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そこにいますか

だいたい男は“じじい”になる。

じじいの一般的なイメージは「老害」とまでいかなくても
”何も生み出さない” もの。非生産的存在だと疎まれることが多々ある。

とはいえ、コンビニ食材が、ひと手間かければ「コンビニグルメ」って、新しい感じがするように、じじいだって一工夫すれば何か生み出せるようになるのでは?
             「じじい労働力」

現状で活用されているのは、清掃サービス、交通警備、建物管理などかな。

しかし、単純労働系はAIにとって代わられる可能性がある。

そこで、「まだ無いけど、じじいでもできる仕事とは?」を個人的なテーマの一つとして、日々考えている。

考え方のベースは「そこにいるだけでいい」だ。

ちょっと想像していただきたい。

有名な俳人の一句が刻まれたどデカい石碑が、渋谷のスクランブル交差点の真ん中に立っていたら…

邪魔だ。

自撮りしながらバックしてくる外国人観光客が次々に衝突するだろう。

しかし、ほんの数十メートル移動して、ハチ公の隣にあったら?

「新たな待ち合わせスポット出現!」って、

誰も希望しなくてもSNSで拡散されるだろう。

そう、適材適所。

置き場所さえ間違えなければ、じじいだって生産的になる。

寿司店のカウンター内で、黙々と包丁を研いでいるだけ…
靴の修繕店で背中を丸め、靴をいじっているだけ…
何かのセレモニーで檀上に並んで座っているだけ…

などなど、ただ「いるだけ」で、不思議な安定感が生まれる。

人間の思考には、少ない情報で、全体を判断してしまう傾向がある。
妥当性の錯覚、ランダムな事象に規則性をみつけようとする錯誤、標本の大きさの無視、少数の法則への錯誤など…
「代表性(典型性)ヒューリスティクス」という。

「そんなん、サギまがいじゃん!」という声も聞こえてきそうだが
靴の修繕店なら、技術のある人が靴を直せば問題は解決。近くにいるじじいを見てお客さんが安心するなら、誰も不幸になっていない。

実際、あるステーキ店は、料理の腕に覚えのあるシニアを採用していると
いう。もともとイタリアン専門でステーキ未経験というシニアが焼く肉。それでも「美味しくみえるから」という理由で、店は採用したという。但しこのケースは「料理ができる」という一芸を持っているシニア。

自分が考えているのは「腕に何の覚えもないじじい」をどう活かすか。

「すでにじじい、間もなくじじい」くらいの年代だと、終身雇用で宮仕えしてきたから、会社の肩書が取れると、つぶしがきかない。でも、それなりの矜持がある。

NHKの「プロフェッショナル」が、じじい受けする理由がわかりやすい。「俺たちが今の日本を作ってきた」という共感が視聴動機になっている。

だから「そこにいるだけでいい」という考え方をベースにしているものの、じじいなりの矜持をリスペクトした上で「どうやって、なにを、生み出せるか?」が課題だ。

今、アイディアを少しずつ蓄積している最中。100個くらい貯まったら
じじいのコミュニティを立ち上げよう。グループ名は、アメリカのロック
バンド「ZZトップ」をオマージュして「じじぃトップ」はどうだろう?
ユニフォームは、全身タイツ型の「ZIZIスーツ」だ。

以前、noteで綴った「UBERじじい」や「会えるアイドルの次はありますか」も、じじい労働力を活用するサービス。

ステージに立ちたいけど、集客に悩んでいる自称アイドルが劇場に行けば、音響照明、さらにファンまでがスタンバイしている。ファンというのは「じじい」たちだ。

大勢のじじいがサイリュームを振って応援してくれる。自称アイドルは、スター気分を味わえる。酸素が薄くなるかもしれないからボンベと医療チームもスタンバイさせておこう。

もしかすると、じじいが本当のファンになってくれるかもしれないし
それまでお堅い仕事一筋だったじじいには、新鮮な体験になるだろう。
サイリュームの棒をパキっと折った瞬間、じじいの中でも何かが弾けるかもしれない。「わしが育てちゃる!」ってね。
道路で誘導灯を振るより、サイリュームを振る方が握力もつくだろう。

今週末、自分が原作・脚本を担当したショートムービーの撮影が控えている。今回の作品にじじいは出てこないが、たとえば街頭で選挙演説のシーンがあれば、聴衆役にじじいを10ダースくらい発注すると思う。

きのう、きょうの記事、合わせて30回近く “じじい” を連呼したので
読んでいて、じじぃん麻疹が出てしまったら申し訳ない…
あ、こういう一言が “じじい” の入口か。

しかし、じじい労働力の活用を考えることは、自分にとっても将来のセーフティネットだと思っている。頭は動くうちに回転させておこう。

「あなたにできる最も利己的なことのひとつが、他人を助けることだ」
            ダニエル・ギルバート(ハーバード大学教授)

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