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読書「若い読者のための第三のチンパンジー③」~人はなぜ飲酒、喫煙、薬物に手を出すのか~

先日、NHKで放映されたジャレド・ダイアモンド氏の「ヒトの知恵」という番組を見ました。そこではアメリカの進化生物学者ジャレド・ダイアモンド氏が学生たちにヒトの起源、行動の理由を説いており、非常に面白い内容でした。そこで彼の著作”若い読者のための第三のチンパンジー”という本を手に取りました。今回も引き続き本書で学んだことを書いていきたいと思います。

・人はなぜ薬物、飲酒、喫煙に手を出すのか?

なぜ人間が薬物や飲酒、喫煙という行為をおこなうのかというテーマについてダイアモンド氏は進化生物学の観点から見解を語っています。動物には大きな見返りを求めるためにわざとリスクを冒すといった習性があります。

アフリカに住むガゼルはチーターなどの捕食者に襲われたとき、わざとその場で高く飛ぶストッティングという行為をします。一見、自分のエネルギーを無駄に消費してしまうため不利益な行動にも見えますが、相手に「俺は脚力が強く、襲ってきても逃げられるんだぞ」というようなメッセージを伝える役割があります。これを見た敵は「あいつは襲っても逃げられてしまう。無駄なエネルギーを使うのはやめよう」と諦めて他の獲物を探します。このようにコストを払って大きな見返りを求めるという行為を生物は進化の過程で学び、習性としてきました。

それと比べると人間はどうでしょうか?薬物やタバコ、飲酒などの行為は依存症になってしまい止めるにやめられない人は別として、手を出すときは決まって「モテたい」というような自分への見返りを求めて始めます。また高価なプレゼントなどを与えるのも自分の経済力を誇示するという目的があります。

ダイアモンド氏は、ガゼルのような払う代償に比べて大きすぎる見返りがある動物の習性と比べて、人間の薬物や飲酒、喫煙のような行動には、その支払う代償が大きすぎると指摘しております。それらの健康への被害の大きさは既に世界中に知れ渡っています。そうした中で手を出すという行為は、情報弱者であることや分別がつかない人といった印象を与えてしまい、逆にイメージダウンとなります。世の中が進化していくと、人の魅力を表すものが変わっていくとダイアモンド氏は述べています。

(感想)新たなモテる基準が生まれるかも

人間の進化の過程でモテる基準が変わるというのは「確かに!」と思いました。歴史を振り返ると、昔は太った人がモテる傾向があったようです。昔は肥満が経済的な豊かさを表す基準になっていたのでしょうが、高カロリーなものが溢れた現代では肥満は生活習慣の乱れを連想させるため、モテることには繋がりません。今後ますます健康への研究が進んだ場合、どのようなモテる基準が生まれるのでしょうか?様々なものに健康との関係が明らかになるとモテる基準が新たに生まれるような気がします。

(感想)飲み会参加の判断基準をつくること

入社したころ、多くの飲み会に呼ばれて多量のお酒を(なかば強引に)飲ませていただきました。このリスクを伴う行為に対して人との関係を築き、仕事を円滑に進めるという大きなメリットを得ることができました。ただし、このうなことをこれからもずっと続けていいとは思いません。年を取るにつれてアルコール摂取による健康への負担が大きくなります。このように増大する代償に対するメリットがどのくらいなのか、しっかりと計算して飲み会を吟味すべきだなと感じます。

また、最近では若手の飲み会出席率が云々といった話題がTwitterなどで話題となります。行かない理由には「飲み会に出ても面白くないから」といった意見があげられますが、新人や若手は飲み会のメリットをしっかりと考えた行動をとるべきなのかなと思います。飲み会を通じて何が得られるのか、得られるものは代償(お金、時間)に対して大きいのかという点を考えて判断するべきかなと若干古臭い意見ながら思っております。
社風や飲み会の雰囲気にもよりますが、そのような観点で考えると新人や若手が飲み会出席して得られるメリットは非常に大きく、参加するべきかなと思います。また、そのようなことを理解していない新人、若手に対しては先輩が分かりやすく指導してあげることが大切かなと感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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