【エスニック料理探訪記 Part3】ギリシャ料理「THE APOLLO」
前回の記事はこちら♡↓
さて今回のエスニック探訪は「ギリシャ」だ。
前回のポルトガルからスペインをまたいで、こんどは地中海東部の島国へと舌を移す。
今回訪問させていただいたのは、銀座東急プラザの最上階にある「THE APOLLO」。
もともとはオーストラリア・シドニーでオープンしたお店であるらしく、2016年に日本へ店舗を展開をしたらしい。
コンセプトは「モダンギリシャレストラン」だそうだ。
オーストラリア発のモダンギリシャ料理の日本店……ちょっとよくわからないので、とにかくお店へと足を進よう。
高級ブティックや宝飾店に見つめられながら銀座の町を通り抜け、たどり着いた東急プラザ。
その最上階である地上11階へとエレベーターで昇り、うなぎ店と焼き肉店の間を縫ってようやくその店構えが見える。
コンクリート調の壁に重々しく「THE APOLLO」と飾られた案内板が目にとまる。
入口すぐのカウンターテーブルで店員さんに予約していることを伝え、店内へ足を踏み入れる。
真っ先に飛び込んでくるのは爆音のBGM。
小声の会話ができないほどの音量で「ドゥン……ドゥン……」とビートを刻んだ音楽が流れている。
正直バカうるさい。
気分はさながらDQNカーに乗せられてドライブをしているようだ。
ウェイ!やっぱ夏と言えば海っしょ!え?まだ海開きしてねぇの?いやもう平気っしょ!行っちゃおう海!!ウェイ!!ウェイ!!!やっぱ降ろしてほしいなぁ。
インテリアはシンプルで無機質な雰囲気でそろえてある。
タイル張りの白い床、黒い窓枠、大理石のテーブル板にコンクリートの壁など、ひとつひとつが重たい印象。
レストランというより美術館といったほうが近いかもしれない。
奥へと進むとガラス張りの壁に銀座の街並みがパノラマのように映し出される。
対してこの日の私の服装はというと、穴の開いた古着のTシャツにくたびれたデニム、足元はVANSのスニーカーという、おら東京さ行くだコーデ。
はんずかしぃおもいしたっぺぇ!
「モダンってこういう意味かぁ……」とそのときようやく理解しながら案内された席へと座る。
銀座の洗礼を浴びながら料理の到着を待つ。
そう、この日はあらかじめコース料理を予約していたのだ。
スパークリングワイン NV キリ ・ ヤーニ
ドリンクだけは数種選べるなか、今回はスパークリングを注文。
キリヤーニってなんだ、と思って後で調べたところ、ギリシャの著名な酒造メーカーであるブタリ・グループのワイナリーの名前らしい。
そもそもこれに限らずメニューに訳の分からない単語多すぎてほぼ読めなかった。
注文するときも「あの、えっと、このスパークリングの、いちばん上のやつをひとつ……」なんてしどろもどろになった。おらよぐわがんねぇ!!(怒)
ちなみにNVはノンヴィンテージの略で、ワインを作る時に複数の収穫年のブドウを混ぜて作ってるよという意味らしい。
要するにヴィンテージワインじゃないから肩ひじ張らないでねということだ。残念ながら田舎者ゆえド緊張ムーブかましております。ワイン関係ねえ。
このキリヤーニは、シノマヴロというギリシャ固有品種のワインぶどうをベースに作ったワインであるらしい。
一般に辛口と評価されているワインだが、飲んだ印象は辛さ甘さより酸っぱさが来る。あとタンニンがかなり強い印象。
ちょっと好き嫌い別れるかもしれない。私は美味しく飲めた。
おらやっぱ酒はすぎだなぁ♡
カラマタオリーブのマリネ
カラマタとはギリシャのペロポネソス半島南部にあるカラマタ市にちなんで名付けられたとされるている。
現地でもワインのお供としてよく嗜まれるそうで、お酒の前にこれを食べておくと、オリーブから出る油が胃に膜をはって悪酔いするのを防いでくれるそうだ。
でもこのオリーブ、けっこうお高級。普段つまみにするにはちょっとお財布に優しくないかもしれない。
食べてみた感想は一言で言うと、めちゃくちゃしょっぱい芋。
丸三日ぐらい塩漬けしたのかっていうぐらいしょっぱい。まあマリネだから漬けてあるんだろうけど。
オリーブの味はアーモンドとお芋の中間みたいな感じ。不思議。
これ単体でよりかは何かと一緒に食べるのがいいと思う。
なんならお米も合いそう。こめくいてぇなぁおい。
タラマサラータ
魚卵、レモンジュース、オイル、パンが入ったソースをギリシャのパンであるピタブレッドにディップして食べる、ギリシャの国民料理。
魚卵については「THE APOLLO」ではたらこ、上にはいくらがトッピングしてあった。
ピタブレッドはパンというより薄いピザ生地のような感じ。若干粉っぽい。
このソースが見た目以上にパンチが効いている。酸っぱい。
たらこ風味の強めのサワークリームのようで、噛むとあとからいくらが弾けて甘みが広がる。
これをピタブレッドにつけて食べる。たしかにうまい。
うまいけど塩分過多が気になる。もういい歳だからな……。
サガナキチーズ
スキレットの中央には、こんがり焼かれた山羊のミルクで作られたチーズ。
その上からレモンジュースとはちみつがたっぷりとかけられている。オレガノの緑がほんのりアクセントだ。
スキレットと言ったが、ギリシャではそのような小さなフライパンを「サガナキ」と言うらしい。
サガナキチーズは「小さなフライパンチーズ」ということになる。
この料理、「THE APOLLO」シドニー本店では一番人気のメニューらしい。
分かる気がする。運ばれてきてすぐの鉄板からはジュージューという音とともにチーズの香ばしさとはちみつの甘い香りが漂う。美味いに決まってる。
実際口に運ぶと、より一層うまい。
チーズのちょっと焦げたところがレモンソースとはちみつと混ざり合って一口ごとに楽しい。
山羊のミルクと聞いて「ちょっとクセあるのかな」と思いきや、全くそんなことない。臭みもゼロ。
ただ、冷めてしまうとチーズが硬くなって美味しさが半減する。熱くてやわらかいうちに食べたほうがいい。
グリークサラダ
大きめに切られたトマト、キュウリ、オリーブの上にフェタチーズという山羊と羊のミルクで作ったチーズが大胆に載っている。
仕上げにオレガノとオリーブオイルが満遍なくかけられている。
このチーズを砕き混ぜてから食べる。チーズは水を切った木綿豆腐に似ている。ちょっと押すだけでぽろぽろと簡単に崩れて混ざりやすい。
野菜に関しては素材の味がぐんと迫る。
例えるなら「どうも、私がトマトです。そしてお隣のこちらがキュウリです」とあえて自己紹介されたような感じ。
存じ上げております。日本でもあなたたちは有名ですと返さざるを得ない。
チーズはほんのり塩味がある。ドレッシング等の味ではなく、チーズの発酵した本来の味であるらしい。
なんか海外セレブ?朝メシに食ってんだってさ。知らんけど。
ベビーポテトのロースト
ピンポン玉ぐらいの大きさのポテトがまるごとローストされた一品。味付けはガーリックとハーブのみという実にシンプルなものだ。ポテト好きにはたまらないだろう。
しかもかなりボリューミーで、大人二人分で10個以上入っていただろうか。正直これでかなりお腹が膨れた。フライドポテトってつい食べ過ぎちゃうよなぁ。
ポテトと言えば、フライドポテト検定なるものがこの世にはあるんだそうな。
「あたしこないだブロンズライセンスとった!」と先日彼女がはしゃいでいた。
嬉しそうでなによりだ。
あ、それだけです。
ラムショルダー ザジキソースとレモン
文字通り、ラムの肩肉の煮込み。
HPの説明文によれば、10時間以上煮込まれているらしい。
「すごいなぁ、ガス代高いのに」と真っ先に思ってしまうのは庶民の性か。
そんでまた知らないワード出てきたよぉ?ザジキソースってなんですか?と目を回していたら、思案顔を見抜かれたのだろうか、「刻んだキュウリの入ったヨーグルトソースです」と店員さんが説明してくださった。忙しいのにすみません。
このラムショルダー、たしかによく煮込まれている。
繊維状のお肉は一噛みごとにほろりと切れる。少ない力ではらはら崩れて肉の旨味が口いっぱいに広がる。
これだけの塊肉を筋ばったところが一つもなくなるぐらいまで煮込むのにどれだけ根気がいることだろう。シェフに感謝。
ヨーグルトソースと一緒に食べるとなお美味い。
ジューシーな肉汁とヨーグルトの酸味が爽やかに混ざり合う。
にしてもデカい肉ってテンション上がる。耳障りだったドゥンドゥンBGMもさほど気にならなくなってきた。なんならちょっと気持ちいい。ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!!刻むぞDQNのビートぉ!!
レモンパイ アポロスタイル
このレモンパイも店の人気メニューの一つであるらしく、レモンパイを食べるために遠方から足を運ぶ人もいるとか。
まず目に入るのがアラブ風の建物の屋根みたいな玉ねぎ型のメレンゲ。その下には細かく砕かれたサクサクのパイ生地に、内側にはレモンソースが控えている。
パイと聞くと焼き菓子をイメージするが、これはソースを匙ですくってパイと一緒に食べる。
どうやらギリシャ人はレモンがお好きなようで、ほとんどの料理にレモンが使われている。デザートでは主役として満を持しての登場だ。
甘酸っぱいレモンソースにこんがり焼けたアーモンドダイスのようなサクサクの生地を付けて、やわらかいメレンゲとともに食べる。甘酸っぺぇ。
甘酸っぱいといえば恋や青春を思わせる比喩だが、青春時代を振り返ってみるに、甘さと酸っぱさはそんな都合よく混ざり合ってなかった気がする。
割合で言えば、酸酸酸酸酸酸甘酸酸酸酸酸酸苦酸、ぐらいの感じか。
甘酸っぱいなんて最初に言った奴絶対リア充だわ。ふざけんなリア充爆発しろ。
おわりに
さて、いかがだっただろうか。
今回はギリシャ料理探訪ということで「THE APOLLO」さんにお邪魔させていただいた。
店の雰囲気はすこし想像と違ったものの、料理自体はギリシャの伝統を踏襲したすばらしいものだった。
料理の味付けに関して言えば、ギリシャ料理は全体的に酸味と塩味が強いという印象だ。
特にレモンが調味料としてあらゆる料理に使われている影響が大きい。日本でいうところの醤油みたいな感覚なんだろうか。
とにかく肝臓に負担がかからない程度に、また食べに来たいものである。
ではまた。
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