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(6)秀典とサラーーchinko to america by mano

 サラはすっかりオレたちの仲間に加わり、ランチだけでなく、ディナーも一緒に食べるようになる。
 彼女との付き合いが長くなるにつれて、同級生の友だちがほとんどいないことがわかってきた。サラを通して「女友だちをどんどん紹介してもらおう」なんていう下心を抱いていたが、どう考えてもそんなチャンスは巡ってきそうにはない。
 サラがオレたちの輪に入ってきたのには、実は理由があった。彼女は幼少期にハワイで育っていて、その当時、日系アメリカ人の友だちが何人かいたそうだ。そのため、何となく懐かしくなり、オレたちと一緒にいたいと思ったらしい。
「中学になってアーカンソーに引っ越してきたんだけど、ここってすごく田舎じゃない。同級生たちも全然国際的じゃないから、あまり話が合わないの。だから、すごくつまらないし、退屈なのよね」
 見た目は超オタクで、どう見ても田舎っぽい風貌のサラが、まさかそんなことを言うとは意外だった。

 共産圏からやって来たような垢抜けないサラが不満そうに「アーカンソーは田舎で、国際的じゃないからつまらない」と言うたびに、オレはすごくホッとした気分になる。サラは気が強く、頑固なところがあって、たまに言い合いになったりもする。それでもオレは、サラに好感を持ち始めていた。
 サラという新しい友だちができて、オレの生活にもメリハリが出てきたような気がした。英語を流暢に話せる状況からはほど遠いが、生活に慣れてきたせいか毎日が楽しい。
 
 そんな生活を送っていたのだが、しばらくするとサラの生活パターンに変化が出てくる。ランチやディナーの時間にカフェテリアに行っても、姿を見かける回数が減ってきた。と同時に、それまでいつも一緒に食事をしていた秀典もカフェテリアに現れないことが多くなる。気にはなっていたが、それぞれ自分の生活のペースができてきて、時間が合わなくなってきたのだろうと考えていた。
 
 ある日のこと、いつものようにカフェテリアに行ってディナーを食べていると、少しして美知子と真美がオレのテーブルにやって来た。
「最近、サラも秀典もなかなか一緒にならないね」
 何気なく切り出すと、美知子たちは「あれマノ、何も知らないの?」と言い出した。
「えっ、何、何? オレ、何も知らないよ」
 そう答えると、普段から噂話の好きな真美が、少し声を落としつつ、ニコニコしながら話し始める。
「あのね、秀典とサラは少し前から付き合い始めたんだよ」
「えーっ、まぁ~じでぇ⁉」
 思わず、大きな声を上げてしまう。
 オレと秀典は、アーカンソーに来てからずっと一緒に過ごし、一番仲が良かった。それなのに、秀典がサラと付き合い始めた事実にまったく気付かなかった。
「マノと秀典はすごく仲がいいから、当然、知っていると思ったよ」
 美知子はそう言うが、寝耳に水だった。

(先を越された……)
 それが最初の感想だった。その一方で、安心する気持ちもあった。仮にこの先、サラに対して恋愛感情を抱くようになっていたら、残りの留学期間は、傷心に苛まれてつらいものになっていただろう。それはどうにか回避できたと言える。そもそも、秀典に対して「先を越された」と思ったのは、「先に彼女を作りやがったな。羨ましいじゃないか」というやっかみの気持ちが沸き起こったというのが大きい。
 
 翌日、学校で秀典を見かけたオレはすぐに駆け寄ると、「昨日、美知子たちから聞いたぞ!」と、半ば責めるかのような口ぶりで話しかけた。
「おお、バレたか。いや、すまん、すまん。マノにはすぐに話すつもりだったんだよ」
 調子のいい言い訳を口にしながら、秀典は実に幸せそうな顔をした。

アメリカ人女性の処女を奪う

 
 その晩、オレと翔、隆はそろって秀典の部屋に押しかけた。もちろん、サラとの関係について根掘り葉掘り話を聞くためだ。
「それにしても、こんなに早く秀典がサラと付き合い始めるとは思わなかったな。おまえ、やることが早すぎるよ」
 オレと同様、2人の関係の進展にまったく気付いていなかった翔が口火を切る。
「いやあ、それがさあ、本当に急展開だったんだよ。オレも正直、驚いている」
 秀典がニヤけながら答える。
 
 彼の話によると、図書館で夜遅くまでサラと一緒に勉強する日が何日か続いたという。オレたちの語学学校がある大学の図書館は毎夜12時まで開いて、勉強をするにはとても恵まれた環境だった。12時を過ぎ、そのまま図書館の前で別れるわけにはいかず、秀典はサラを女子寮まで送り届けた。それを1日、2日と続けるうちに、夜道で2人の肩が軽くぶつかるようになり、そのうちにお互いの手が触れ始めたらしい。
 そしてある晩、いつものようにサラの手が触れたとき、秀典が思い切ってその手を握ると、サラも握り返してきた。そのときから2人の距離は一気に縮まっていく。
 
 秀典の話を聞きながら、オレはすっかりその内容に吸い込まれていた。
(そんなに簡単に女の子と親密になれるのか? しかも相手はアメリカ人の女の子だなんて、すごいじゃないか!)
 女性経験に乏しい19年のオレにとって、すべてが空想の中の話のように聞こえる。
「で、で、でさあ、それからどうなったんだよ?」
 オレは続きが聞きたくてたまらない。
「それからって、何だよ?」
 逸るこちらの気持ちを見透かしてなのか、それともその気持ちをまったく理解していないのか、秀典はなかなか続きを話そうとしない。
「だーかーらーさぁー、サラともうヤッたのかってことだよ!」 
 ここまで言わないとわからないのか! そんな思いだった
「マノは本当にどうしようもねーな。サラにはオレが話したって絶対に言うなよ。それから美知子と真美にも内緒だからな」
 そう念を押したあと、秀典は「サラとすでにヤッている」と白状した。
「送って行ったら、『部屋に寄っていく?』って誘われたんだよ。だから行ったんだけど、やっぱりすぐにそういう雰囲気になっちゃってさ。キスとかしてたら2人とも我慢ができなくなって、お互いの服をはぎ取るような感じで裸になったんだよ」
 この時点で、オレは自分のちんこが勃起しないように必死になって抑制していた。男たち3人を前にして、さすがに前を膨らませるのは恥ずかしい。しかし、それにはかなりの忍耐力が求められた。

「サラはオレのちんこを触ってきて、オレはサラのあそこを指で触っているうちに、どうにも止められなくなってさ。一応、オレ、どういう状況になってもいいように、財布の中にコンドームは入れといたんだ。だから、サラにベッドに横になってもらって、オレはコンドームを付けて、挿入しようとしたわけ。そしたら、サラがさ、『私、初めてだから』って言うんだよ。あれにはちょっと驚いたな」
 聞いているだけで、オレは暴発しそうだった。こんないい思いをしている男が目の前にいることが信じられない。オレと、目の前にいるこの男の差はいったい何だと言うのだ!
 羨ましいやら、情けないやら、しかもちんこは今にも爆発しそうになっているやらで、どうにもいたたまれない気持ちになっていく。
 
 だが、秀典はオレの頭の中がぐちゃぐちゃになっているとは露知らず、さらに話を続ける。
「で、『いいの?』って聞いたら、『もちろんよ』って言うんだよ。それで、サラの足を広げてみたら、ピンク色のあそこが見えてさあ。『やっぱり白人のあそこはピンクなんだな』って感動しながら、サラとセックスしたんだよ。それだけだよ」
 気が付くと、オレは手に汗をかいていた。もちろん、下半身はかなり熱くなっている。
 秀典の話を聞き終えると、オレの頭の中には「おまえのサイズでも満足させられたのか?」「アメリカ人のよがり声はどうだった?」などの数々の質問が浮かび上がってきた。だが、これ以上、秀典の話を聞くのは刺激が強すぎて耐えられそうにない。「そうか、そうなんだ。秀典はすごいな。一番乗りだな」とつぶやくのが精一杯で、とにかく興奮した気持ちをクールダウンさせるのに専心した。 
 
 秀典たちと別れると、オレはすぐに自分の部屋に戻った。
 ベッドに横になると、すぐにパンツを下ろして自分のちんこに手を添えた。ほんの少し触っただけなのに、すぐに熱を帯び、早くも硬直している。
 アメリカ人の彼女を作り、その彼女とセックスするなんて、自分にとっては夢のまた夢だ。しかし、秀典は難なくそれを実現させている。
 目を閉じると、裸のサラがオレのちんこに触れている姿を想像した。その日はそれだけで十分だった。
 今まで感じたことのないような強い興奮を覚えたオレは、1分もしないうちにいとも簡単に朽ち果てた。
 とろけるように気持ちがよく、それはまるで夢の中にいるようだった。

※避妊は大切です。常に財布の中にコンドームを入れておく必要がある男になってみたかった。chinko!!



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