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四十九日ってどんな日?

祖父の四十九日のために、東京から静岡に1週間ほど帰省していたまるりです
祖父が亡くなってから様々な手続きや儀式があり、今までほとんど何も知らなかった私は色々なことを学びました
この学びを活かせる機会なんてもう二度とこなければいいんですけど

昨日、四十九日法要というものを経験してきました
四十九日って具体的には何するの?何のために?
なんて、思っていました

四十九日とは、故人が亡くなってから四十九日目のことで、遺族はこの日を境として、故人の冥福を祈って喪に服していた期間を終えるそうです
その日に行われる四十九日法要は、亡くなってから四十九日間の儀式の間で最も重要とされています

ママやばあちゃんが、よく「四十九日までは」と言っているのを聞いてきました
ただの数字に過ぎないのでしょうか
四十九日経ったあと、私たちには何があるのでしょうか

四十九日
7週間
1ヶ月と3週間
私にとっては長かったです
1人で泣かなければならない期間、長かったです

私はばあちゃんと電話したり、LINEでやりとりをしながら、よく涙をこぼしていました
ばあちゃんの方が辛いんですけどね
いつも、「まるりちゃん、もう泣かない!」と言ってくれます

ばあちゃんはじいちゃんのことが大好きです
毎日、悲しみや手続きと一生懸命に闘っています

じいちゃんが死んで火葬される前は、じいちゃんはお家で横になっていたので、ばあちゃんはじいちゃんの頭や頬を撫でて話しかけていました
じいちゃんが骨になってからは、ばあちゃんはどこに向かってじいちゃんに話しかけるようになったかと言うと

骨壷の蓋を開けて話しかけていました
ええー

蓋を開けて、
「じいちゃん、おはよう!!」
「じいちゃん、ごはんだよー!!」
「じいちゃん、今日は良い天気だねー!!」

じいちゃんの骨に向かって叫ぶのです

それ、ありなの!?と笑う私たちに、
「ここが1番じいちゃんに近いでしょ!!」

と言って、骨壷の蓋を開けたり閉めたりしていました
まあ、確かにそうか、、、と思いますが
骨壷の中は、うーん、めっちゃ骨
じいちゃーん、聞こえるかー

四十九日法要の前日、ばあちゃんに会いに行きました
ばあちゃんはいつも通り骨壷を開けて、
「じいちゃん、まるりちゃんたちがきてくれたよー!!」と叫んでいました
私は、祭壇にいるじいちゃんの写真に向かって手を合わせて、話しかけました

じいちゃん、ただいま
しばらく来れなくてごめんね
頑張ってきたよー

久しぶりにじいちゃんの大きな写真を前にすると、涙が出ちゃいますね
今までは1人で自分の頭の中だけで悲しくなっていたのですが、実際にじいちゃんを前にして泣く方が気持ちに整理がつく感じがしました

明日は、四十九日
じいちゃんの骨壷は、お墓に納められます
祭壇は撤去され、じいちゃんの写真は部屋の上の方に飾られます

じいちゃんは死んでしまったけれど、じいちゃんの魂はこの部屋に確かにいるような気がしていました
死んじゃったけど、いる
どこか遠くの手の届かないところにいるのではなく、死の中でも一番近くにいるような気がしていました

四十九日では、1ヶ月と少しぶりに親族が集まり、お寺で法要をしました
お経をみんなで読んでいる間、なんだかよくわからなくなりました
じいちゃん、死んじゃったってこと?
これ、じいちゃんのために読んでるってこと?

そういうことです
でも、そういうことだって答えをその時に出してしまうのは避けました 辛いもん

読経、焼香、法話は通夜や葬儀と比べて、長くはありませんでした
和尚さんは、よく慣れています
私たちのような沈んだ集団を、何組見てきたことでしょう

お堂を出て、お墓に向かいます
子どもの頃からお墓参りで何度も訪れた場所です
じいちゃんが入るお墓は、高台にあって、見晴らしがとても良いところです
その日はよく晴れていて、海がきらきらと光っていました
じいちゃん、海のそばでいつも生きていたな
じいちゃん、景色が綺麗なところ、好きだよね

お墓で、お線香を順番にあげます
香りをお供えするんだ
お釈迦様って香りを食べるんだって
だから、香りはしばらくするとなくなっちゃうんだって
でもじいちゃんはお釈迦様じゃなくてじいちゃんだからねえ
多分、お寿司を食べたいでしょう

お墓の蓋が開きました
四角く狭く暗い穴が広がっていました
じいちゃん、ここに入るの?
じいちゃん、明るいところがいいよね
じいちゃん、外が好きじゃん
じいちゃん、ここに入っちゃうの?

穴の中に、ばあちゃんが毎日声をかけていた骨壷が置かれました

じいちゃん、穴の中に入っちゃった
じいちゃんはこれからここにいるの?
なかなか会えないじゃん
やだ、やだ、やだやだやだやだ

穴は、閉じられました
じいちゃんは暗いところにいきました

海がきらきらと光っていました
せめて海が見えるところで良かった

じいちゃんのお家に着いて、皆で美味しいお弁当を食べました
風通しの良い広いお部屋で、1つのテーブルを囲んで食べました
ばあちゃん特製の天ぷらや煮物も並び、私たちは皆おなかいっぱいになりました

御手洗から戻ってくる時に、家の賑わいを聞きました
皆がわいわい話して、笑っている声

そういえば、この声の中で一番大きな声がじいちゃんだったな
賑わいの中で、人一倍大きく笑い、ふざけてたな
じいちゃんのいない賑わいは、まとまりを失っているように聞こえました

夜には、じいちゃんの写真が部屋の上の方に飾られました
ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんの写真と並んで、私たちの頭の上でじいちゃんの写真は笑っていました

今まで祭壇にいたじいちゃん
じいちゃんのことだけを思ってお線香を上げ、手を合わせることができた
もう、仏様の内の1人になっちゃった
じいちゃん、死んじゃった

死者の中に並べられたじいちゃんの写真は、じいちゃんもまた死者であるということを私たちに突きつけてきました
骨壷と祭壇がなくなった今、ばあちゃんは上を見上げてじいちゃんに話しかけます

四十九日ってどんな日
死者が仏様になる日です
あの部屋にいて私たちを近くで見守ってくれていたじいちゃんが、お空の上で遠くから私たちを見守るようになった日です

じいちゃんは、死んじゃった
死んじゃったよ

たくさん泣いた四十九日の1週間
私は再び一人暮らしをするために、東京に戻ってきました
東京駅に降り立った時、寂しくて仕方がなくなりました

ここでは、私はいつも一人ぼっち

会いたい、会いたい、家族に会いたい
ママに会いたい
パパに会いたい 
姉ちゃんに会いたい
ばあちゃんに会いたい

じいちゃんに会いたい

それだけが、叶わない願いだということに私は気が付いて、涙がこぼれました

ママに会いたいのなら、今すぐ引き返せばいい
でも、引き返してもじいちゃんには会えないんだ

じいちゃん、死んじゃったんだもん

じいちゃんが空にいるのなら、東京の私の姿も見ていてくれるよね
前より、近くなったね

じいちゃん、見ててよー!
私今日からまた東京で1人、頑張るからね
じいちゃんの自慢の孫でい続けるからね




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