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こんな不動産があったなら:「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」

「吉祥寺も終わったな」

こんなセリフがしょっぱなに来るインパクトある双子の姉妹が営む不動産に集う「吉祥寺で物件を探す人々」

しかし、「吉祥寺」に不動産を構えながらも、吉祥寺に憧れる女子たち相手にことごとく

「じゃあ、吉祥寺じゃなくてもいいね」
「じゃあ、吉祥寺やめよっか」

と、あるいは有無を言わせず連行される「吉祥寺以外」の物件の数々。

かといって、訪れる人の好み、理想、イメージ、などなどまるっきり無視しているわけではなく、そのパンクでロックでタメ口で物おじしない双子の姉妹は、意外にも?ひとりひとりのお客の繊細なところまで見極めていて、その人が自分でも気づかなかった「求める希望(物件)」をピタリと見つけ出してくれる。

読んでいると、双子の姉妹に紹介された物件のある各場所に行きたくなってしまう。それくらい、細やかにその町の魅力や風景が満載のある意味ガイドブック的なコミックだ。

この漫画の面白いところは、自分の知っている街、住んだことのある場所、あるいは今現在住んでいる街が出てくるかもしれないところ。

時として、今はもうない、変わってしまった場所や事もあるのだろうが、見ていると「あ、ここ知ってる」「うちの近所じゃん!」って事もあるのかもしてない。

田舎に舞い戻った私であるが、ほんの一時住んでいただけだが、遊びに行った場所が時折出てくると嬉しくなってしまう。

第1話に「吉祥寺も終わったな」と姉妹がつぶやく場面にちらっと登場する「吉祥寺バウスシアター」は初めて東京に行った年に映画館通いばかりしていて、訪れた事のある映画館だった。そうかあそこは閉館になってしまっていたのかと、なんとも寂しい気分になったが、あの商店街の中にある雰囲気、あの映画館で観た「エリンブロコヴィッチ」を思い出し懐かしさもこみ上げる。


「吉祥寺」が終わったと言いつつも、吉祥寺を愛し、そこに住み続ける姉妹。ついには自分たちの家までもリノベーションしてまで住み続ける。

「吉祥寺愛」に満ちながらも、「吉祥寺以外」をお勧めする姉妹のいる不動産に出会えた彼らは、きっと、かつての「住みたい街ナンバー1吉祥寺」から「わたしだけの住みたい街ナンバー1」を見つけられたのかも。

コミックスは6巻で終わっているが、続編もあるとの事。
双子の姉妹は今度はどの「街」へ、空想遊びに連れていってくれるのだろうか?

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