八月の詠草

(八月の詠草)
まる文字の絵日記残る子ども等と一度っきりの沖縄旅行
熟睡の赤子の首を仰け反らし母はスマホに指はしらせる
鶴橋の赤身にロースカルビ肉焼肉ランチに友ら集へる
肉食のけもののごとく噛みしめる甘き脂を滴らす夏
溶炉から吹く風のごと炎熱に父の職場を思い出したり
鉄の〈湯〉を鋳型に注ぐ仕事なり菜つ葉服にはの汗染む
桑の木を教へられたり葉うらには太く隈なく葉脈のあり
桑の木の夏の陽ざしに繁る葉はなる養蚕の跡
桑の葉を摘めば乳液の沁み出でてお蚕護る役割をせり
人間の都合ばかりにバス停のミニひまわりの丈は短し

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