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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説

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フリムンという言葉は沖縄の方言で、バカ・愚か者という意味で使われる。この物語は、日本最南端の石垣島に生まれ、後に全日本空手道選手権大会を制する田福雄市氏の空手人生、そしてフリムン…
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【自伝小説】第1話 幼少時代(1) |最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島  

【自伝小説】第1話 幼少時代(1) |最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島  

空手フリムンとは?

フリムンという言葉は沖縄の方言で、バカ・愚か者という意味で使われる。この物語は、日本最南端の石垣島に生まれ、後に全日本空手道選手権大会を制する田福雄市氏の空手人生、そしてフリムンな半生(または反省)を描いたノンフィクション作品である。
(記:月刊まーる編集部)

序章

 巨木がひしめく森で視界を遮られ、天を仰いだその視線の先から僅かに覗く星空に思いを馳せる。そんな表現が適切

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【自伝小説】第2話 小学校時代(2) |最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島

【自伝小説】第2話 小学校時代(2) |最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島

血ぃーごーごー事件

 突然、辺り一面に悲鳴がこだました。そこは某小学校のグラウンド。少年野球チーム、「武蔵」の本拠地だった。まだ5年生ながら、そのチームのキャプテンを務めていた少年。

その日は練習日ではなかったが、気の合う仲間たちと休日を楽しんでいた時に事件は起きた。

 当時、その学校のバックネットは、4m程の角材に緑色の網を縛り付けただけの即席ネットであった。そんな弱々しいバックネットに、

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第8話 暗雲編(3)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第8話 暗雲編(3)

【義務教育】1996年。長女が誕生してから5年後に次女が誕生。真に美しい女性になるよう「真美」と名付けられた。

生まれた時からどこか光るものを持ち合わせていた彼女。

笑顔が可愛いという理由で、百日写真を撮ってくださった写真館さんが長きに渡り展示してくれた程である。



その頃より、長女も父親の下で空手を学ぶようになり、フリムン家では極真空手が義務教育の一環となった。

もちろん、次女も例外

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