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「どぶがわ」は空想と現実と夢と未来が詰まったフォアグラな読後感。

何を訳の分からぬことを・・・と言われそうだが、そうなのである。
とにかく、ここ最近私のお気に入りになった漫画の1冊。全く前知識なく単純にこの「どぶがわ」という題名と、ギャップのありすぎる西洋のお嬢様たちの表紙が気になりすぎて手に取った作品。映画「繕い裁つ人」が好きだったけど、この作品と原作者が一緒だとは知らなかった(原作コミックはまだ読んでないのだけれど)あの映画の主人公が喫茶店でひとり大きなホールケーキをとてもとても幸せそうに頬張る姿がうらやましくて、私も乳アレルギーでなければ是非挑戦したいと観るたびに思ったものだ(何の感想?)原作は読んでいないけど、あのシーンは映画オリジナル?原作にもあるのかな?

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・・・・話が逸れてしまったが、とにかく「どぶがわ」である。

物語は4人のお嬢様が優雅にランチをしている場面から始まる。
パーティーの招待の話、オーダーしたドレスの話、そして給仕のロゼッタが作る食事の数々。
フォアグラのソテー、アローズにはパプリカのソース。アボカドにはわさび醤油、、、、わさび醤油?
あきらかに西洋風の雰囲気あふれる場面に急な「わさび醬油」の登場。

おや?と思っていると、場面はうって変わり、川沿いのベンチでうたた寝するお婆さんの物語へ。
スーパーのアボカド1つ198円を「お安いわね」という奥様方を横目に、もやしと豆腐を128円で購入し、川沿いの集合住宅の1室に帰っていく。質素な夕食を摂り、押し入れから和布団を出して、畳にじかに置かれた数冊の本の中から1冊を読みながらいつの間にか夢の中へ。そして朝、いつもの川沿いのベンチへ今日も向かう。

『谷底の臭気漂うこの川沿いに 私の楽園はある』
そういって。

短編っぽく、1話ずつそれとなく完結しているけど、少しずつ続いている。それぞれ登場人物も微妙にかぶっていて、でもやっぱり中心は「優雅な姉妹と比例して現実世界の川沿いに暮らすお婆さん」の話。

これはお婆さんの空想の世界なのか、それとも夢の世界?

よく年寄りの思い出話というと、過去の体験とか身の回りの話、現実的なものが想像されがちだけど、空想の世界、夢見る世界は年齢も性別も時代も何もかも飛び越えて、自由であると気づかされる。心の豊かさは誰にも奪えない宝物。

老婆の暮らしと共に、この川沿いに暮らすそれぞれの人々の暮らしを垣間見ながら迎える「グランドフィナーレ」

給仕のロゼッタの腕は上がり?食卓にはあふれんばかりのごちそうが並ぶ。カエルのムースホウレン草づつみ、白ネギのスープ赤パプリカソース添え、フォアグラとリンゴのソテー、牛肉とオリーブの赤ワイン煮込みにアボカドソース、きのこのにんにくスープパイ仕立て、そしてやっぱりおすしはトロ。。。

まるで1本の映画を観終わったような、フォアグラを優雅に堪能した後のような満足感でした。
フォアグラ食べたことないけど。。。。アボカドわさび醤油は、美味しいよね。

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