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先輩の先生にMARVOが「叱られた」話

「あのよぅ、MARVOさん。俺はね、子供らに絶対言わないようにしていることがあるんだ。」
「それはね、『お前たちもう知らない』『もう面倒みない』なんてたぐいの言葉だ・・・」

当時、隣接する市の中学校バレーボール部顧問だった、T先生の言葉です。

その日、顧問として練習試合に来ていた私は、自チームのプレーのできの悪さにキレ、朝からずっと部員たちを叱っていました。
試合間にも修正練習を重ね、十数セットをこなしましたが、1セットもとることはできませんでした。全敗です。

練習試合の終わりに、部員たちが私のところに集合してきました。
そこで私は
「お前ら、もう知らん」「このチームはあきらめる」
などと言い放ちました。

冒頭の言葉は、それを横で聞いていたT先生が、やんわりと、それでいて毅然と私にかけてくださったものです。

「あぁ、俺は叱られているのだな」
そう感じました。
T先生のお話をひとしきり伺った私は、移動の準備ができた部員たちのもとに向かいました。

体育館の横で、私は
「いま、T先生に叱られてきた」
「俺が悪かった。もう二度と『面倒みない』とか『もう知らん』とか言わないと約束する」
「すまなかった」「総体まで一緒に頑張ろう」
と伝えました。部員たちは全員泣いていました。しゃくりあげるように。
私は彼女たちを相当に傷つけていました。未熟な教師です。

「先生」が「児童生徒」の前で言ったりやったりしてはならないことがあります。
  ① 突 き 放 す 言 葉   
    「勝手にしろ」「先生は、もう知りません」
  ②不機嫌・威圧的態度  
    いつも先生の基準で「ちゃんと」し続けることを求めるあまり
    教室内に必要以上の緊張感をもたらしてしまう。
  ③子どもを下に見る言動 
    「こんなこともわからないのか」「何度行ってもわからないね」
    「こんなこと当たり前だろう」
 これらは、信頼関係を損ねるばかりでなく、学級崩壊や不登校、いじめの発生を引き起こしかねません。なんでもない時には私たちは、十分に承知しているこれらのことも、疲れていたり、時間に追われていると言ったりやったりしてしまうことがあります。
私たちが健康でいること、ご機嫌でいることは、全てを上手く進める第一歩といえるでしょう。

 その後、その代の女子バレー部は総体で市準優勝し、県総体に出場。県ベスト4、関東大会出場権をかけてT先生のチームと戦いました。縁を感じる組合せです。
私たちは、28−30・30−32のセットカウント0−2で敗退し、彼女たちは引退しました。
2セットとも先にマッチポイントを握りながらも追いつかれ、ジュースに次ぐジュースの末ストレート負けでした。

 当時の私がもう少しまともな教師、大人だったら、彼女たちと「関東大会出場」という思い出を共有することができたのではと今でも思い出します。
 まぁ、その子達も今は40歳くらいで、当時の私よりも年上ですから、笑い話にしていてくれると嬉しいです。