第4話:TOEIC500点以下で海外で仕事をゲットした理由
「で、最近どうなの?渡星準備は、順調に進んでる?」
海外で働きたいという無謀な夢を語った私の背中を押して
シンガポール行きの切符を手に入れるきっかけをくれた人だ。
「あのね、やっぱりシンガポールなんて行くの辞めて
普通に就職しようかなって。
だって、向こうで何をするかも決まってないし、
住むところすら決まってない状態で行く意味あるのかな、なんて…」
不安を飲み込み続けていたせいか
思わず口から弱音がこぼれた。
「え、今さらそんな弱気なこと言ってるの?
インターネットがある時代、できることなんて山ほどあるよ。
家だって、仕事だって、日本にいながらいくらでも探せる。
英語力だって、今から勉強すればいくらでも伸びるよ。
それをやらないのは、ただの怠慢。」
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ドーーーーーーン!!!!!!!!!!
ただの怠慢!
ただのタイマン!!
ただのたいまん!!!
YES!!! I am ただのTAIMAN !!!
あまりに図星のご指摘にショックを受けつつ
パーンと頬を叩かれたような感覚で目が覚めた私は
そこから一念発起して
インターネットでポチポチと
仕事を探し始めることにしたのだ。
キャリアと呼べるほどの職務経験もなく
しかも、海外で仕事を探す上で
TOEIC500点以下の英語力なんて、言ってしまえば論外。
どの人材会社に問い合わせても決まって
「残念ながら、当社でご紹介できる求人はありません」
と面談すら受け付けてもらえなかった。
箸にも棒にも引っかからないとはまさにこのことだ。
自分を否定されたような気持ちになったり…
何のスキルも磨いてこなかった自分を責めたり…
あ、そうか。
私はこの感情と向き合うのが怖くて
今まで動けなかったんだ。
やれることはいくらでもあるのに
それをしないのは、ただの怠慢。
そんな言葉を思い出し
めげず、懲りず、諦めず、
来る日も、来る日も、
現地のオンライン掲示板の求人欄を
穴が開くほど見入っていた。
そして、ある日
【アルバイト】ラジオアシスタント募集
という文字が飛び込んできた瞬間、一気に胸が高鳴った。
「何これ、めっちゃおもしろそう!!!」
お堅い求人が並ぶ中、ちょっと異質で目を引いた。
ダメ元で履歴書を送ると
思いの外、すぐに返信が届いたのだ。
高鳴る鼓動を抑えつつ、
緊張と興奮の中、迎えた面接当日、
広告会社での営業時代、一番のお気に入りだったジャケット
いわゆる勝負服というやつをクローゼットから引っ張り出し
ノートパソコンに取り付けたウェブカメラの前にスタンバイする。
今となっては当たり前のツールだけど
当時、使い慣れないテレビ電話を繋ぐだけでもドキドキだった。
目がイタくなるほど、
画面のウェブカメラを真っ直ぐに見つめて
ありったけの想いを伝えたのだ。
結果はどうであれ、やれるだけのことはやりきれたかな。
久しぶりに
なんとも言えない達成感を感じていた。
ドキドキしながら結果を待つこと数日
ある一通のメールが届いたのです。
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先日はありがとうございました!
実は今週半ばでの結論、と考えていたのですが、
XX さんの熱い想いに動かされ、
早くお伝えしたくご連絡させていただきました。
私どもとしても是非一緒に働いていただきたいと思います。
それは、今までのご経験だけでなく、前向きな姿勢が、
まさにこれからの会社に必要な部分であると感じたからです。
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実際に届いたメール↑
飛び上がるほど嬉しかったのを
今でも昨日のことのように覚えてる。
そうか。
人生って自分から働きかければ
誰でも平等にチャンスがやってきて
ベストなタイミングで、ベストな道が開けるんだ。
この日のために新調したスーツケースに
夢と希望
それから
不安をめいいっぱい押し込んで
あっという間に迎えることになった
渡星当日。
とりあえず、半年間行ってみて
そこから先のことは、そのとき考えよう。
今は、一週間先のことすら想像できいないんだから。
何日もかかって初めて自分で予約した
一番安い航空券を握りしめ
北京での乗り継ぎにヒヤヒヤしながら
シンガポールに向かう飛行機の中
子どもの頃、初めて飛行機に乗った時のような
みずみずしいワクワク感
そして
期待と不安が入り混じった
ドキドキが止まらなかった。
私、いま自分の人生を生きてるんだ。
>>>つづく
第5話:赤面症だった私が、なんでラジオDJ に!?
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