軟骨のピアス穴が塞がったかもしれない

軟骨のピアス穴が塞がったかもしれない
今、取り乱しています

このピアス穴は私にとって大切なもので
大好きな人と同じ位置に空いていて

私は軟骨に二つ穴が空いている
大好きなあの人と同じ

そのどちらにもピアスの針が通らない
インナーコンクにもヘリックスにも

もう何十分も貫通させようと試みている
針は通らない
穴があったはずのところに針を何度も突き刺していて、血が出た
小さな小さな針の跡から、血が滲み出してきた

穴が見えにくくなるのでティッシュで血を拭い、拭い、貫通を試みる
ティッシュは薄い赤の水玉模様になった

耳の前からも後ろからも力を加えるため、針を指で押し、後ろから耳を押さえつける
耳たぶを除く耳全体が赤みを帯びる

噴き出す血、興奮した耳、不安な柄のティッシュ
そして、鏡に映る強張った私の顔
そのどれもが痛ましい

このピアス穴は、私にとって大切なものなの
どうしても、開いていないといけないの

苦しみが決まったあの日から、苦しんできた今日まで、ピアスを付けていなかった
しばらくの間付けていないということに、気が付かなかった
2年近く一緒に過ごしてきた穴は、ふと存在を思い出すともうピアスを拒否するようになっていた

大好きなあの人と同じ位置の私のピアス穴
2年前の夏、大好きで大好きでたまらなくて開けて、私の大好きな気持ちを体現し続けてくれたピアス穴
開いていないと、ダメなのに
まだまだめちゃくちゃ、大好きなのに

何度も何度も試してみる
ピアスの針で穴が開きそう
そこから引っ張れば、本当の穴を見つけられるかも

軟骨の二つの穴は、少し突起していて、血が滲んでいる
遠くから見たら、ピアスに見えるかな

私はきっと、今夜は一晩中ピアス穴を諦めない
だって、まだまだ大好きなのだから