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大事なコトこそ教えてくれない学校

学校は何でも教えてくれるところだと思うだろうか。大体の質問には答えてくれるだろうか。先生たちは我々をいつも納得させてくれたであろうか。否、そうではない。むしろ、今よく考えてみるとそうではないコトの方が多いような気がするのだ。

個人的に「校則」という各学校にあるルールの存在意義がよくわからなかった。ルールとしては確かに存在するものの、なぜそうなるのか分からないコトが多かった。いくつかわたしの実例を挙げたい。

例えば、中学時代は靴下に関するルールで「色は白・黒・グレーでワンポイントのもの。くるぶしソックスは不可。」というルールがあった。多くの生徒はこれが当たり前だと思って従順に従っていた。わたしも表面上は従っていたが、なぜこのようなルールが存在するのかよく分からなかった。

くるぶしソックスがダメだというので、くるぶしがギリギリ隠れる靴下を履いて行った。すると「それはくるぶしが隠れてはいるが、実質くるぶしソックスだとみなせる」という指導が入った。どういうことだ。

また高校の時に、ネクタイを緩めに締めていると野球部の監督に指導をされた。「なぜそんな締め方をしているのか」と聞かれたので「首が苦しいからです」と答えた。すると「首が太いやつならまだしも、お前の首の太さでは苦しくない」と一蹴された。「首が太い」は何cm以上の首を指すのか。またネクタイの締め方が誰かの迷惑や勉強を妨げる要因になるのか。わたしはいつもなぜそうしなければならないかは決して言わない教員たちに腹立たしさを覚えていた。


ただ一つ良かったエピソードもある。それはスマートフォンの使用に関するものだった。わたしは中高一貫校で中学も高校も校内での携帯電話(スマートフォン)の使用が禁止されていた。だが中高一貫とはいえ、高等学校になると義務教育ではなくなるため、中学時代に比べると校則が緩くなる。

高等学校では校内での使用が禁止されてはいるが、誰もがポケットの中に所持していた。そして先生の目を盗んでは誰もが使用してた。携帯電話の使用が見つかると、携帯を取り上げて反省文を書かせる先生もいれば口頭の注意で終わる先生もいた。その際の対応は先生次第だった。それでもなぜ携帯電話を使用してはいけないのかが分からなかった。

ある時、体育の時間か保健の授業だったかは忘れたが、女性体育教師のK先生の話があった。どういう状況であったかは覚えていないが、K先生は「校内での携帯電話使用禁止」のルールに触れた。そしてその理由として「校内で携帯電話の使用が禁止されているのは、友達同士で顔を突き合わせる時間を減らさないためです。学校に来ているのに画面ばかり見ていては、意味がありませんので」という旨のことをおっしゃった。

なかりサラッと言ったが、わたしの胸にスッと入ってきた。「そうだ、画面ばかり見ていては友人たちとの時間がないがしろにされてしまう」と強く思った。それからは、以前までもそうだったが、わたしは校内で携帯電話を使用することはほとんど無くなった。使う理由もなかったが、何よりK先生の言葉が響いたからだ。

逆に言えば、全員とは言わないまでも、そのルールの理由や背景をしっかりと説明すれば、もっと多くの生徒が心から納得して校則を受け入れられる、もしくは校則が無くとも規律を維持できるのかもしれない。このエピソードは長年あった学生生活の中で、唯一はっきりと校則についての説明があった事例である。


とは言うものの現在の「学校」は勉強ですら、知識や解法は教えてくれるものの、「なぜそれを勉強するのか」「どういう時にその知識が活かせるのか」ということはほとんど教えてくれない。ただ知識や情報の羅列を生徒に突きつけるだけだ。少なくともわたしはそう感じていた。なので学校での勉強がとても嫌いだった。知識を記憶する意味が分からないわたしにとっては、勉強は廊下でバケツを持って立っているという行為と同等のように感じられた。

今の教育、はたまた日本の教育なのかは専門家ではないので分からないが「なぜそうするのか」という説明が学校全体に欠損しているように感じられる。単に知識を黒板に書き出し、校則を生徒手帳に羅列する仕組み理想の教育サービスではないだろう。

そこには団結力も結束力も生まれない。集団行動や均質性が求まられた元来の「学校システム」とはあまりにも時代が違い過ぎている。権力者(先生)の一方的な知識の伝達場ではなくなっている。権力で統率をとれない現代の学校では、一方的な教育やルールのみが残ってしまっているようだ。時代錯誤な学校システムには生徒たちの「なぜ?」だけが取り残されている。

大事なコトほど全然教えてくれない。おそらくこれが現代の学校に通う生徒たちの無意識下での不満であろう。小中高と現代教育サービスを享受してきたわたしにはそう感じられるのだ。


なぜそう決まっている?

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