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織田信長はサイコパスすぎるし、まわりは男色と殺し合いばかりだし、自分は絶対戦国自体を生き抜けないなと痛感した『首』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:88/164
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東宝、KADOKAWA
 上映時間:131分
 ジャンル:戦国、伝記、時代劇、アクション
元ネタなど:小説『』(2019)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
天下統一を掲げる織田信長(加瀬亮)は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げていたが、その最中、信長の家臣・荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こし姿を消す。

信長は羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島秀俊)ら家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。秀吉の弟・秀長(大森南朋)、軍司・黒田官兵衛(浅野忠信)の策で捕らえられた村重は光秀に引き渡されるが、光秀はなぜか村重を殺さず匿う。

村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始める。だが、それはすべて仕組まれた罠だった。

果たして黒幕は誰なのか?権力争いの行方は?史実を根底から覆す波乱の展開が、“本能寺の変”に向かって動き出す―。

【感想】

※以下、敬称略。
「いや、もう無理っす。。。自分、戦国時代生きていけねぇっす。。。」っていうぐらい、戦国時代のおぞましさが伝わってくる映画でした。。。これがリアルかどうは判断できませんが、もし当時が本当にこんな感じだったなら、僕は絶対に行きたくないですね(笑)

<『レジェバタ』との違い>

この映画、話としては、荒木村重の失踪から本能寺の変を経て、明智光秀が亡くなるまでを描いた時代劇です。まさか『レジェンド&バタフライ』(2023)に続き、同じ年に同じような映画が2本も公開されるとは思いませんでしたが、その描かれ方はかなり異なります。『レジェバタ』は織田信長およびその妻である濃姫にフォーカスを当て、両者の生き様を描いていましたが、今回の映画は誰か一人を追ったものではなく、群像劇としていろんな人物に焦点を当てていたように思います。

<こんな織田信長見たことない!>

群像劇とはいえ、この映画で一番やべぇなと思ったのは、織田信長その人です。『レジェバタ』では粗暴ながらもカリスマ性のある勇敢な武将として描かれていたものの、本作ではドサイコパスですよ。短気でわがまま、自分の気に入らないことがあるとキレ散らかし、邪魔者は徹底的に殺す冷徹非道っぷり。その上、刀の先につけた饅頭を村重に食わせ、口の中でグリグリ動かし、血がブッシャブシャ出てるのを見て、「おまえ、かわいいなああああ!!」つってベロチューする狂気の塊でもあります。こんな人の下でマジで働きたくねぇ。。。

<男色の世界>

でも、そんな織田信長をお慕い申す人もいたのだから、いろいろ振り切っている分、刺さる人には刺さったんだろうなとも思います(笑)そのお慕い申す人っていうのも、この映画では男しか描かれていませんでしたけどね。そう、この時代では割と一般的なことだそうですが、武士の惚れた腫れたっていうのは男色がメインなんですよ。織田信長だけでなく、明智光秀にもまたそういうエピソードがあって、戦国時代の特殊性を思わせましたねー。いや、別に同性愛自体を否定するつもりはまったくないんですが、とにかく女っ気がまったくない世界だったのは特徴のひとつだと思います。

<命がいくつあっても足りない>

そんな現代では考えられないような環境に加えて、世は戦国時代でしょう。普通に道を歩いてるだけでも、いきなり矢や弾が飛んできて死んじゃうんですよ。。。合戦ともなれば、主君から特攻を命じられることもありますし、負けたら負けたで一族そろって処刑(斬首)ですよ?何とか逃げ切れたとしても、残党狩りや落ち武者狩りみたいなのに襲われることもあって、平穏なんて夢のまた夢。サイコパスな主君に男色と殺し合いで、身も心もズタボロですよ。こんなんじゃ命がいくつあっても足りません。もうね、自分は戦国時代を生き抜くのは無理だと悟りました。ご先祖様、よくぞ生きておられました。。。(多分、武士じゃなかったと思いますw)

<そんなわけで>

戦国時代の過酷さをこれでもかってぐらい痛感する映画でした。時代劇って、誰かしら戦国武将の生き様を描いて、そこにかっこよさを見出すことが多いと思うんですが、この映画ではまったくそんなことはなく、ただただ当時の生きづらさだけが伝わってきましたね。。。

ちなみに、設定もキャラも史実にどれだけ近いかはわかりません。学生時代は歴史にまったく興味がなく、真面目に勉強していなかったもので。。。正直、荒木村重も弥助(副島淳)もこの映画で初めて知ったぐらいですから。まあ、当時の記録もちゃんと残っておらず、専門家でも意見が分かれているところもあるので、あくまでもエンターテインメントのひとつとして捉えた方がよいかと思いますね。とにかく、映画としてはいろいろぶっ飛んでて面白かったです。個人的には、難波茂助を演じた中村獅童のこれまた狂気じみた演技も好きでした(笑)


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