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【岩石マニア】石垣島巨石めぐり vol.4|by 鈴木邦彦@石垣島|クジラ岩 & 真栄里ダムの巨石

【石垣島巨石めぐり】をご覧いただきありがとうございます!ギャグ漫画家兼 クライマー兼 岩石マニア の鈴木邦彦と申します。
  
このコラムでは、石垣島の知られざる魅力【巨石スポット】をご紹介してまいります。毎回2ヶ所の巨石・巨岩の情報と、大まかな位置情報を記載します。
 
石垣島の大地のアート、巨石・巨岩・奇岩の世界を一緒にのぞいてみませんか?
過去の記事も石垣島の素晴らしい巨石がもりだくさん。ぜひご覧くださいませ↓
vol.1 野底岳・見晴らし岩/明石海岸・シャコガイ 岩
vol.2  アマユナーの岩/荒川河口の巨石群
vol.3  キーストーン/屋良部大石

ちなみに岩と石の区別には明確な定義はないですが、一説では地面から生えているものを岩、地面に接している・あるいは浮いているものを石と呼ぶようです。この記事のタイトルは巨石めぐりですが、岩もめぐります。
文中ではどちらも用います。

登るのが困難な巨石

私は趣味で20年以上ロッククライミングをやっております。
そこで今回は、石垣島の中でも特にロッククライミングの対象として「より難易度の高い」、登るのが困難な巨石をご紹介いたします。

そもそもなぜ岩に登るの?

目の前に岩が現れたとき、それを登ってみたいと思うのは、人間の本能ではないでしょうか。

高さが何十メートルもある壁の場合はもちろん危険を感じてしまうと思いますが、例えば2〜3m程度の石ころで、なんだか掴むところもあって登りやすそうで、しかもその上が平らだったりしたら、「この岩の上に行きたい」とは、ほとんどの人が思うことだと思います。

「ロッククライミング」なんて言うと一部のマニア向けのスポーツのように感じられますが、岩に登ること自体は原始的な娯楽と言えます。
現に屋良部岳や野底マーペーでは、多くの方々が山頂の岩の上に自ら進んで登っています。

百聞は一見にしかず、百見は一登にしかず

このコラムの過去回では、岩の成り立ちや組成、重厚感や硬度感に触れながら、岩はなぜ魅力的なのか、そしてなぜ美しいかについて熱く語ってまいりました。また、石垣島の岩の面白みについて述べてまいりました。

その上で、岩をもっともよく理解するためには、私の経験を照らし合わせると、その岩を登る以外にはないと考えております。
特に、岩ごとの「一番登るのが難しいルート」を登ることで、岩との真の対話が生まれます。

岩には、人間が鍛錬を重ねて、技術を磨き、それらを駆使することでようやく登ることができる、ひとすじのラインがまれに存在します。

これは大地のおおいなる芸術に他なりません。そしてこの芸術は、極限まで鍛えて、幾度もの挑戦の末に、登りきった者にしか見えないし理解できないでしょう。

どれだけ岩の見た目の美しさに感動したとしても、また岩の歴史や組成の神秘性に感銘を受けたとしても、この芸術の素晴らしさを体感しないことには、その岩を真に理解したとは言い難いと思います。

料理で例えるなら、どれだけ見た目や香りに触れ、または食材に対する知識を学んだとしても、実食してみないことには真の魅力が味わえないことと同じです。

時に数ミリの取っかかりが、研鑽を積んだ人間が何日もかけて、ギリギリ登攀(とうはん)可能な配置で、岩に並べられていたりするのです。もちろん自然に、です。
この奇跡を味わわずして、岩の魅力をわかった気になったのではもったいないと思います。

岩は登ってナンボです。

石垣島最難の2つの巨石

今回ご紹介する2つの岩は、私もまだもっとも難しいラインを登れてはいません。
そのため私もまだこの2つの巨石の魅力を完全に理解するに至っておりません。

これらの岩の最難ラインは2021年に、日本のトップクライマーの1人、野村真一郎氏によって登られました。

どちらも、ロッククライミング的には全国レベルのポテンシャルをもつ素晴らしい岩です。

崎枝のクジラ岩

クジラ岩は崎枝浜にある凝灰岩(に琉球石灰岩が混ざってるかも?)の巨石です。
クジラが大きく口を開いたような姿をしています。

全国にクジラ岩という名前の岩は多いのですが(宮古島や長野県などにあります。)、そのほとんどはクジラが地面に横たわったような姿です。
大口を開けた大迫力のクジラは石垣島だけっす!

野村伸一郎氏が登ったライン「レオン」があります。
クジラの上顎の部分に、必死でしがみつきながら登ります。

真栄里ダムの巨石

真栄里ダムのすぐそば、サトウキビ畑に囲まれた花崗岩の巨石です。
非常に易しいラインから、石垣島最難クラスのラインまでが混在しています。

画像はもっとも易しいライン。彼はハダシで登っちゃっていますね!

この裏手に、激ムズライン「海物語」があります。
野村真一郎氏以外はまだ誰も登れていません、ミリ単位の出っ張りで無理やり体を引き上げるとのことです!

石垣島はおろか沖縄県で最難ラインなんじゃないかと僕はニラんでいます‥。

最難は更新される!

現在、石垣島最難の岩は上記の2つですが、
まだまだ石垣島には「ムズすぎて誰にも登られていない」岩がたくさん眠っています。
いつかさらなる強力なクライマーが島に訪れるか島から誕生すれば、最難ラインが更新される可能性は高いと思われます。
(現に野村くんが来島する前までは、クジラ岩にあった別のライン「サザンスター」がしばらくの間石垣島最難ラインとされていました。)

まとめ

今回は口角泡を飛ばすがごとく、岩は登ってナンボと熱弁しつつ、「クジラ岩」と、「真栄里ダムの巨石」についてご紹介させていただきました。
 
かなりディープな内容かと自覚しておりますが‥
また次回も、島の巨石スポットをいろいろご紹介できればと思います。
拙文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


▼「石垣島巨石めぐり」記事集です!


この記事を書いた人

鈴木邦彦
ギャグ漫画家/クライマー
日本最南のギャグ漫画家として活動。
また、ボルダリングジム&ガイド「TOP OUT」運営。
石垣島のボルダリングエリアの新規開拓や、山や滝へのトレッキングガイドも行う。

■連載中
八重山日報「アフロくん」
月刊やいま「まじむん日記」
月刊まーるマガジン「マーロくん」
フリーファン「くにくにのぐだぐだ」など。
4コマ漫画がメイン。

経歴
国民体育大会スポーツクライミング競技 出場多数。
野底マーペーを崖側から登頂。
野底ボルダー最難ルート「ティンガーラ」初登。
2023年 40歳にして沖縄県総体スポーツクライミング競技 男子総合準優勝。
スポーツクライミングにおいて日本代表選手を含む多くの選手の指導経験を持つ。
座右の銘は「下には下がいる」。

Instagram:@topout.guide


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