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【特別展】複製芸術家 小村雪岱 l 空間、色、構図、すべてが今でも新しい昭和の装丁美

小村雪岱。こむらせったい。

なぜいままで深く知らなかったのか、そう思わせるくらいのセンスにひれ伏す。

昭和なのに、ではなく、いつの時代でもいいものは新しさを放つ

それを実感できたのが、今回の特別展「複製芸術家 小村雪岱」(〜3/23)です。

今回は美術館ではありませんが、それと同じくらい価値のある展示だと思いましたので、番外編として、感想を書きたいと思います。

0. 【特別展】複製芸術家 小村雪岱とは?

日比谷公園内にある「千代田区立日比谷図書館」で開催されている特別展示です。

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三井記念美術館の「小村雪岱スタイル」は開場時間が16時までなので、行きたくても時間的に厳しい方もいらっしゃることと思います。

そんな方こそ、こちらの展覧会はオススメです。

会室時間(金曜は20時まで)も長く、入場料もお安い(大人300円)のに、200点も雪岱の作品が展示されています。

しかも、写真撮影OKといううれしい特典つき!!!

見るだけでも楽しいのですが、デザイナー・イラストレーター・アートディレクター・編集などのお仕事をしている方にはお勉強にもなると思います

今回は写真をたくさん掲載していますので、ネタバレなしで行きたい方はここまでをオススメします。

では、展示順に作品をご紹介します。

1. 鏡花本。

小村雪岱を見い出し、画号もつけてくれた文豪、泉鏡花。

ここには雪岱が手掛けた泉鏡花の小説、いわゆる「鏡花本」がたくさん展示されています。

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↑雪岱、装丁家デビュー作、泉鏡花の小説「日本橋」

表紙、裏表紙の装丁と表、裏見返しの挿絵、すべて雪岱作です。


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↑泉鏡花「愛染集」

これ、「小村雪岱スタイル」で見ていちばん好きだーと思った作品だったので、写真で撮れて感激!! ケースと、表見返しの絵。今見てもおしゃれすぎる!!


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↑泉鏡花「龍蜂集」

雪岱が描く女性も美しいのですが、動物もほんっと、「かわいらしい」。かわいい、じゃなくかわいらしい、がお似合い。

しかもこの本、天と地の部分がゴールドなんですよ!!素敵〜〜


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↑泉鏡花「斧琴菊」

これもしびれました。重なる絵や配置、カラー、アイデアすべてに脱帽。

背のデザインもいいですよね、ブルーにシルバー文字とか。いまでも鮮やかにおしゃれです。

まだまーだ、ありますよ、でも実際に行ってほしいので、この辺で。

2. 新聞連載小説の挿絵。

雪岱が活躍した、大正、昭和初期の時代、メディアの中心は新聞だったでしょうから、新聞連載の小説の挿絵は注目の的だったようです。

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挿絵だけじゃなく、新聞そのものが展示されているのが、またおもしろいんです。

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これ↑邦枝完二作の連載小説「おせん」の挿絵。なんですが、、、

この挿絵の下の「ムターレソンメ」のインパクトに若干やられますww

雪岱の挿絵とともにそんなとこにも注目です。

3. 雑誌の挿絵。

このコーナーも雪岱の作品を時代そのままに感じ取れるのが楽しい。

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↑「ホドヂン本舗」広告絵


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↑「婦人之友」表紙絵。「をとめ」表紙絵。

絵や色彩の美しさはもちろん、タイトル下にボーダーをひいているセンスが好きです。

4. 資生堂意匠部。

泉鏡花の小説の装丁「日本橋」などで一躍脚光を浴びた雪岱は、資生堂の意匠部に5年在籍します。当時「西洋調」のデザインをする方がいたので、雪岱には「日本調」を求められていたそうです。

ちなみに今でも資生堂のポスター等で使われている「資生堂書体」の基礎は、小村雪岱がつくったんですって!これは知らなかった〜

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↑うちわ。これ、今でもほしいです!


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↑資生堂の冊子「化粧」などの表紙。純粋に日本調じゃない、モダンな和、ですよね。上品できれい。


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↑香水の瓶のデザインも有名です。

5. 九九九会の仲間たちの装丁本。

きゅうきゅうきゅうかい。と読むそうです。

泉鏡花を中心とした仲間たちの会。会費が九円、九十九銭、だったらしい。この会員たちの本の装丁も雪岱が手掛けています。

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6. 大衆小説作家の装丁本。

泉鏡花に見い出されてスタートした雪岱ブームも昭和に入ると最盛期を迎えます。さまざまな作家の小説の装丁がずらりと展示してありました。

ちょっと雑貨のような感覚のかわいらしさです。

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↑長田幹彦の小説「情話新集」など


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↑邦枝完二の小説「おせん」など。


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↑岡崎綺堂の小説。「綺堂探偵集」

7. 小村雪岱の2つの展覧会を見て。

いかがだったでしょうか?小村雪岱。

わたしは前回いった展覧会「小村雪岱スタイル」と今回の展示でかなり好きになったのでこれから深堀り、決定です

そして雪岱が何を考えて、この装丁をしたのかは、きっと泉鏡花の小説も知るとより深く理解できるのではないかと思いました。

装丁美から、泉鏡花、小説、そして大正、昭和初期の時代背景まで知りたくなるのですから、小村雪岱の持つデザインセンスの奥深さを感じます

もし、今回の記事をお読みいただいた方で、同じように興味を持たれた方は、ぜひ三井記念美術館で開催されている「小村雪岱スタイル」もご覧いただきたいなと思います。

最後にわたしの感想をはっておきますので、よろしかったらご参考までに。


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