台北で会えるデジタル大臣、オードリー・タンさんに教育について聞いてきた。(まとめ編)
きっかけ
唐鳳(オードリー・タン)さんに初めて会ったのは、2018年のg0v summitでした。
アイデアソン・ハッカソンを通して社会課題を対象にしたプロトタイピングをしていくSOCIAL FIGHTER AWARDを運営するにあたって関わるようになり、現在コミュニティチームを担当しているCode for Japanは世界各国にあるCode for コミュニティ(Code for All)と緩やかな連携があり、その台湾版であるg0vのイベントでセッションに参加しました。
中卒の天才ハッカーが学生運動でシビックテッカーとして活躍し、その後デジタル大臣になって市民と一緒に活動している。
という事実だけで魅惑的なのですが、実際に本人から語られることは非常に明快かつ優しさに溢れた理念を源としていて暖かなものでした。
今回、g0v(台湾版)とg0v HK(香港)、Parti(韓国)とCode for Japanとの連動企画でFacing the Oceanを開催するにあたり、台湾にいく機会がありました。前述のイベントセッションでオードリーさんが「毎週水曜日はオープンデーにしていて、誰でも私のところに来ることができます。」と言っていたことを思い出し、連絡。今回のインタビューを実施することができました。
インタビュー当日
桃園空港から電車を乗り換え忠孝復興駅に行き、オードリーさんのオフィスがある建物へ。ダウン症の子たちと色塗りをしたと言っていたオフィス。
私の拙い英語だけだとインタビューが崩壊してしまう危険があったので、大学の先輩でもあり、Code forコミュニティの仲間でもあり、オードリーさんとプロジェクトを進めているLisaさんに通訳兼サポーターをお願いしました。
1.STEAM教育・プログラミング教育について
各国で取り組みが活発になっているSTEAM教育について、台湾の方針や地域コミュニティを巻き込んだ作り方、その背景にある仕組みや工夫について。
・STEAM教育を含めた生涯教育の基本方針を打ち立て、漫画や動画を使って普及活動を進めてきた。
・答えがない社会において今後作っていく教育が時代によって変容しうるものだと親御さんや学校の先生達も含めて理解した上で、コミュニティで作っていけるような仕組みを敷いている。
・技術に適応するように人々に求めているのではなく、技術を社会にもたらすことであり、哲学的かつ思想としてはシビックテックと同じような考え方でもある。
(インタビュー詳細の記事はこちら)
2.インクルーシブ教育・障害児教育について
・全体のインクルーシブ教育を実現するためステップとして、部分的な技術や支援の活用から進めていっている。
・渉外名で一括りにするのではなく、特性を生かせるように社会の認知を進めながら変えていくことと、その活躍のフィールドや選択肢を増やしていくことが必要。
・ホームスクーリングなど公教育以外と公教育をいったりきたりできるシステムがあり、学校に戻ったり、自分のやり方で進めたりをやってみて戻ることができる。
(インタビュー記事の詳細はこちら)
3.ジェンダー教育・性に関する教育について
・台湾では夫婦の苗字や子どもの苗字を選ぶことに関するルールを変えたが、実際に使っている人はまだ少ない。でもまずルールメイクすることで意思表示を含めて変えるという姿勢を出していくことが大切かもしれない。
・台湾ではLGBTQ法案がうまく進まない時、異性婚の人たちも"じゃあ私たちもしない"っていうNOの表明をすることで制度づくりに市民の圧がかかったったという事例がある。うまく進まない時は民意をいろいろな形で表現しながら政府と一緒に変えていく必要性がある。
・アジア圏は文化的な難しさもあるけど、世界中の他国のいい事例は沢山コピーして、どんどんアップデートしていきましょう。
(インタビュー詳細はこちら)
インタビュー後のやりとりについて
インタビュー後、チームの方が文字起こしをしてくれた文章がURLがあり、「10日間共同編集状態になるので、気になる部分や表現は編集してください」とのことでした。
私たちが普段使っているHackMDに似た構造で、書き換えた単語は緑線が引かれていて、共同編集の人たちが変更箇所を見ることができるらしい。どこまでも透明!オープンデータ!
また、この記事は編集後公開されたので、オードリーさんと会った人たちの過去の会話などはこのページで誰でも閲覧することができるというオープンデータっぷりです。
フリーアクセスでオープンな大臣。透明性の高い、市民に近いオードリーさんでした。
シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。