ふくだまさと

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五月詠草

ひきこもる子らの育てし綿の実を摘む我の手に棘の刺さりぬ 真白なるつつじの花に露おりて蕊の末まで白くさわやぐ 四枚の総苞片(そうほうへん)に抱かれし花水木咲く白のまぶ…

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今月の詠草

卯月詠草 さわやかな季節を迎えて外出が多くなりました。 昨日より空が青いとそれだけで幸せになる燃えるごみの日 三十年住まゐし大和郡山お城の枝垂れ車窓をよぎる 蛇行…

ふくだまさと
1か月前
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三月の詠草

三月の詠草 (三月詠草) HAND OFF RAFAHと掲げる人人の声届けよとルミネの空に 昼食はフルーツゼリー君の卓たまに塩パンひとつくはへり 強風に千切れしはぐれ雲ひとつ…

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2か月前
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令和六年二月の詠草

(二月詠草) ほの昏く常夜灯つく境内に五年ぶりなる旧友のかを くじ引けば待ち人の項嬉しかり「連絡もなく来る人がいる」 おたがひに顔窺ひて交はしをり「いよつ」「おお…

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3か月前
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令和六年一月の詠草

元旦から地震や飛行機の事故など大荒れの幕開けとなった。穏やかな年であれかしと思う今日この頃である。 (一月の詠草) 冬枯れの花壇のすみに辣韭のひと群のこるむらさ…

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4か月前
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苗木城跡

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6か月前
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令和5年自選歌集 できました。

恒例の年末自選歌集を作成しました。 令和五年 自選歌集     (春) 淡雪を秀先にのせる美山杉渓(たに)のなだりに無音の満ちる(角川短歌5月号) ひらひらとひかり…

ふくだまさと
6か月前
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五月詠草

ひきこもる子らの育てし綿の実を摘む我の手に棘の刺さりぬ
真白なるつつじの花に露おりて蕊の末まで白くさわやぐ
四枚の総苞片(そうほうへん)に抱かれし花水木咲く白のまぶしさ
爪立ちてひと房よせて匂ひ合うライラック花あはき甘さよ
わた雲は五月の空に病む妻を残す散歩をためらひてゐる
車椅子のきみと愉しむはじめてのふたり散歩は公園までの
草の名を当てっこしつつ川べりに車椅子こぐきみ蝶のごと
タンポポとシロツ

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今月の詠草

卯月詠草
さわやかな季節を迎えて外出が多くなりました。

昨日より空が青いとそれだけで幸せになる燃えるごみの日
三十年住まゐし大和郡山お城の枝垂れ車窓をよぎる
蛇行剣ひとめ見むとてさまざまな顔並びたる畝傍のふもと
一丈の大剣(おおつるぎ)にて伝へしはヤマトを統べる気概にあらむ
赤さびの混じりし剣(つるぎ)置かれしを意外に薄いとひとの言いたり
〈筑前〉に〈福島太夫〉〈正宗〉と町名たどり街あるきをり

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三月の詠草

三月の詠草

(三月詠草)
HAND OFF RAFAHと掲げる人人の声届けよとルミネの空に
昼食はフルーツゼリー君の卓たまに塩パンひとつくはへり
強風に千切れしはぐれ雲ひとつぐんぐと往く山背のそら
黒土の古墳の縁を登りゆく春の陽ざしの青谷梅林
ベンチにはシニア夫婦の語りをりお花見セットを分けて酒酌む
枝さきの地につくほどに枝垂れたる梅の古木は爛漫に咲く
田の畦にオオイヌノフグリは真つ先に空より青

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令和六年二月の詠草

(二月詠草)
ほの昏く常夜灯つく境内に五年ぶりなる旧友のかを
くじ引けば待ち人の項嬉しかり「連絡もなく来る人がいる」
おたがひに顔窺ひて交はしをり「いよつ」「おお」とは味気なきかな
仕舞屋のやうな蕎麦屋のゆずの香の五十年経てよみがへりくる
「うっちー」の名で逃れたる桐島の来し方思ふ、同年なれば
ゆつくりと尽きる温もり感じつつ「貼る用」剥がす午前四時ごろ
「行」の字を「様」に書き換へ今月も介護利用票

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令和六年一月の詠草

元旦から地震や飛行機の事故など大荒れの幕開けとなった。穏やかな年であれかしと思う今日この頃である。

(一月の詠草)
冬枯れの花壇のすみに辣韭のひと群のこるむらさきの花
大地震に飛行機事故と立てつづくデジャブのよふな映像やまず
警報に「逃げろ」と叫ぶ女子アナの子を叱るごと繰り返し言ふ
若き日の「ランプの宿」に泊まりしを妻と語らふ元旦の夜
ゆるやかに波打つ丘の上下する君の寝息に余韻の残る
ふるさとに

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令和5年自選歌集 できました。

恒例の年末自選歌集を作成しました。

令和五年 自選歌集    

(春)
淡雪を秀先にのせる美山杉渓(たに)のなだりに無音の満ちる(角川短歌5月号)
ひらひらとひかりをかへす葉群れには山茶花笑ふ一休の寺
薄紅の衣を纏ふ蕊のふさ陽射しにむかふ甘南備の径(京都短歌2/2)
能楽の発祥の地とふ薪社に詣でる人とちらほら出会ふ
百円の柚を土産に帰り来てミサイル繁き映像を見ゆ

(夏)
ぬばたまの遮光シート

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