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buku連載エッセイ「出張いまいまさこカフェ」

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2006年9月から4年にわたって池袋シネマ振興会の季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイまとめ。clubhouseでの朗読はお好きなときにどうぞ。
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また逢う日まで(出張いまいまさこカフェ最終回22杯目)

また逢う日まで(出張いまいまさこカフェ最終回22杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の22杯目にして最終回。vol.31で終刊となったbuku。表紙と巻頭インタビューは『ヒミズ』の園子温監督。

「また逢う日まで」今井雅子何か月かにわたって打ち合わせを重ねたテレビドラマの脚本がほぼ最終形となり、「あとはメールでの微調整で。お疲れさまでした」とプロデューサーに言われた。その

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「あて書き」ってどう書くの?(出張いまいまさこカフェ21杯目)

「あて書き」ってどう書くの?(出張いまいまさこカフェ21杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の21杯目。いつもは1ページなのが見開きの拡大版。vol.30(AUTUMN2011)掲載。表紙は『マジック&ロス』主演とプロデューサーの杉野希妃さん。

「あて書き」ってどう書くの?(北條一浩)   今井雅子出張いまいまさこカフェ連載が6年目に入った。bukuは3か月ごとの刊行だから、4

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脚本家って何読んでるの?(出張いまいまさこカフェ20杯目)

脚本家って何読んでるの?(出張いまいまさこカフェ20杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の20杯目。vol.29(SUMMER2011)に掲載。表紙は『犬飼さんちの犬』主演の小日向文世さん。

「脚本家って何読んでるの?」今井雅子出張いまいまさこカフェ19杯目の原稿を提出した4日後、あの震災に見舞われた。自宅兼仕事場である東京のマンションは大きく揺れたが、棚から本一冊落ちるこ

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アレはソノ後ドウなりました?(出張いまいまさこカフェ19杯目)

アレはソノ後ドウなりました?(出張いまいまさこカフェ19杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の19杯目。掲載誌(vol.28 2011年春)が見当たらず、表紙の写真は他の号のもの。

「アレはソノ後ドウなりました?」今井雅子広告会社でコピーライターをしていた頃、相方のデザイナーのおじさまの口癖が「あれはその後どうなった?」だった。アレとかソノとか言われてもわかりません、具体的に言

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どこからがプロなのか?(出張いまいまさこカフェ18杯目)

どこからがプロなのか?(出張いまいまさこカフェ18杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の18杯目。

vol.27(WINTER2010-2011)に掲載。表紙は佐藤江梨子さん。

「どこからがプロなのか?」今井雅子娘を通わせている保育園から就労証明書類の提出を求められた。これまでは年に一度、進級の際に確定申告の控えを出せば良かったのだが、待機児童対策なのか、年度途中で念押

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とぶ映画 とばないドラマ(出張いまいまさこカフェ17杯目)

とぶ映画 とばないドラマ(出張いまいまさこカフェ17杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の17杯目。vol.26(AUTUMN2010)に掲載。表紙は岡田将生さん。

「とぶ映画 とばないドラマ」今井雅子9月27日から放送が始まるNHK朝ドラ(正式名称は連続テレビ小説)「てっぱん」の脚本執筆に追われている。一回の放送が15分。これを月曜から土曜までやるので、一週間分の6話で9

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脚本という名のラヴレター(出張いまいまさこカフェ 16杯目)

脚本という名のラヴレター(出張いまいまさこカフェ 16杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の16杯目。表紙と巻頭インタビューは『デュラララ』竜ヶ崎帝人役の声優・豊永利行さん。

「脚本という名のラヴレター」今井雅子先日「届かなかったラヴレター」というエッセイコンクールの審査員を務めた。9回目を数えるこのコンクールの作品集は、昨年公開された映画『引き出しの中のラブレター』の原案に

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脚本家は人恋しがり屋(出張いまいまさこカフェ15杯目)

脚本家は人恋しがり屋(出張いまいまさこカフェ15杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の15杯目。

「脚本家は人恋しがり屋」今井雅子ほんの数か月前まで、「脚本家ってどこで会えるの?」がわたしの疑問だった。デビューして10年経つというのに、いっこうに脚本家の知り合いが増えない。両手の指で数えられる仲間の大半は、審査を務めた脚本コンクールの受賞者だった。

所属しているシナリ

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原作者のキモチ(出張いまいまさこカフェ14杯目)

原作者のキモチ(出張いまいまさこカフェ14杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の14杯目。

「原作者のキモチ」今井雅子わたしの今年のクリスマスは、夏の終わりから始まった。クリスマスに結び直される家族の絆を描いた短編小説をという依頼を受け、秋の半分をかけて書き上げる間、頭の中でジングルベルが鳴り続けていた。

本業は脚本家だから、小説の仕事はめったに来ない。脚本を手

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母と子と映画(出張いまいまさこカフェ13杯目)

母と子と映画(出張いまいまさこカフェ13杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の13杯目。

「母と子と映画」今井雅子3年ぶり6本目の劇場映画『ぼくとママの黄色い自転車』の公開中にこの原稿を書いている。出産と育児に企画立ち消えが重なり、3年のブランクが空いてしまった。「お子さんが産まれて最初の映画が母と子の話でしたね」と人に言われて、産後第一作だったと意識した。

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映画鑑賞で相性診断(出張いまいまさこカフェ12杯目)

映画鑑賞で相性診断(出張いまいまさこカフェ12杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の12杯目。

「映画鑑賞で相性診断」今井雅子前回に続いて、毎日映画コンクールのスタッフ部門2次選考会の模様をご報告。会議が開かれたのは、この原稿を書いている5月中旬から4か月さかのぼる1月初旬。今年はいつもの年の3倍ほど仕事をしているので、わたしの体内時計では1年が経過しているのだが、メ

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恐れ多くも毎日映画コンクール(出張いまいまさこカフェ11杯目)

恐れ多くも毎日映画コンクール(出張いまいまさこカフェ11杯目)

2006年9月から5年にわたって池袋シネマ振興会の季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の11杯目。特集インタビューは多部未華子さん(フィッシュストーリー)と品川ヒロシ監督(ドロップ)。

「恐れ多くも毎日映画コンクール」今井雅子毎日映画コンクールのスタッフ部門2次選考委員を務めた。63回を数える歴史に恐縮しつつ、またとない機会なので二つ返事でお引き受けした

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脚本はもう一人のわたし(出張いまいまさこカフェ10杯目)

脚本はもう一人のわたし(出張いまいまさこカフェ10杯目)

2006年9月から5年にわたって池袋シネマ振興会の季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の10杯目。特集インタビューは成宮寛貴さん(『ララピポ』)、光石富士朗監督(『大阪ハムレット』)。

今回は当時のプロフィールも掲載。

「脚本はもう一人のわたし」今井雅子著作者人格権という言葉をご存知だろうか。恥ずかしながら、わたしが知ったのは、自分が交わす脚本契約書に

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映画祭審査員は五人五色(出張いまいまさこカフェ9杯目)

映画祭審査員は五人五色(出張いまいまさこカフェ9杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の9杯目。特集は栗山千明さんと古厩智之監督。

《料理にたとえれば、わたしは「こんなの初めて食べました」と感想止まりなのに、彼らは食材が育った畑に思いを馳せ、その土地の冬の長さが料理に与えた影響について思案する》 

読み返しても審査会議は緊張感があってドラマティックだった。審査にあたって

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