収入や所得でははかりきれない、私の夫の「生産性」
0 そもそもの話
今年になってはじめたnote。
試行錯誤ながら、これまでの記事の中で少しずつではありますが、スキが増え続けているのが、下記の記事。
働き方、夫婦やパートナー関係のあり方の多様化により、いわゆる「ワーママ」が増えて、似たようなトピックに関心のある方が多いのかなぁ、などと考察しております。
また、華々しい転職を遂げられるのはほんの一握りの人で、個々の家庭や生活環境の違い、これまでのキャリア、持っている資質や個性、価値観の違いで、なかなか思うようなワークライフバランスを取れない人たちも、かなり少なくないのではないかと、私自身の経験からも感じています。
別に、端から見れば、羨ましいような金銭的インセンティブやバックグラウンドもない私のキャリアですが(苦笑)、、、
「自分で今の生活や働き方を選びとっている」ーライフスタイルの裁量権がわが手中にあるーという感覚は確かであり、ここだけは譲るべきではないと思って生きています。
これまでの人生では、コンプレックス以外の何物でもなかった転職回数や、収入の低さも、ここにきて私の中で線となり、納得感や充足感すら覚えつつあるものに変化してきています。
なぜかと言えば、これまた完全に諦めかけていた「出産・育児」というライフイベントを挟み、私たち家族のなかで、さまざまなモノやコトの優先順位が大きく変化したり、一方で「これはやっぱり絶対的に大切にしたい!」という価値観がより強固になった、ということが関与していると思われるのです。
ざっくり言えば、それは時間とお金のかけどころ、ということに集約されます。
春からの新しい仕事に向けても、勤務時間や待遇面でもなかなかに満足のゆく条件で話が進んでいます。
参考までに、下記が現在仮確定の内容です。
・週4日勤務で、週30時間
・社会保険完備
・土日月曜休み
・ひとまずはパートで時給制だが、正社員登用試験に合格しているため、希望のタイミングで雇用替えOK
・首都圏本部のベンチャー企業の、地方サポートデスク本部長付に抜擢
・職務内容は、広報や外部対応に地域貢献事業、スケジュールやミーティングの調整、請求業務から内装業者の選定、駐車場の契約に社長のお昼のケータリングなどなど…
→新しいもの好きで好奇心旺盛、移動好きの私には「もってこい」な内容となっています。
一歳の育児中ワーママ転職としては、まずまずの好条件で交渉出来ていると感じてます。
(しかも、ベンチャー自体が少ない、時給も全国平均をかなり下回る地方在住なので)
これは、良い出会いがあった、という単なるタナボタの話ではなく、、、
様々な試行錯誤と学びを経て、ようやく自分自身の「見せ方/売り方」を「戦略的に」考えることに抵抗がなくなったから。
そして、恥を忍んで申し上げれば、必ずしも「マネーリテラシーを上げること=お金をたくさん稼ごうとより躍起になること」だけではないと、ようやく気づいたから。
さらに、最大の要因としては、
価値観の変化に伴う働き方やタイムスケジュールの変化や、私の「あーしたいこーしたい」「だからあなたにはこーしてもらいたい」という無茶振りに、柔軟かつ忍耐強く応えてくれる夫君のサポートがあるから
なのです。
今回は、そんな私の夫についてのお話を、少し。
1 我ら夫婦のパートナー関係のなりたち
夫40歳。
妻37歳。
現在1歳10ヶ月の女児の育児中。
大学のサークルの先輩後輩として出会い、私からの4度の告白の後、諦めかけた矢先の夫からまさかの「結婚前提のお付き合いを」の申し出で交際スタート(笑)
そこから同棲期間をはさみ、かれこれ20年近くの付き合いです。
お互いがお付き合いするはじめての人だったので、色んなあれこれ酸いも甘いも危機やら何やかんやを経て…
今に至ります。
比較対象が少ない、というのも、もしかしたら長続きの要因なのかもしれません(笑)
あ、夫は容姿端麗でしたよ、かつては…(今は、たぶん、ちゃんとすれば、ちゃんとなります、、、笑)
私については、、、ご興味ありましたら、自己紹介記事をご参照下さいませ…(苦笑)
学生演劇を通じて、アンダーグラウンドな世界観や、社会に対する少々皮肉な視線を培ったのかなぁ、なんて、今となっては思います。
2 夫君の仕事について
夫は現在、兼業農家で、冬は日本酒作りの蔵人になります。
10年ほど前に、学生時代から就職して住んでいた東京を2人で去る決断をし、文字通り全く畑違いの「農業」という仕事に飛び込みました。
しかも、私たちは有機農業をしたいと思っていたので、研修先の農家さんを見つけるのに大変苦労しました。
Uターンで戻った私の故郷は、農業県としても有名ですが、「オーガニック」の概念は特殊で、もっと言えば、嫌遠されているものでもあったのです。
それでも何とか、受け入れ先が見つかり、夫婦共々お世話になったり、、、
冬場の仕事を紹介してもらって、今があります。
そんなこんなで、夫は春から秋まで露地の畑で無農薬の野菜を作り、冬は酒造りの仕事をします。
私はその間、副業でパートの転職をしたり、アルバイトの◯タバの仕事が本業化したり。
ひとり農業と有機でお金も手もかかる仕事であるため、農業経営はなかなか利益になりにくいのが現状です。
冬場の酒造りは、造りの間は休みがほぼないので、こちらの給与水準に比べて、お給料はかなり良いです。
なので、冬場になるべく蓄財して、春からに備える…というのが、わが家の定番スタイルとなっています。
3 夫君の育児家事について
年間所得だけでみれば、夫は同世代の平均値からかなり少なくなるでしょう。
さらに言えば、夫は一般的に「商売がヘタ」な種族に入るのです。
オーガニックで手間ひま時間と費用をかけて育てた野菜を、市場価格でそのまま販売します。
消費者にとってはお得感のあることでも、自営業者本人にとっては、、、(苦笑)
なかなか利益には結びつきにくいものがあります。
さらに、私の妊娠~核家族での育児を挟んで、夫は自分のかなりの時間を育児と家事にシフトしています。
(この辺も、色々…いろいろとありましたので、別の機会に詳しく書きたいと思います)
それは、おそらく、本人にとっては「当然のこと」。
義務感や世間体の問題ではないのです。
そうしたいから、してるし、それが当たり前、だから、してる。
具体的には、
・まず、冬の酒造りの仕事は今までどおり
→ただし、夜勤は断り日勤のみに。
・春からの農業は、作付を減らして作業時間を一時的に減らしてコントロール
・私の悪阻中は、食べ物も(選択肢は勿論、文句ナシで)自分で調達
・妊娠後期は、炊事など軽めの家事を除き、基本的にほとんどの家事を行う
・父親学級などへの参加
・出産や育児について、本やYouTubeで学ぶ
・出産に立ち会う
→48時間かかって緊急帝王切開に。途中、寝てましたがw
・入院中、毎日通う
・床上げまで、献身的に家事をする
・私のマタニティーブルーズもどきのケアをする
・娘のオムツ替えや、搾乳を哺乳瓶であげる
→布オムツ、おむつなし育児、モンテッソーリなどにも協力的
・私の仮眠中、娘をみる
→完全母乳だったため、慢性的に睡眠不足だった私の救済策として
・娘の沐浴を行う
・娘を医者に連れていく
・保育園の送迎を代わってくれる
→基本的にこれは、今までは私の出退勤のタイミングで。
などなど、枚挙に暇がなく、、、
私の職場復帰後も、引き続き家事育児は家族のメンバーとして「当然のこと」としてやっています。
夫のことを考えると、妊娠中に観た『コウノドリ』の中で、星野源さん演じる医師が放った一言を時々思い出します。
ある父親が、自分の妻に、育児を「手伝うからさ」と言った瞬間…
普段はクールなのに、猛烈な剣幕で言葉を浴びせます。
「手伝うんじゃねぇっ!!2人のこどもだろう、2人で育てるんだよっ!!」
(私の記憶によりますので、詳細ご容赦下さいませ…)
まさに。
と思うのです。
4 夫の「真の生産性」
夫は聡明で、時々「私には見えていないもの」が見えているのかなぁ、と思うことがあります。
目先の利益や快楽には飛びつかず、長期的に見て、自分や家族にとっての幸福を考え、それをじっくりと追求することが出来る。
大体の場面で価値観は似ている夫婦だけれど、私と正反対なのは、夫が「待てる人」だということ。
だからオーガニックな野菜づくりや、酵母から酒母を育てて日本酒を造ったり、娘に対しても忍耐強く、娘のペースを保障して見守ることが出来る。
逆説的だけれど、それは、必要最小限の手出しを見極めて、介入すべき所は確実に押さえている、とうことでもあります。
生産物の質を大きく左右する業務。
わが子の安全を脅かす環境要因を見極め、必要な事前策や予防策を講じておくこと。
そして何より重要なのが、、、
妻のメンタルを安定させておくこと。
(笑)
ここ、家庭内において、重要かつ緊急度の高い事項です。
夫がよく言うのです。
「まーしゃが潰れたら、うちは大変なことになる」
と(笑)
半分は笑い話ですが、ここを怠ると、確かに家庭内に様々な支障や軋轢が生じてきます。
妻だけに限らず、家族の構成員である誰かひとりでも、何かしらトラブルを抱え続けてしまうならば、家族全員の心身のバランスの均衡が失われてしまうリスクがある…
更に不幸なのは、そのことに気づけない、もしくは、過小評価して問題解決を先送りにしてしまうこと。
そうやって破綻寸前した親子関係や夫婦関係を、私はこれまでも身をもって体験してきました。
だからこそ、思うのです。
夫が、いかに家族の基盤そのものであるか、ということを。
私が潰れてしまわないように、陰に日向に、あらゆる手を尽くしている夫が、いかに策士であるかということを…
5 その男、夫につき。
穏やかで、声をあらげたことは、結婚してから皆無。
その代わり、線が細くて、体力は中の下?といったところでしょうか…
高校大学はサッカーしていて、スポーツマン気もあったけれど、今は「ちょっと疲れた」と言って、畳で寝そべる姿が一場違和感のない状態。
娘が生まれる前は、野菜不作の気配があると、梅雨時期に合わせて1ヶ月近く、半分引きこもり状態になっていて、私がヤキモキイライラしたりすることもありました…(苦笑)
商売っ気がなく、「そこまで馬鹿正直にならなくても!」と鼻息が荒くなってしまうことも。
だから、わが夫を美化したいとは、これっぽっちも思ってません。
ただ、年収とか所得とか、そういう数値的な側面だけではない評価基準がこの世には存在するのではないかという、ちょっとした問題提起にはなるかなぁ、と。
家事育児を、有給労働としてみたらどうなる?
→逃げ恥、にもこんな論点ありましたね。
家族の構成員のメンタルケアを怠った場合に考えられる、将来的な金銭的損失はいくらになるか?
蓄財出来ても、人間関係が悪化したり、健康を害したりして、それをそのまま残したまま死亡した時に考えられる費用対効果と、家族が心身の健康をある程度保って、必要なものに満足して支出して、お金を使いきって死ぬ時の生涯満足度の差は?
こんなことを考えるとき、、、
夫の個性や価値観が、私の行きすぎた効率重視スタイルの暴走をストップしてくれるのです。
夫の、ヒトとの付き合いを減らして、でも、関わったコミュニティの中で、最大限出来ることを、行動と言葉で丁寧に関わろうとする姿勢。
モノを修繕しながら丁寧に使い続ける価値観。
自分にとって不要なコトを見極め、大切なコトにとことん時間と愛情を差し出すあり方。
夫の生産性は、ヒト・モノ・コト全ての領域において、私がしっかり換算してあげないと、非常にフェアではないと、そう思ってこの記事にしてみました。
アイディアを形にするため、書籍代やカフェで作戦を練る資金に充てたいです…