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「ありがとう」言う子、言わない子

初めて保護者面談なるものに行ったのは上の子が幼稚園の年少組の時でした。ふくよかでお優しい先生で、キャラクター弁当のように子ども向けに可愛いお弁当を作れない私の作ったお弁当を

「おかあさまのお弁当はわたしがいただきたいくらいです」

とほめてくださったりするのです。まさかそれから25年間子どものお弁当を作る人生が始まるとはその時は知る由もないのでした。

横道にそれましたが、そのお優しい先生によると長女はほんの些細なことにでも「ありがとう」を言う子だったようです、三歳のころから。

私がそのことに改めて気づいたのは娘が中学に入って携帯電話を持たせてからでした。授業参観に行った帰りや部活の応援に行った帰りの電車の中で本人から

「今日は来てくれてありがとう」

と即連絡が入ります。わざわざ水臭いなあ、こちらこそ楽しかったのに、などと思っていました。今思うとこの子は「ありがとう」を素直に伝えられる子でした。昨日は早々と母の日のカーネーションが届きました。初めてのことに気配りのできる長女らしさと気遣われるようになった自分の身をしみじみ感じました。

ところが次女は勝手が違います。昔から口数が少なくて「ありがとう」も「ただいま」も言わずむっつり。家に帰ったのか帰ってないのかもよくわかりません。機嫌いいときは笑うこともありますが、家ではぶすっとしていることも多かったのです。何度も

「笑顔、笑顔」

とか

「女は愛嬌だよー」

などと言ったのですがほぼ効果はありませんでした。

いったい学校や会社では人とどう付き合ってるんだろうというのが不安だったり不思議だったりしていましたが社会人になってからそれこそ社会性が徐々に身についてきたようで接しやすくなってきました。

一説によると女性は23歳くらいから25歳くらいにかけての二年でずいぶん成長するそうです。若さだけの危うさ、傲慢さから脱皮するのが現代社会ではそのころなのでしょうか。たまたま次女にはその説がピタッと当てはまったように見えます。知らぬ間に遅めの思春期を抜けてちゃんと社会で通用するようになっていました。

家庭での教育なんて上等なことはできなくても、外で育ててもらったんだと思い、ありがたく感じています。

先日次女が姉の婚約を祝って電動自転車を贈ったことを知りました。聞いてみるとこれまで26年間お世話になった感謝の気持ちだそうです。実際長女は世話好きなところもあって常に妹のことを気にかけて性質をよく理解して可愛がっていました。次女はそう簡単に「ありがとう」を言わないけれど、気持ちは人一倍あったのだと愚かな母はようやくわかったのです。

人の表面だけを見てはいけない。長いこと一緒にいてよくわかっているつもりでも私の目は節穴だったのかも知れない。それとも向こうが近頃変わったのか。そんな嬉しい気づきがありました。なかなか手ごわい相手だと思っていた人からこそより多くの学びがあるものかもしれません。次女のそんな優しい面を分かってくれる人とよい出会いがあることを願う今日この頃です。

捗った昨日に引き続き今日も家の整理をする予定です。皆さまも良き春の日をお過ごしください。


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