『「え、ゆとりちゃん弟子とってたの？」』

「そんな言葉をな…ワシに遺したまま、あいつは二度と帰ってくることはなかった…というわけじゃ…あぁ遠い遠い昔のことじゃよ…」

はいカぁーーーーーット！

「美田園みたぞのさんお疲れ様でしたぁ！」

「だいじょぶだったかな？」

「えぇーもちろん最高ですよ！ありがとうございます！」

「こちらこそありがとう監督、しっかし俺も歳だね、疲れたよ」

「はっはは何をおっしゃります美田園さん！」

「これに懲りずまた呼んでよ？」

「あったりまえですよ！またよろしくお願いします！」

「いやぁおつかれさん」

「はいみんな今のシーンでクランクアップの美田園さんに拍手ぅ～」

「あぁみんなどうもどうも！老いぼれだけどまたよろしくね！」

俳優  美田園真也みたぞのしんや73歳

不惑の大御所である

昨今ではもっぱら

主演というよりも友情出演特別出演の類で

脇を固めることに徹していて

「美田園さんお疲れ様でしたぁ！」

「おっゆとりちゃん！これはめずらしい顔じゃんか」

「ごぶさたしておりますぅ」

「どう？元気でやってる？」

「えぇもうおかげさまで！美田園さんほどじゃないですけど！」

「俺ももう駄目よぉはっはっは！」

「いやいやお若いですって」

「ところでさ、今回の脚本ホンってゆとりちゃん？」

「ですです、何かありました？」

「いやいいんだけどさ…」

「え…」

「もうちょっと老人でも…」

「あ、いえ…その、風格ですよ風格！」

「風格ぅ？」

「美田園みたぞのさんには風格ある演技を期待して、老人の役をですねぇ…その…」

「あーちがうちがう、キャスティングのことじゃないの」

「えっじゃあ何です？」

「これだもんなぁ、調子がいいよゆとりちゃんは」

「えっえっなんだろなんだろ？」

「セリフだよセリフ」

「セリフ…お気に召しませんでした？」

「ゆとりちゃんがいちばん嫌いな年寄り言葉ぁ！」

「あぁーーーーーー！！」

「でしょーーー？」

「ChatGPTに書かせたのバレたぁーーーー！」

「えぇ？なに？」

「あ、なんでもないです」

「ちゃ？任せ？」

「いやなんでもないです美田園さん！」

「ちゃってなによ、ちゃって」

「ええっとその、あれです、弟子です！すいません！」

「え、ゆとりちゃん弟子とってたの？」

「うーん、嘘！」

「ぎゃふん！」

こうして脚本家　甘枝ゆとりは

信用をまたひとつ失ったのであった

※実在の人物とは一切