い出しやすくなり連想されやすくなる。こうして活性化は長期記憶のネットワークを伝って広がっていくが、この現象を活性化拡散と呼ぶ。(P123)

つまり、テキストで一部しか確認できなかったとしても、活性化拡散の働きでそれに関連する知識も引き出しやすくなるということである。そう考えると、例えば毎日コツコツ勉強をするということは、その度に活性化拡散を引き起こし、その日に勉強していない部分も記憶や想起されやすくなる。また、一部の復習でもそれに関連した部分は思い出しやすくなる。私も以前は直前の復習にはあまり意味がないと思っていたが、活性化拡散の話を知ってからは考えを改めた。

そうこうしていると試験が開始された。「試験始め!」という言葉はいつ聞いても緊張する。大学受験のことを思い出してしまう。だが、私にとっては大学受験に比べるとFP3級なんて比べものにならないくらいプレッシャーの無い軽い試験だ。

アルバイトの試験官が教室内をウロウロしている。おそらくFPも何も知らない普通のおじさんやおばさんたちであろうが、「試験官」という立場にいるだけで威圧感を感じる。私の母もたまに試験官のアルバイトへ行く。「電気工事士」か何かの試験だと思う。私の母は普段はパートのただのおばさんであるが、試験官のバイト中はこんな風に威厳ある態度をとっているのかと想像してしまった。

試験中の机には飲み物を持ち込めると言われたので、お茶を持ち込んだ。熱中症予防のためという、アクリル板の設置くらい形式的な理由だった。だが、飲み物は中身の見えるもの(事実上のペットボトル)しか認めれていなかった。マイボトルやプラゴミ削減だという割には時代に逆行するルールだなぁと感じた。ステンレスの中身の見えない水筒を持ってきていた受験者は、机上の飲み物の持ち込みが却下されていた。空調は問題なく効いていたが、それで熱中症になったらそれこそどうするのかと思った。

試験の出来はまぁ合格点は取れているだろうというところだ。3級とは言え素人からすると年金や税金の仕組みはけっこう難しい。わからなかった問題もいくつかあった。資格をとる必要は無いが、本当に何も知らなければ普通に搾取されて損する世間の仕組みだなと感じた。FPの勉強をせねばおそらく知ることはなかったであろう知識が多くあった。これからは学校でお金の授業をするみたいだが、我々はそんなものを受けていないので知識が無いのだ。

午前の学科が終わって、昼休みは車で弁当を食べてテキストを読んで昼寝をした。午後の実技試験もスラスラと解くことが出来た。係数の問題が苦手だったがYouTubeで覚えやすい動画を観てからは一気に解けるようになった。今回はスマホの問題アプリもインストールして、勉強をした、出先や待ち合わせの時などにも片手で勉強ができるのは画期的だ。動画講座を観たり、アプリで問題を解くのがスマホの「賢い」使い方であろう。デジタルはあまり好きではないが、決して馬鹿にはできない。

試験がすべて終わると解放感に包まれた。数か月勉強してきたのでホッとした、辛かったのは勉強自体ではなく、勉強によって読書時間が削られてしまったことだ。それでも有用な知識ばかりであったので無駄だとは思わない。2級をいずれ受けるかどうかはまだ決めていないが、マネーリテラシーは高く持ち続けたいと感じる。


お金を味方に


【引用】

読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(2020) ダイヤモンド社

頂けたサポートは書籍代にさせていただきます( ^^)