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SES、準委任、請負、派遣契約の違いと実情の問題点

SESとは何でしょうか?
ここではSES、準委任、請負、派遣の契約の違いを説明します。
また、実際のシステム業界で起こっている各契約の実情を取り上げます。

さらに、システム業界に就職を希望する新卒、未経験者に対して、会社選びをアドバイスします。システム業界は複雑で経験しないと分かりづらい。
会社選びに失敗しないようにここでしっかりと学びましょう。

フリーエンジニアを目指している方にも大いに参考になるでしょう。
また、システム開発を委託するユーザー企業の方にも是非一読頂きたい。

自己紹介をします。
私はこのシステム業界で20年以上の経験があります。
また会社を経営し顧問弁護士と契約内容を確認していくうちに、ようやくこの業界の仕組みが分かりました。
ブラック企業は、SESの仕組みを悪用しています。
私が20代の時に2年間ほど在籍していた企業がまさにここで述べるブラック企業だったのです。短い期間でしたが、とても苦労しました。

皆さんが同じ過ちをしなくて済むように精一杯、伝えていきます。

少し長くなるため、この記事のあらすじを先に伝えます。
まず、契約の確認をします。ここで法律と契約の基礎知識を得てください。次に、契約毎におけるシステム業界の実情をみていきます。
その後、システム業界の問題点、就活生向けに会社選びのアドバイスをしていきます。

立場により読む必要のある記事を示します。
システム業界のマネージャー、営業、フリーエンジニア
  …全編を理解しましょう
システム業界の営業事務、管理部
  …契約関連(1章、2章)をお読みください
システム業界へ就職希望者、及びユーザー
  …契約関連は軽く確認後、実情や会社選びの章をどうぞ

 ※本資料、随時更新しています。
  内容についてご要望ありましたらコメント下さい。追記します。

1. 契約内容の違い

  1.1. SESとは?準委任とは?

SESとは、System Engineering Serviceの略です。
システム業界では、準委任の契約で業務遂行することをSESと称しています。
SESという法律用語はなく、俗称になります。

では、準委任とは何か?
準委任契約とは、特定業務の遂行を受託することをいいます。
後述する請負契約とは異なり、成果物に対する義務はありません。

SESは、準委任契約と同義と思っていただいて結構です。
※本記事では、SESや準委任という言葉を適宜使い分けています。契約に関する事項は準委任契約、システム業界の仕組みに関する事項はSESと使用しています

SESでは、定めた期間と時間数に委託された業務への労働を提供します。提供した時間に応じて委託会社(お客様)からの支払いが発生します。

勘違いしやすいのが、客先常駐。
準委任契約だから、客先常駐であるとは限りません。
「SESは客先常駐」と書いているWEBサイトは勘違いしています。
契約書に認められていれば、自社でも自宅でも作業していい。
但し、客先常駐が多いのが実情ではあります。
※後述します。

準委任という"準”は何の準なのか?
疑問に思う方もいると思います。
顧問弁護士に確認して腑に落ちました。
委任は法律行為を委託すること。
準委任は法律以外を委託すること。
よってシステム業界では、委任ではなく準委任となります。

※質問があったので追記します。
SIerとSESの違いは何か?
SIerは、一次請け(元請け)として仕事を受けてシステム開発を管理する企業のことを言います。
SESは上記の通り、準委任契約でシステム開発に携わる契約形態の俗称。
この二つを対比して言う時は、
SIerは一次請け、SESは二次請け以降の技術者支援のことを言うことが多いですね。

  1.2. 請負とは

請負契約とは、契約に定められた期間内に、成果物(システム)を完成し納品、顧客の検品が完了したら報酬を受け取る、という契約になります。

準委任契約との違いをみると、請負契約の特徴が分かります。
・売上計上基準の違い
準委任は定められた期間(通常一か月)で業務を遂行していれば売上となる。請負契約は成果物を納品し、顧客の検品が完了したらようやく売上計上される。(納品した時点で売上計上をする企業もあるそうです。そうした企業は検品ではじかれることがないのでしょう。)

・準委任は善管注意義務が発生
善管注意義務とは、善良なる管理者の注意義務の略称。簡単にいうと誠意をもって業務を遂行して下さいということ。業務怠慢だと善管注意義務違反となり、契約不履行となります。

・請負契約では、瑕疵担保責任が発生
瑕疵担保責任は、2020年4月の民法改正により使われなくなりました。
※瑕疵担保責任と記載のあるWEBサイトは情報が古いです
現在では「契約不適合」が該当します。
顧客がシステムを受け取った(検品が完了した)後、システムに不備がみつかった場合に責任を持つことです。
契約書の記載例
「検収完了から1年以内に甲の責に帰すべき事由を除く契約不適合が発見されたとき、乙は当該契約不適合を無償で修補する。」
要約すると、甲(顧客)の責任ではないシステム障害(バグ)が1年以内に発見された場合は、乙(システム会社)はタダで修正する、ということです。

  1.3. 派遣とは

派遣契約は、派遣元会社と技術者が雇用関係にあり、技術者は派遣先にて業務を遂行し、派遣元と派遣先が締結する契約のことを言います。

この派遣と準委任との違いについて誤解されている方が多いです。

契約自体は準委任と似ています。
定めた期間と時間数に応じて業務への労働を提供します。提供した時間に応じて支払いが発生します。

準委任と派遣の違いは、一か月単位で標準時間を基準に支払われるのが準委任で、時間給での支払いは派遣と記載しているサイトがあります。
しかしこれは誤りです。
確かにそのような契約をすることが多い。
大手会社が時間給での支払いをしています。
払い方に規定はないのです。

では、準委任契約と派遣契約との違いは何でしょうか?
派遣契約と準委任契約の最大の違いは、指揮命令者が誰であるか。
派遣契約の指揮命令者は、契約先の責任者となります。
準委任契約は技術者が所属する会社の責任者となります。

指揮命令者とは何でしょうか?
実際に作業を指示する人です。簡単にいうと、先輩・上司にあたります。

また、準委任契約には派遣契約者より広い裁量が与えられています。
派遣契約には仕事の細かい指示を与えることができます。
準委任契約の場合は業務の依頼となります。業務の依頼のため、作業指示を与えてはいけません。

派遣の技術者は立場が弱くなりがちであり、その立場を守る必要があることから、派遣元会社には厳しい決まり事があります。
派遣元会社は、派遣事業の許可を取得する必要があります。
派遣事業許可は厚生労働省から認可されます。
派遣事業許可を取っていないのに派遣事業をしてはいけません。

以前、このシステム業界では、一般労働者派遣ではなく特定労働者派遣で多くが契約されていました。
しかし2015年派遣法改正により、3年の経過措置をとった2018年9月に一般労働者派遣と特定労働者派遣が統合し労働者派遣となり、特定労働者派遣はなくなりました。
一般労働者派遣は許可制、特定労働者派遣は届出制であったため、特定労働者派遣は簡単に行えました。
この特定労働者派遣がシステム業界の負の温床となっていたのです。

  1.4. 基本契約と個別契約

顧客とシステム開発会社の契約は、基本契約と個別契約の定めによります。
基本契約とは、会社対会社が取引する上で基礎となる契約内容をまとめたもの。
個別契約とは、案件ごとに定める契約です。
個別契約で定められていない内容は、基本契約に沿います。

基本契約は必ずしも必要ではなく、個別契約に契約内容が全て書かれていればよいことになります。
しかし企業間で取引が多くなった場合、個別の契約の度に契約内容を記載、確認するのは手間です。個別によらない全般的、基本的な内容について定めた基本契約書を取り交わすことがあります。

新任の営業担当者は、注文書(個別契約)しか見たことがないかもしれません。しかし営業担当するのであれば、基本契約書の内容を押さえておくべきです。

基本契約に定められていない契約は、民法の条文を適用します。
 個別契約(注文書)> 基本契約 > 民法

基本契約には、以下の内容を定められていることが多いです。
  指揮命令、再委託、納品・検品、
  契約不適合、貸与品、知的財産権、
  損害賠償、解約・解除、反社など

個別契約(注文書)には以下の内容が定められていることが多いです。
  委託内容、契約期間、責任者、委託料など

契約を締結する際は、基本契約や個別契約をよく確認しましょう。

  1.5. まとめ

ここまでご理解していただけましたでしょうか?
学生の方やシステム業界未経験の方には難しかったかもしれません。
ここに述べた内容を上司やリーダーが全て熟知しているとは限りません。
契約や法律については業界歴20年の方でも知らない方も多い。少しづつで構わないので、覚える方がよいでしょう。

簡単にまとめます。
SESは、準委任契約のことをいう。
派遣契約と準委任契約では、指揮命令者が異なる。
準委任契約と請負契約では、売上計上のタイミング、善管注意義務、契約不履行など責任範囲が異なる。

2. 業務の特性に適した契約とは

前章を読んで準委任契約のあいまいさに疑問を持った方がいるのではないでしょうか?

善管注意義務にさえ気を付ければ、業務の遂行をすればよく、成果物には責任をもたなくてよい。定義があいまいですよね?

ユーザー目線で、請負のメリットをあげます。
・成果物(システム)が納品されなければ、お金を支払わなくてよい
・納品されたシステムにバグが見つかれば無償で修正してもらえる
・技術者やプロジェクトを管理する必要がない

いいことづくめです。
請負契約にできるならば、そうした方がよい。
ではなぜ準委任契約や派遣契約が必要なのでしょうか?
顧問弁護士さんと話した時に納得しました。
・弁護士が裁判の依頼を受けて
 必ず無罪にできるわけではない(委任契約)
・外科医が手術をして
 手術成功を確約できるわけではない(準委任契約)

これにならうと
・技術者がシステム開発をして、
 システム完成を確約できるわけではない
という状況もありえます。

システム完成を確約できない状況とは何か?
・受託する段階で、システム要件が未確定
・システム要件が開発途中で大幅に変更することが予想される
・開発手法や進め方に細かく口を出したい
これらの要件が当てはまるケースでは、準委任契約か派遣契約がよいでしょう。

準委任契約と派遣契約では、どのようなときに使い分ければよいのでしょうか?
派遣契約なら指揮命令者がユーザーのため、細かい指示が可能です。
その代わりマネージメントをユーザー側が行う必要があります。
準委任契約は、指揮命令がユーザーではないため、技術者に広く裁量があります。

ユーザー(発注者)が技術知識(ITリテラシー)が高ければ、派遣契約も選択可能です。ユーザーが自ら業務を指示し、業務遂行のための問いに答え、進捗や課題管理をする。必要な技術者が少なければ派遣契約がよいでしょう。
しかし、ユーザーが技術に詳しくなければ準委任契約の方が適しています。指揮命令者が受託者であるため、メンバーを管理し業務を遂行します。
必要な技術者が多ければ管理工数も多くなります。

派遣契約だけでは必要な技術者が集まらないという実情もあります。
技術者が多いと管理も大変な工数になります。

ここまでご覧いただいたように、委託する業務によって適切な契約、または選択できない契約があることがお分かりいただけたと思います。
ユーザー側では、複数の契約を使い分けることも検討してください。
大きなシステムを構築する際、
・システム要件が決まっているサブシステムがあれば、請負契約
・システム要件の変更が多そうなサブシステムは、準委任契約
・ユーザーのアシスタントとして、派遣契約
などの組み合わせも可能です。

3.システム業界の実情と問題点

ここではシステム業界における各契約ごとの実情と問題点を見ていきましょう。

  3.1. SESの実情と問題点

SES(準委任契約)の実情を見ていきましょう。

(作業場所について)
技術者志望にとってどこで働くかは大きな関心事でしょう。
1章で述べたように、SESは必ずしも客先常駐である必要はありません。
しかし、機密性、開発環境、管理のために客先に常駐しているケースが多いのが実情です。
<機密性>
システム開発の場合、セキュリティが重視されます。
ユーザーの顧客データやプログラムが世間に流出したら大変です。
セキュリティを守りやすいのは、ユーザー(客先)への常駐です。
金融系、保険系はセキュリティに関して特に厳しく、客先以外での作業は大きく制限されます。
そのため大手SIer、中小開発会社、何れも技術者が客先に常駐します。

<開発環境>
開発には様々な環境が必要です。ハードウェア、インフラ、データベース、開発ツール、ミドルウェアなど。客先に用意されているものを、技術者所属の会社で揃えるのは難しい。所属元が中小零細企業の場合、開発環境の費用が出せないという理由もあります。
プログラミングの時は所属元で開発し、本番環境と同等のテスト環境が必要な結合試験以降は客先というケースもあります。

<管理>
目の前にいれば、管理もしやすい。
稼働時間や休日出勤なども見た目に分かる。
席にいつもいない人、昼休み終わっても寝ている人などもたまにいて。。。
また、ユーザーと打ち合わせしやすいから上流設計は客先で、プログラミングフェーズは所属元で開発というケースもあります。

その他、商流が深い下請け企業に開発環境場所(オフィスが狭い)がないという実情もあります。

但し、作業場所についてはコロナで状況が大きく変わりました。準委任契約であっても在宅勤務が増えました。
これからの働き方に注目していきましょう。

(指揮命令について)
指揮命令の明確化は、技術者や管理者にとって大切なことです。
1章で述べたように、準委任契約と派遣契約での最大の違いは、指揮命令者が誰かということ。
SESでは自社の責任者が指揮命令者。
であるはずなんですが…

ユーザー、下請け会社、技術者ともに勘違いしていることが多い。
特にユーザーがここで述べているようなことを、全く理解していない人がたくさんいます。
準委任と派遣の違いが分からなければ、ユーザーが技術者に対して作業指示(命令)を出してしまいますよね。
受託者側の特に管理者はよく理解しておかなくてはいけません。

正しくは、ユーザーがSESの責任者(指揮命令者)に対して作業依頼を出し、SESの責任者が技術者に対して作業指示を出す。

このことが守られていないプロジェクトが多いのが実情です。
客先常駐にて、契約違反をおかし、ユーザーが指示命令をどんどんと出すという状況は、よい就業先とは言えないでしょう。

(自社のメンバ)
業界未経験の方は驚くかもしれません。
客先常駐の場合、自社のメンバが誰もおらずプロジェクトのメンバは他社の方だけということもあります。
開発プロジェクトの構成は、自社メンバをメインで構成しているケースもあれば、他社が中心に構成されたチームに自社は一人か二人で客先常駐するケースもあります。
このあたりは所属会社の方針によります。
私が20代後半に所属していた会社は一人で客先常駐させる会社でした。当時の私はその方が気楽に思え、上司がいないので自分の責任や権限が増します。私はそれが成長につながると考えていました。
しかし未経験者となると話は別です。未経験者が一人で客先常駐は厳しい。自社の先輩・上司がいないため、配属プロジェクトで本気で育成してあげようと考えてくれる方と出会うのが難しい。
現在、私の会社は準委任であっても自社メンバ中心に仕事を請け負います。その方が会社の成果をあげるにも、育成にとっても良いからです。
このあたりは就職前に会社の方針を確認することをお勧めします。

(商流について)
システム業界特有の商流。商流にはSESが大きく関わっています。
商流については、私の別記事にまとめています。そちらをご覧ください。


準委任契約は、基本的に再委託が禁止されています。
しかし、上位会社が認めれば再委託が可能です。
※契約内容によるので契約書をご確認ください

(責任範囲について)
これはユーザーにとって問題。
請負契約は、納品・検品後にようやく売上計上となります。
準委任契約では善管注意義務を怠らなければ問題ない。

この善管注意義務というのがあいまいです。
一生懸命やっているのか、手を抜いているのか。
あきらかな怠慢(欠勤が多い、業務中寝る、悪意をもった行為など)でもない限り、本人しかわからない。
成果がでなくても支払いは契約どおりにしなければならない。
ユーザーからみると不安が残る。

準委任契約を逆手にとり、無責任な対応や悪意をもって怠ける技術者が残念ながら存在することも事実です。
また、開発会社や技術者都合で無責任なプロジェクト離任。
こういったことも多い事例です。

もちろん、多くの技術者はユーザーのため、自分の技術力向上のために努力しています。

  3.2. 請負契約の実情と問題点

請負契約の実情と問題点についてみていきましょう。
準委任契約と違い請負契約は成果物責任があります。
そのため成果物に対する対価(開発費用)を先に決めます。
この見積りやその後の仕様変更などで、多くのプロジェクトが失敗しています。以下、見ていきましょう。

(見積失敗:ユーザー側の起因)

ユーザーはシステムを発注するための予算取りや稟議のため、開発見積額が必要です。
システム要件があいまいなまま開発ベンダーに見積りを求める。
そして見積書がそのまま注文書に。

その後、システム要件が進んでいくうちに開発コストが収まらなくなった。
しかし予算は確定しているため追加予算が出ない。
その分、開発会社にしわ寄せがくるというパターンはあります。

また、自社の予算都合のためゴリ押しして不当に開発予算が少ないといったこともあります。

(見積失敗:開発会社側の起因)
開発会社が起因となる見積り失敗例は以下のようなものがあげられます。
・見積担当者の経験が乏しく見積りがあまい
 開発ベンダーが自社で対応したことがない新技術や
 業務システムなどの場合に見積コストを過小評価
 してしまう場合があります。
・コストが合わなくても営業として取りたい、受けざる負えない
・予算内に収まるようにシステム要件をまとめられない

(仕様変更が多くプロジェクト炎上)
少々の仕様変更は可能です。
しかし度重なる仕様変更はシステム開発コストがあがります。

仕様変更を出さないようにするのは難しい。
・ユーザー側の役員やキーマンから仕様変更依頼があった
・ユーザーと開発側で認識の齟齬があった
・必要な機能が後から分かった など

ユーザーには仕様変更による開発への影響が見えにくい。
仕様変更は、計画の再検討、工程を遡り二重作業、他機能への影響調査、要員の再配置、などに影響を及ぼします。
仕様変更対応は、非常にコストがかかります。

(まとめ)
知り合いの大手SIer営業マンがうまいことを言っていた。
「システム要件が決まらないのに見積らなければならない。
 エスパーじゃないんだから見積もれない。」

その後、この営業担当者は上司に命令され、不安ながら見積書を提出していました。そのプロジェクトでは多くの犠牲者がでたことでしょう。

見積りの失敗や、要件定義のあまさ等による度重なる仕様変更。
このしわ寄せは技術者に降りかかります。
開発費用が過小に少ないと、少人数で、経験不足な技術者、無謀な短期間でのスケジュールでシステムを開発しろ、となる。
今までどれだけ多くの技術者が苦労したことか。

私もこのケースで何回も被害に遭いました。
(だから、私はシステム業界をよくしたいと心底考えています)

無理な納期に対して品質を問われる技術者が不幸。
納期に間に合わず、バグの多いシステムを受け取るユーザーも不幸。

国内のプロジェクト開発の三分の二が、予算や期間の問題を抱えているという記事を目にしたことがあります。

請負契約は発注側と受注側の双方が協力しなければ成功しません。

  3.3. 派遣契約の実情と問題点

派遣契約の問題点についてみていきましょう。
※ここでは自社で一人だけ派遣されるケースを例にとります

(技術者の成長)
技術者が一人前になるには相当の時間が必要です。
また一人で習得することは難しく、先輩社員から指導をしてもらう場面が多い。
自社の先輩がいない場合、ユーザーや他社の技術者から教えてもらう必要がある。教える側も自社の社員でなければ、多くの時間を使ってくれることはあまりないでしょう。
派遣契約の場合、技術者として成長することは困難が伴います。

(責任の認識違い)
システム開発の最中に、技術者の都合で離任。
こういったことは準委任契約、派遣契約ともに多い。
派遣は契約期間があります。満了すれば契約を終わらせることは委託者、受託者ともに自由です。
契約期間中に役割を果たすことを前提とした契約が派遣契約です。
システム開発を完了することに責任はない。
よってシステム開発が大変な状況であっても、契約満了すれば自己都合でプロジェクトを抜けることも自由なのです。
発注側はそのことをよく考えて契約する必要があります。

(管理工数)
請負契約はもちろん、準委任契約も受注側に管理義務があります。
派遣契約は指揮命令が派遣先にあります。
発注側は派遣者の管理をする必要があります。
管理には多くの工数が必要です。
ユーザー(発注者)は適任者が自社でいるか、管理者がいない場合にどのように対処するかを検討しておく必要があります。

(その他)
以前は特定労働者派遣の手続きが簡素だったため、技術者を派遣することが容易にできました。技術者を雇用し、客先へ常駐させる。一般労働者派遣のような決まり事がなかったため、技術者の待遇はひどいことが多かった。
現在では法改正により特定労働者派遣はなくなりました。
労働者派遣を保有している会社は、会社のホームページに記載しているため容易に確認できます。

4. SESの問題点と対策

SESはよく問題が多いと言われます。
ここではSESの何が問題なのかを見ていきます。

  4.1. SESが悪いのか?

SES(準委任契約)が悪いのでしょうか?

確かにSESは多重商流を招きやすい。
また、請負契約と違って成果物にコミットしていないので、依頼されたことだけを対応しておけばよいというマインドを持ちやすい。

しかし請負契約や派遣契約が適さないケースがある。
準委任契約に頼ったシステム開発の数は多い。

SESや準委任契約の是非について議論しても仕方がないと私は思っています。

  4.2. 本当の問題

では、何が問題なのか?

SESという仕組みを利用し
 ・技術者紹介だけをやって利益を抜く会社
 ・技術者に問題が起こっても責任を取らず逃げてしまう会社
 ・技術者の育成を全く考えない会社
  ※例えば経験のない新人だけを一人で配属させる
このような会社が問題なんです。

SESは、このような会社が生き残れてしまう契約でもあります。
こんな開発会社にいる技術者は不幸です。
こんな開発会社を経由している下の商流の会社も不幸です。

  4.3. どうすればよいのか?

では、どうすればよいのでしょうか?

ユーザー(発注側)は、責任をもって仕事をしてもらえるシステム開発会社に発注する。
システム開発会社側も、再委託する際は責任をもって対応する会社に発注する。

うちの会社では、請負でも準委任契約でも責任感をもって仕事をしています。
一次請けとしてユーザーとコミュニケーションをとり
システム完成後の保守開発まで担当します。
(SIerの立ち位置です)
お客様との永続的な信頼関係が弊社の経営理念です。

5. 会社選びのアドバイス

Googleで検索すると「SESはやめとけ」などのキーワード候補が出ます。

上記のようにSESが悪いわけではない。
しかし、SES企業の中には良くない会社も存在します。

まず、企業を見極めようと努力することが必要です。
技術者を育てようとしているか、
育成制度は整っているか、
深い商流の会社ではないか、など。

会社説明会や面談時には
請負契約の有無、客先常駐の割合、派遣の割合
などを聞いてみてください。
その会社の方針が分かると思います。

6. さいごに

SES、準委任契約、請負契約、派遣契約についてみてきました。
難しい箇所もあったでしょうか?

まず契約内容を理解すること。
各契約には良い点や問題点があります。
システム開発の状況に適した契約をすることが肝要です。

担当している技術者が不幸にならないよう、
世の中に理不尽なことが起きないように願っています。
システム業界が少しでもよくなるように。

この記事を最後まで読んで頂いてありがとうございます!
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