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1から学べる社会福祉法人会計勉強会のストーリー① 本質を伝えたい

公認会計士試験に受かるまで

1から学べる社会福祉法人勉強会の資料や書籍は、本質を伝えることを目的にしています。私がこのように考えるようになったきっかけをお伝えしていきます。
1回目のお話は、公認会計士試験に受かるまでの経緯からです。


会計士試験との出会い


私は、大学を卒業し、地方自治体に在籍していました。いわゆる公務員試験を受けて、地方公務員になりました。平成2年のことです。

最初に在籍した部門は、地方公営企業の財務課でした。財務課には7年間所属したのですが、その時に出会った憧れの先輩がいました。

その方は、6歳年上の先輩で、在職しながら、税理士試験(5科目)に合格するとともに、不動産鑑定士の試験にも合格されていました。

『なんとすごい! かっこいい!!』と思い、先輩に「私も勉強して挑戦したい」と伝えたところ、先輩から「松岡くんは、公認会計士の方がいいよ」との言葉をいただきました。

「じゃあ、公認会計士を目指します!」となりました。

当時は、「税理士」と「公認会計士」の違いもよく分かってませんでした。

先輩からは、「合格するには最低でも3000時間くらい勉強しないとあかんよ」と言われて、

『それなら、500時間くらいで受かってみせる』なんて、根拠のない自信を抱いていました。

しかし、現実はそんなに甘いものでは決してなかったです。
私の過信どころか、現実を知らない自惚れでしかありませんでした。

試験の結果と退職

私は、『仕事をしながらでも、毎日勉強すれば、きっとすぐに合格できる』との甘い考えを持っていました。
しかし、1年、2年と全く受かりません。
当時の試験は年に1回、短答式試験(5択)と論文式試験がありました。

短答式試験は、なんとかクリアできるようになったのですが、論文式試験は全く受かりません。試験で「できた!」と思っても、毎回、不合格でした。

そこで、このままではいつまでも受からないと思い、思い切って役所を退職して、試験勉強に専念することにしました。
11年間、大変お世話になった職場でした。

退職する際、先輩は人事部門の管理職をされていました。
定時を過ぎた時間を見計らって、一番最初にご報告に行きました。
先輩はその日、私が帰宅してから私の全ての上司の所を回ってくださって、「松岡くんの退職を認めてやって欲しい」と伝えてくださっていました。

先輩のお言葉のおかげで、上司の方々も快く送り出してくださいました。
今でも、先輩や職場には感謝しかありません。初心を忘れないように思い返しています。

退職後、はじめての試験

3月末に退職して、その年の試験に挑戦しました。さすがに今回は受かるだろうと自分も周りも思っていたのですが、結果は不合格でした。

この時は、かなり落ち込みました。
『あれっ、俺ってあかんのかも』『また1年頑張らないとあかんのか。。。』と脱力したことを覚えています。

先輩に試験結果を報告したのですが、後日談として、「(不合格と聞いた時は)どうしようかと本当に思った(笑)」とおっしゃっていました。

前の職場の上司や同僚の方々にも報告しました。
試験に落ちた勢いでバリカンで頭を丸めたので、みなさん本当に驚かれました。

たくさんの方々が、残念会と称して食事や旅行に連れ出してくださいました。当時、無職の私に対して、「お金はいらんから、体ひとつでおいで」と。
たくさんの方々に支えてもらっていたんですね。

基本書との出会い

勉強方法の見直しとスポックさんのサイトとの出会い

来年の試験に向けて、また勉強を続けることになりました。

しかし、この時になってはじめて、『このままの勉強では来年もあかんかも』と思うようになりました。

当時は、平成13年です。今よりも情報が少ない中で出会ったのが、公認会計士のスポックさんが掲載されていた「絶対!基本書主義」というサイトです。

スポックさんのサイトでは、会計士試験の合格に向けて基本書で学ぶべき理由と、試験科目ごとに基本書が10段階評価で掲載されていました。

読めば読むほどなるほどと感じ、また、藁をもすがる思いから、スポックさんの評価の高い順番に基本書を全て読んでいきました。

ここにきて、はじめて、基本書の大切さと自分が本質的な理解が全くできていないことが分かりました。

図書館めぐり

それからは、滋賀県の県立図書館と大津市立図書館に行き、財務、会計の棚の本を端から端まで順番に借りて読んでいきました。
図書館にずっと蔵書されている本は基本書なんだろうと考えたからです。

図書館にある基本書の、かなりの数を読み終えた頃には、
『そら、去年までは試験に受かる訳ないよな』という気持ちになっていました。

そして、ようやく次の年に、合格することができました。
勉強会時間は、5000時間をゆうに超えていました。

退職後、初めて前の職場に寄せてもらうことができ、職場のご厚意でたくさんのみなさんの前でお礼のご挨拶までさせてもらうことができました。

事務所開業後は、すぐに顧問先様が増えることがなかったため、今度は京都府立図書館や京都市立図書館に行って、財務会計や経営、そして社会福祉の基本書を毎回、貸出制限いっぱいまで借りて読むことを繰り返していました。

公認会計士として仕事をしながら感じるのは、顧問先さんとの会話の中で一番役に立っているのは、基本書で学んだ知識や理解だということです。
この理解を本質的な理解と考えています。

1から学べる社会福祉法人勉強会の始まり

開業以来、ずっとご一緒して下さっている社会福祉法人の理事長から、次の世代の職員さんに向けて勉強会をして欲しいと言っていただいたことから、勉強会が始まりました。

どのようなテーマで、どのような資料を作っていこうかと考えました。
受講して下さるのは、会計や総務部門ではなく、事業や運営部門で経験を積んでこられた方々です。

今後、管理職として会計業務をマネジメントすることはあっても、会計実務そのものを担っていく予定ではありません。どちらかと言うと、運営面をこれからも管理していく立場になります。
また、毎日の業務の中で、会計を勉強する時間がたくさんある訳でもありません。

そこで、会計の細かい実務の話ではなく、管理職として押さえておいて欲しい考え方をお伝えしていこう。
たくさんの基本書から学んだ、本質的な内容をエッセンスとしてお伝えしていこうと考えました。

管理職として本質を押さえておくと、言葉が職員さんやご利用者さんの胸にささる、胸に響くと思っています。

このようにして勉強会の資料は、各テーマごとに、本質的な内容を押さえていく視点から作成しています。
書籍版は、説明した内容を1時間程度で読んでもらえるような文量にしています。

基本書と本質的理解の素晴らしさを再確認できたこと

会計士を目指す後輩

公認会計士の試験に合格し、前の職場に訪問してみなさんの前でご挨拶した時に、一人の後輩がいました。
彼は、私の挨拶に刺激を受けて『自分も会計士を目指します』と役所を退職することを選びました。驚き‼️です。

彼とは、在職中には面識はなかったのですが、先輩から「〇〇君も、会計士を目指すって言ってて辞めるねん。会ってあげて」とお声がかかりました。もちろん喜んで会いました。

彼は、私と同じように何年も落ち続けながらも、歯を食いしばり合格することができました。

彼の試験勉強の間、激励と近況報告も兼ねて何度も一緒に食事をしていたのですが、私が「とにかく基本書を読めよ。基本書で勉強しろよ」と会う度、言っていたそうです。(すっかり忘れていました)

その彼も、監査法人では、社員(取締役のようなもの)まで昇任してから、昨年、独立開業しました。

後輩の言葉

彼の独立開業後に、彼と久しぶりに食事をしました。
私が「監査法人の社員までなったん?。すごいやん。よう頑張ったなあ」と言ったところ、
彼から「松岡さんがとにかく基本書を読めって言ってくれて、勉強中にいっぱい読んだおかげです。」
今の難しい会計のことは、周りの会計士に全然敵わないんです(笑)。でも、僕は基本書をひたすら読み込んで、本質を押さえてきたんで、本質でお話しすると相手の企業の役員さんがめっちゃ喜んで下さって、僕を指名して下さるんです!」という話を聞かせてもらいました。

本質の理解から発する言葉は、相手の胸にささることを、後輩が再確認をさせてくれました。

最後に

最後までお読み下さり、ありがとうございました。

勉強会の資料や書籍版は、たくさんの基本書から学んだものを、社会福祉法人のみなさんにお伝えできるように作成しています。

この記事を書くに当たって、約20年ぶりにスポックさんのサイトを訪問したところ、今もご活躍中でした。とても懐かしく、あの頃の思いが蘇ってきます。基本書との出会いを下さったスポックさんに心から感謝しています。ありがとうございます。

最後までお読み下さり、ありがとうございました。


ご参考

1から学べる社会福祉法人会計勉強会のエッセンスを、
ふわふわ会計 note版」として会計に興味のある全ての方向けに記載しています。

勉強の内容を書籍にしています。
第1巻〜第9巻 出版中


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