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作家の作品ではなく、作家の生活を知る(永江朗『作家になるには』を読んで)

さまざまな職業とその「なり方」を紹介してくれる、「なるにはBOOKS」シリーズの1冊。

漠然と「作家になりたい」と思ったことのある人はけっこういるかもしれないが、実際に作家がどのような生活をしているかを知っている人はあまりいないだろう。その意味でも、作家の具体的な日課が、大まかながら紹介されているのは気がきいている。簡単に抜粋するとこんな感じである。

【篠田節子さん】
7時半:夫を送り出す。
8時15分:自宅でワープロに向かう。午前中いっぱい原稿を書く。
午後:図書館で調べものをしたり、買い物をしたりする。

【保坂和志さん】
午前10時:起床。朝食。
12時30分:仕事開始。日没までが仕事時間。原稿用紙3枚から5枚ぐらい。

【貫井徳郎さん】
午後:自宅から歩いて20分ほどの仕事場に行く。
午後1時〜4時か5時:執筆。1日10枚が目安。

実際にはもっと詳しく書かれているけれども、本書の出版は2004年なので、現在では彼らの日課も変わっているかもしれない。

だがいずれにせよ、日課マニアの僕にとっては、作家たちが何時に起き、何時間仕事をして、何時間寝るのかという情報は、とても興味深いものである。

その職業を目指すときに、その職業の具体的な生活をイメージすることは、とても大切なことだと思う。

たとえば作家になりたいと思っていても、実は作家が書いた作品が好きなだけで、作家的な生活には全く魅力を感じない、という人もいるだろう。それなのに道を誤って「こんなはずでは……」となっても後の祭りである。いや、本当のことを言えば、それはそれで面白い気もするが(笑)。

自分の将来を、既存の職業に当てはめる必要は全くないと思うが、それでも、「世の中にはどんな職業があるのか」を知っておくことは無駄ではないと思う。多分、知っている職業よりも、知らない職業の方が多いのではないだろうか。その意味でも、一度おおきな本屋さんに行って、この「なるにはBOOKS」のシリーズが並ぶ棚を眺めてみることをおすすめしたい。

ちなみに僕は、このシリーズの「コピーライターになるには」を読んで、実際にコピーライターになった(今は全然やってないけども)。なので僕の場合、このシリーズの本を読んで、その職業になれる確率は100%なのである。とすると、『作家になるには』を読んでしまった僕が作家になる確率は……!!

来年の芥川賞、直木賞の発表を、震えながらお待ちください(笑)。


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