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「ポエム」 愚者

問題は問題であり続けることができる。

疑問のまま保管され続ける。

知りたいと思い続けたまま放置される。

ややもするとその場合がある。

徐々に徐々に影を潜める。

そうしていつしか。

泡沫(うたかた)に消えてしまう。

[分からないことが正解である]と。

そう堪忍したからである。

それは解こうとしないからではない。

いやむしろ解きたい。

解けないからでもない。

無理だからではない。

それは実のところ。

解き続けるからなのだ。

何時まで経っても。

起き伏し愚者は問題をそのままに保管してしまう。

不抜なものとしてむしろ崇(あが)める。

問題が問題であり続けること。

それに至高の価値を置いているかのごとくに。

しかしそれは本当のところ。

彼が深淵(しんえん)を。

それの深淵を誰よりも解しているからなのである。

かくして愚者は今日も。

惨めにあがき続けている。

問題が問題のままであること。

彼はそこに他の何よりも。

矜持(きょうじ)を据え付けているのであった。


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