只今、読書中。「ダリの告白できない告白」 サルバドル・ダリ (著) 9

※この記事は、私が今、読んでいる本を読んだところまで適当にまとめていきます。

スペインの画家、サルバドール・ダリによる1973年、69歳の時の自伝。
これまでの記事はこちら (1)~(8) 

ここで時間は少し戻る。1934年、金欠状態のサルバドール・ダリとガラはアメリカ行きを計画していた。渡航費用を出してくれたのは誰あろう、ピカソであった。

ダリはアメリカに向かう船の調理場で2メートル半にもなる長いフランスパンを焼かせて、それを高く掲げてニューヨークに上陸する。あの、芸術家であり奇人のダリが来た、ということで、マスコミは彼を取り囲むが、2メートル半のフランスパン、という、一体どこが面白いのかよくわからないダリのパフォーマンスは完全に無視されてしまう。このことについて語る現在のダリは今でも悔しそうだ……どうやら……「アメリカ」という国を女に見立てて、そこに突撃する俺の男性器、ということだったらしい……。

出だしで若干、滑りつつもニューヨークの展覧会は大成功し、一度、ヨーロッパに戻ったダリは今度はロンドンでの展覧会のため、イギリスに向かう。そこで潜在意識を表現するために、当時の潜水服に入ったまま演説をするという……またしても面白いのかどうかよくわからない……パフォーマンスを行うダリ。しかし、空気を送り込む機械が故障してしまい、危うく死にかけるダリ。駆け寄るスタッフ、助け出されるダリも含めて、観客は全てが演出だったと受け止めたようだ。フラフラになりながらも観客の拍手を受けるダリ。この結果については……まあまあかな、と語る現在のダリ。

1939年、ニューヨークのデパートの宣伝のため、店のショーウィンドウをダリ流に飾り付けていくダリ。深夜まで様々なオブジェを配置し、最後に倉庫の隅に転がっていたドロドロに汚れたマネキンを2体、立たせて完成させた。翌朝、オープン前にダリが店に戻ると、そのドロドロマネキン2体は店の人間によって勝手に撤去されていた……勝手に、というのはまずいよな。でも本当に気持ち悪かったんだと思う。

「作品」を勝手に変えられたダリは、怒りを抑えつつ、オープンの時間を待って、見物人が集まったところでウィンドウ内に侵入。自ら飾りつけしたオブジェを壊し始める。大暴れしながらもダリには思い通りに出来ないのなら、この「破壊パフォーマンス」で評判を取ってやれ、という計算もあった。ところが、オブジェとして展示してあった浴槽が店のウィンドウにぶち当たり、ガラスが大破! 破片が見物人に降り注ぎ、現場は大混乱。ダリは割れたウィンドウの大穴から道路にジャンプ! その直後、上から馬鹿でかいガラスの破片がダリの背中をかすめて地面に落下、砕け散った。ダリはすぐに逮捕され、間もなく釈放されたが、当たり前だが店のガラスを弁償する羽目に。
しかし、この事件は話題になり、本人の計算以上にサルバドール・ダリの名前は知れ渡っていくのであった。

今回はここまで。

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